サルヒツのグルメ探訪♪【第209回】
炭火焼鳥 すぐ呂
℡)090-9226-0083
カテゴリ:焼鳥
所在地:山梨県甲府市丸の内2‐3‐1 田村ビル1F
営業時間:(月曜定休)
17:00~翌日1:00
アクセス:JR甲府駅から徒歩約1分
■約16席(カウンター+テーブル1卓)
■予算:5,000円~8,000円(飲み方次第です)
■予約:可(予約をお薦めします)
■カード:不可(QRコード決済可)
《味よし酒よし居心地よし》
ひつぞうです。てんこ盛り旅行の続きです。キース・ヘリング美術館を観覧した夜、甲府市内の炭火焼鳥の店で食事しました。以下、往訪記です。
★ ★ ★
「ヒツ!大変な電話が入ってゆ!」
キース・ヘリングの記録映像を観ている僕に、駆け寄ってきたおサルが、そう告げた。
「今日泊る宿の露天風呂が、昨日の台風の影響で使えないって」
えーっ!まじか…
そこは露天風呂が命と云っても過言ではない秘湯だった。先月、新幹線の運行に大打撃を与えた台風7号は、長野県にも局所的な影響を与えていた。しかも、僕らが泊る旅館に…。給水タンクの電線が倒木で切断されて、復旧の目途が立たないという。天変地異は宿の責任ではない。苦渋の決断だったが、キャンセルしても構わないと言われて甘えることにした。
「どうするのち?」
実は翌日も別の宿を予約していた。一旦帰って出直すのも馬鹿らしい。普段であれば車中泊で凌ぐのだが、殺人的熱帯夜が続いている。宿を取るしかない。調べてみると、甲府市内まで戻れば安いビジネスホテルが確保できそうだ。潔く戻ることにした。
「だよにゃ」
ということで甲府駅前についた。想像どおり、ホテルの外観はザ・昭和な感じだった。
「お部屋は割と綺麗だよ」 広いし
清掃は行き届いていて、冷房の効きもいい。なにより広い。早速夕飯の相談になった。
「もー調べた!」
はやいね(笑)
いつもながら店選びに関しておサルは凄腕だった。
★ ★ ★
それは甲府駅前の炭火焼鳥の店《すぐ呂》だった。2022年5月オープン。おでん屋《博多白湯 湯ろや》の姉妹店らしい。オープンから日が浅ければ、新しい顧客獲得のためにサービスもいいはず。何より人気店の系列ならばクオリティも担保できる。価格帯がやや高めというのも大切なポイント。客に納得してもらえると味に自信を持っている表れだからだ。なお、全ておサルの受け売り。
「大切なことにゃ」 いこーぜ
開店ちょうどに店についた。この日は予約で満席だった。旨い具合に17時から二時間の枠が空いていたのだ。
外のカウンターとテーブルならば当日飛び込みでもOKみたい。
一番乗りだった。ただ、一番焼き場に近い席。外気がバンバンに入るし、ちょっと暑いかも…。
「贅沢は言えないにゃ」
そうね。
まずは注文方法などの説明を受ける。
地元、山梨のワインに力を入れていて、マリアージュを愉しめるらしい。ちなみにメニューには書かれていないが、冷蔵庫に拘りの日本酒もあったらしい。
お薦めのおまかせ串コース(7本)を頼むことにした。追加メニューが多いのも特徴。根の卑しさを発揮して、僕は土鍋鶏飯を、おサルは冷やし中華を追加。特製カレーも捨てがたい。カレーに眼がない僕は断り切れなかった。
「弱いヤツだなー」 食べ過ぎやろ
まるきブラン
ヴィンテージ:NV
生産者:まるき葡萄酒
地域:甲州市勝沼町
品種:甲州、デラウェア(白)
まずは白。加えて好きな甲州系で。デイリー的なストレート且つすっきりした味わいだ。レパートリーの広いワイナリーなので価格帯は千差万別。その中で《まるき》シリーズはデイリーカテゴリー。でも1,500円前後でこのテイストだったら文句なし。
ここで前菜。
前菜(ガーリック枝豆 胸肉 シャインマスカット生ハム包み 豆腐山椒味噌)
丁寧に説明してくれる。メニューはスタッフ皆で知恵を出し合っている感じだ。
「皆さん、とてもお話好きだにゃ」
まだまだ貸切状態(笑)。この日は平日だったし、会社帰りならば18時以降だろうね。
さてニ杯目。
miiオレンジ甲州 2022
ヴィンテージ:2022年
生産者:三養醸造
地域:山梨市牧丘町
品種:甲州(オレンジ)
あまりに旨くて二杯飲んでしまった(笑)。こういう言い方は失礼だけど、山梨のワインってこの10年で本当に美味しくなった。“オレンジ”となっているけど、ガス感あるにごりの白だな。莫迦みたいに暑い日だったから最高に旨い。お薦め。
「日本ワインは全国的にレベルアップしたのち」
そう思うよ。
若いイケメンの店長は大汗を拭きつつ、炭火と格闘中だ。ここで別メニューの小鉢が。
