サルヒツのグルメ探訪♪【第207回】
レストラン ラタン
カテゴリ:本格フレンチ
往訪日:2023年8月4日
所在地:東京都千代田区神田錦町3‐28(学士会館内)
営業時間:(月火定休)
(L)11:30~15:00
(D)17:30~22:00
アクセス:都営三田線・神保町駅(A9出口)から徒歩1分
■46席
■予算:約20,000円/人
(D)ラタンコース:9,000円+消費税+サービス料10%+アルコール料金
■予約:要
■カード:可
※宿泊者は10%割引
※2023年8月31日をもって閉店しました(残念…)
《箱庭のような世界》
ひつぞうです。学士会館宿泊の夜にレストラン・ラタンでディナーを頂きました。2002年10月に開業した本格フレンチの名店。残念ながら8月31日をもって歴史に幕を下ろしました。偶然でしたが、訪れることができて本当に良かったです。満足の行く料理とサーブでした。以下、往訪記です。
★ ★ ★
中華料理《紅楼夢》で食事したことがあり、外での食事も考えた。だが、ラタンはオーセンティックなフランス料理店。悪くない。パリの学生街カルチェ・ラタンから取ったのだろう。名前もいい。予約して伺うことにした。
この日は平日だったので何処も空いているようだった。
「サルで~す」 誰かいない?
少し早かったが、テーブルの用意はできているという。お邪魔することにした。
セセッション風の天井の高い店だった。グラスワインの準備もできている。
「ワイン頼んでおくり」
ではシャンパンをグラスで。
エルネスティーヌ・トゥソー(1600円)
シュテファン&シルヴィ・ジョリーが醸すヴーヴ・ドゥゾーの名品。シャンパーニュでは珍しい自然派。深みがあって泡の持続性も高い。
「うんま💕」♪
シャンパンさえ与えておけばゴキゲンなのだ。
コースはカジュアルな《エサンス》と王道の《ラタン》の二種類。もちろん王道派。
=アミューズ=
鮎のパテ&シラス素揚げ。パプリカパウダーで頂戴する。濃厚かつ複雑な味。ワインにあう。
早々に空いてしまったのでボトルで頼むことに。
「ロゼがよい!」 暑い夏はロゼばい!
はいはい。
所望したロゼの候補三本をソムリエが説明してくれた。チョイスしたのはこれ。
ラ・ヴィ・ラスティーク スプリングピノ ロゼ(9000円)
ヴィンテージ:2018年
生産者:スィック・アズ・シーヴス(シド・ブラッドフォード)
地域:オーストラリア(ヤラバレー)
品種:ピノ・ノワール100%
アルコール:12.4%
輸入者:ワインダイヤモンズ㈱
2009年に設立された比較的新しいメルボルン近郊のワイナリー。近頃、何でも自然派流行りで面白くないが、フレンチ・ピノと一風異なり、ベリー系のチャーミングな煌めきの赤に甘い香り。ここで本当に甘いと台無しだが、ドライテイストで夏の暑さを吹き飛ばしてくれる。今の季節に相応しいロゼだ。
「ハイハイ」 御託はよいからサッサと注いで
=前菜=
二種類から一品選択。まずはおサル。
「ういうい」
~真夏の吹き寄せ~
茄子 雲丹 オクラ 天使の海老とキャビア 海の幸のコンソメジュレ
茄子のたたきに牛から取ったコンソメをジュレする。そこに雲丹とキャビアをトッピング。
次は僕。
豊後椎茸 帆立貝のファルス デュクセルのガーデン アスパラガスのピューレ
おサル。ファルスってなに?
「肉詰めのことだにゃ」
デュクセルは?
「キノコをペースト状にした調味料だの」
さすが料理教室の元助手。よく知ってる。そこに食用花を載せて花園に見立てた訳ね。
殆どアート。箱庭の世界だ。食べられん。
「くーてやるよ」♪
間に合っているよ。
全然パンにたどり着かない(笑)。
あれ?ソムリエが何か始めたよ。
なんと!目の前で太刀魚をフランベするのか。早く言って(泣)。撮り損ねた。
=主菜=
アニス香る太刀魚のグリル プロヴァンス風
グリルした太刀魚に付け合わせと予め用意したトマトを躊躇いなく載せる。バジルとケイパー、オリーブオイルで拵えたソースを垂らして出来あがり。
「太刀魚の皮がカリカリで旨いにゃ」
旬の魚だしね。おサルの主菜も来たな。
天空鹿とフォアグラのパイ包み焼き 赤ワインのソース
伊豆・天城山の工房が作ったジビエブランドらしいね。
「要は駆除肉でしょ」
そういうことよ。
「SGGsだにょ」
SDGsだよ。いい加減覚えてよ。
「きゃ!いっぱい入ってゆー♪」
鹿肉ってこうやって食べると旨いね。そのままだと淡白だけど。
「フォアグラとソースのちからだよ」
フォアグラには赤でしょ。ということでロゼも無くなったのでグラスで。
ザ・ステディング(1600円)
ヴィンテージ:2018年
生産者:トルブレック(デイヴィッド・パウエル)
地域:オーストラリア(バロッサバレー)
品種:グルナッシュ66%、シラー13%、ムールヴェードル21%
アルコール:15%
輸入者:㈱ミレジム
ミディアムといいつつ、グルナッシュ主体のグラマーなボディに、シラーの土っぽさが加わる。色は深いガーネット。アルコールは15%。後味ズッシリで絶対にジビエにもフォアグラにも負けない。逼ってくる赤だ。
「ご馳走様だすた」 食後酒飲んでいい?
飲むんでしょ。どう云おうと。
またまたソムリエのお薦めを。
シャトー・モーラス ソーテルヌ 2009(1700円)
ヴィンテージ:2009年
生産者:シャトー・モーラス
地域:フランス(ボルドー/ソーテルヌ)
品種:セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデ(ロゼ)極甘口
アルコール:13.5%
輸入者:㈱アストル
シャトー・ラ・グラーヴ キュヴェ・デュ・パン(1300円)
ヴィンテージ:2019年
生産者:シャトー・ラ・グラーヴ
地域:フランス(ボルドー/サント・クロワ・デュ・モン)
品種:セミヨン100%(白)甘口
アルコール:13.5%
輸入者:㈱アストル
「むひー」 甘すぎゆ。ワインは好きだけど
どちらも貴腐ワイン。ロゼはアプリコットジャムと蜂蜜を混ぜたような極甘口。白はセミヨンの落ち着いた感じとやや青臭さを背後に感じて飲みやすい。
「結局飲んじゃった」
=デザート=
葉月のデザート
ココナッツパウダーを絡ませたバニラアイス。キウイフルーツのソースで。ホワイトチョコのチュイールが可愛らしい。
最後はエスプレッソで。
二人でディナーを愉しむメリットはこうして二種類シェアできることだ。一品の量はグランメゾンらしくボリューミー。もちろんソムリエに相談しての選択なのでワインもベストマリアージュだった。
あとひと月なんですね、とソムリエに振ったら、それまでの能弁が影を潜めて「会員全員で決めたことですから」と少し寂しそうに漏らした。「まだこの先も決まってません」。それはラタンのスペースのことか、それともスタッフの今後のことか。
「コメントしづらいにゃ」
今回のコロナ禍で幾つかの老舗が暖簾をおろした。背景は異なるが別れは寂しい。最後の晩餐になってしまったが、いい出逢いができたと思う。また違う処でソムリエのサーブを受けることを願って部屋に戻ることにした。
「おやすみ~」 もう寝ゆ
(つづく)
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