旅の思い出「入水鍾乳洞」でケイビングの真似事をしてみる(福島県) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

天然記念物 入水鍾乳洞

℡)0247-78-3393

 

往訪日:2022年4月18日

所在地:福島県田村市滝根町菅谷字大六89-3

営業時間:8時30分~17時(年中無休)

料金:

(Aコース)一般600円

(Bコース)一般800円

(Cコース)グループ料金6000円(5名まで)

駐車場:80台

アクセス:磐越自動車道・小野ICから約15分

 

≪子供より大人にとって最も危険な場所≫

 

ひつぞうです。先週末の福島桜紀行の続きです。この日はまたとない晴天になることが判っていたので、これまた数年来の懸案だった《入水(いりみず)鍾乳洞》に向かいました。鍾乳洞なら天気なんか関係ないだろう。そういう横やりも入りそうですが、本格的ケイビングになるので、雨後は増水のリスクがあるのです。他方、外気温の低い春先でも、洞内の水温は年間一定。まだ往訪者の少ないこの時期、混雑回避という意味ではベストシーズンでした。

 

★ ★ ★

 

幾ら見応えがあるとは云え、一本の桜の樹を鑑賞するのに一時間以上はかからない。八時前には滝桜を辞して、簡単な朝食を車中ですませると第二の目的地に向かった。だが、想定外の臨時休業。致し方なく、予約していた入水鍾乳洞を前倒しすることに。電話してみると変更可能だという。よかった。

 

(誰もいないが歓迎はされているようだ)

 

三百名山の大滝根山一帯は石灰岩の産地。そのため周辺には大小含めて複数の鍾乳洞が存在する。有名なあぶくま洞もそのひとつ。ただ、観光鍾乳洞は全国ほぼ回っていて、些か食傷気味なのも事実。

 

「いろいろ行き過ぎなんじゃね」サル

 

しかし、ここ入水鍾乳洞は違った。地下水脈を遡るケイビング体験ができるのだ。子供に大うけのアクティビティに心底歓びを覚える万年少年の僕は、一度は行くべきスポットとして手帖の片隅に記していた。

 

 

遂にこの日が来た。山のつけ根に建物が見える。きっとあのあたりだろう。

 

 

着いた。手前に20台ほど停車可能な駐車場があり、少し坂を登った場所に星の村ふれあい館があって、ここにも駐車できる。

 

コースは三種類。水に浸からない普通の鍾乳洞見学のAコース(往復30分)。水に濡れるほぼケイビングのBコース(往復60分)。更にガイドつきが条件のCコース(往復90分)。結論から言うと、B・Cコースは肥ったひとや体の硬いひとはNG。途中で引き返してしまうケースもあるらしい。また、ガイドマストのCコースは特段難度があがる訳ではないが、更に狭い箇所が出現する。でも、泳ぎや立坑があるわけではないので御心配なく。

 

詳しくは以降のレポで。

 

★ ★ ★

 

 

早速沢用のウェアに着替えていざ出陣。

 

 

五分ほど歩いて案内所まで坂道を登る。

 

 

なお、一眼レフやザックは携帯できない。そんなもの身につけようものなら、間違いなく引っ掛かけて終わりだ。

 

「持って行ったくせに」サル

 

 

僕はコンデジ。おサルはスマホを携行。ただし、容れるものがないのですごく面倒だった。貴重品を預ける有料ロッカーはある。ヘルメット+ヘッデン、ニーパッドは無料貸し出し。サンダル、パンツは有料。怪我防止を考えて沢靴(ラバー)、沢グローブがお薦め。

 

 

ではスタート!

 

ガイドさんは大学生の若者。それが裸足でサンダル履き。冷たくないのだろうか。

 

《不動滝》6㍍

 

最初はグレーチングで構内を遡る。アウトドアでも密閉空間。マスクはしてくださいとのことだった。

 

「息苦しいだよ」サル

 

仕方ないね。ご時世だもん。

 

 

すぐに天井が低くなる。僕らは沢用の靴や足袋を履いているのでジャバジャバ水の中を歩いているが、脇を歩けば、まだ濡れることはない。

 

 

《一体洞》到着。コウモリも普通にいるそうな。

 

 

再び天井が低くなりそうだ。

 

 

脇には地蔵様に見立てた石筍が。

 

《つりがね岩》

 

ここを過ぎればAコースは間もなく終わり。

 

「これだけじゃ入水の醍醐味は全くないにゃ」サル

 

そう。なので皆さん潜れなくてもBコ-スでどうぞ!