いろいろありすぎ。どれもこれも旨そう。頼んだのはコレ。
別メニュー《レバー葱塩》 620円
レバーよりハツ中心。クセが少なくて酒が進む。ワインとは少しぶつかるかも。焼酎、酒がベスト。
「サルはちょっと、やっぱり」
いよいよ焼き物だ。
包みネギマ
胸肉と葱を皮で包み焼き。肉のジューシーさを確保しつつ、皮はパリパリだ。
丸ハツ おろし生姜を添えて
店によってはココロと判りやすく言うね。生姜の風味が食慾をそそる。
「なんで心臓をハツっていうのかの」 旨いシコシコしてて
心臓の複数形Hearts=ハーツ。縮めてハツらしいよ。真偽のほどは不明だけど。
バターズッキーニ
撮影にモタモタしているうちに角型のバターが溶けてしまった。
「この写真のほうが旨そうに見えるにゃ」
だね。季節野菜を旨く串モノに使っている。
やげん(軟骨)
先端を僅かにカット。食感をよくする工夫だ。タレの塩梅も絶妙。
口直しの鬼おろし
店がつけたオリジナルメニューの名前と思ったら、粗目のおろし金で擦った大根を《鬼おろし》っていうんだね。知らんかった。
「ジョーシキばい」 ワイン頼んでおくり
ヌーヌーボー
ヴィンテージ:2023年
生産者:ドメーヌ久(Q)
地域:甲府市桜井町
品種:デラウェア(白)
甘酸っぱい飲み口のワイン。青摘みのデラウェアで作るどこよりも早いヌーボーだとか。手作り感いっぱいの小規模生産ワイナリーで無農薬の自然派。しっかりした造りだと5,000円を下らないが、さすがにヌーボー。この内容で2,000円(税別)は嬉しい。コスパ大!
鶉 ツミレ
この鶉。黄身が少し半熟なんだよ。
「卵とつみれを一緒に食べてくださいって」
なるほどね。
カマンベールチーズ
ここで変化球。ついでに酒も追加。
塩レモンサワー(560円)
マルガリータみたい。調子よく二杯飲んでしまった。日頃の節制はすべて台無しに。
ふりそで
焼き物最後は希少部位。いわゆる鶏トロ。店によって焼き加減が違うのも特徴的。すぐ呂ではカリカリ&ジューシー。ご馳走様でした。ご飯物が今からくるけどね。
無加水仕込みキーマカレー
サイドメニューっていうから小鉢程度かと思ったら…。しかもナンつきよ。食感は昔ながらのカレーに挽肉ブレンドって感じか。玉葱の主張が強いね。
混み始めた店内の状況を見て、店長がてきぱきと指示を出す。そこに予約客の若い女性登場。
「すみません。4人で予約してるんですけど、3人追加できますか」👩
ムリムリ。この混雑ぶり見えんのか。と心の中でつぶやいた。
だが、断るかと思った店長。一瞬悩んで、懐刀と思しき敏腕の若い女子スタッフとお頭を寄せ合って密談。なんと、友人関係の予約客を店外のテーブル席に放出すべく、断りの電話を入れて、その若い客のオーダーを受け入れた。ナンとできた店長であることよ。
「その代わり、厨房は大変なことになってるにゃ」
そうなのだ。想定外の客の膨張ぶりに調理が追いつかない。僕らに与えられた二時間は、もはや残り15分になってしまった。
土鍋鶏飯
間に合った。土鍋からよそってくれた鶏飯。お焦げもあって絶妙なダシ加減。最後に落とした卵黄が味を纏めている。しかし、感動している場合ではない。土鍋にはあと二杯分は残っている。
「サル、もうギブ」 頼むよ
マジかよ。あと冷やし中華もあったな。
「もうすぐできます!」👨
いや。出来んでもいいけど。キャンセルで。
「大丈夫です!」👨
ここのスタッフ、前向き過ぎる…。
特製冷やし中華
残り2分。まるでフードバトル並みの戦いに。口いっぱいに頬張ったところで19時に。既に次の客が暖簾の外でスタンバイしていた。
「中華は普通だったにゃ」 いや~食べなくてよかった
誰よ。食べたいって言って残した人は。
「ほら。スープお飲みよ」 よく頑張った!感動した!
どこかで聞いたセリフだな。
温かい白湯スープ。最高だった。
瓢箪から駒とはこのことで、まず今回のトラブルがなければ甲府に泊ることもなかったし、焼鳥にありつくこともなかっただろう。割烹あかざわを訪ねて以来7年ぶりの甲府グルメ。大満足だった。お腹がはち切れそうだ。
1930(昭和5)年竣工の山梨県庁議会堂がライトアップされていた。学士会館に携わった佐野利器の設計とされている。最近の燃料費高騰から取りやめの多いライトアップ。店からの帰り道に、久しぶりにいい物を見た気がした。苦しくて歩くだけで精いっぱいだけど。
「一晩寝れば収まる」
(つづく)
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