 

 

Bコースも個人で進入できる。子供は良いけど大人にはきつそうだなあ。

 

 

当たり前に天井が低くなる。ここ数ヶ月真面目にストレッチ続けてよかったよ。

 

 

最初の難所《深水洞》。膝上まで浸水。

 

「思ったほど冷たくにゃい」サル

 

沢足袋履いているしね。水温は約10℃らしい。

 

 

今度は横方向に狭まってきた。

 

 

「ひつ、大丈夫?」サル

 

なんとかついていってるよ…。

 

 

身長の高い男性には苦難のコースだね。ここ。

 

 

最初に潜ったひと、ヘンタイだ偉いよ。

 

頭から行こうとしたがダメ…。

 

「なにやってるの」サル

 

 

反転して足から。

 

 

いろいろ愉しませようと随所に名前がつけられているが詳しく見る余裕がない。自分の動きが悪いせいもあるが、ガイドさんが有無を言わせずにガンガンに先に行ってしまうのだ。

 

 

第二の難所《胎内くぐり》。四つ這いで進む。時計をしている人は完全防水マスト。

 

「スマホも濡らさないようにしないと」サル

 

さらに《第二胎内くぐり》を終えて右に行ったり、左にいったりしていると…

 

 

《カボチャ岩》が見えてきた。

 

 

ここがBコース終点。

 

 

ゲートには鍵が掛かっているので勝手に入ることはできない。このあたりで本日唯一の若いカップルと離合。若いっていいね。普通の短パンとサンダルだもの。完全沢装備の僕らが逆に恥ずかしいよ。

 

 

なにここ。おサルがギュウギュウで進んでいる。行けるのか。僕。

 

 

いつもと違う筋肉を使っているのが判る。筋肉痛がコワイ。

 

 

むぐ~。出られん。

 

「誰も手助けできないしにゃ」サル

 

 

ヘンタイ洞窟マニアの吉田勝次さんだったら、子供のお遊戯レベルなんだろうけど。

 

 

どんどん狭くなっていく。子供の頃、近くの野山の防空壕址を、数人でどんどん潜って行って身体ひとつのスペースを匍匐前進したのを想い出した。

 

 

S・マックイーン主演の映画『大脱走』に心酔していたからな。しかし、よくまああんなアホなことやっていたものだ。考えてみれば友達と数人で沢を遡行したり、沼の巨大鯉を手掴みしようと全身泥だらけで格闘したり、ある時は、登山道のない籔山を登って、道迷い遭難しかけて、連れていた秋田犬の鉄兵の嗅覚に助けられたり。今の僕の行動の萌芽はあの頃すでにあったなあ。

 

「ゴールみたいだにゃ」サル

 

 

おお!Cコース終点だ!ここまで片道40分(距離900㍍)。

 

《錫杖の窟》と記されていて、洞窟は更に続いている。

 

 

ここで記念写真を撮っていただいた。狭いので変な格好になっているけど。

 

 

右脇にもさらに天井が低い穴が。ここから先は潜水レベル。

 

 

戻るのも一苦労。

 

 

Bコース終点まで戻ってきた。

 

 

ガイドさんには御礼を云ってここで別れることに。

 

 

「なんか判らなくなった…」サル

 

やっぱりサルやん。

 

水流に沿って進めばいいでしょ。

 

 

「こんなところ通ったっけ?」サル

 

さすが道迷いの女王。ガイドさん帰したの失敗だんじゃないの(笑)。

 

 

ここ。砕いた痕があるね。こうでもしなかったらダメだった気がする。

 

 

帰りの方がくだり基調で難しい。

 

 

沢床の石灰岩は水流に研かれてナメナメ。モノを落としたら即座に流されてしまうそうだ。当然回収不可能。財布や車のキーなど、くれぐれも持参しないように。

 

 

もう何が何だか分かりませんが大丈夫。全身の筋肉のストレッチになっています。

 

 

Aコース終点に戻ってきた。おサル余裕だね。

 

「らくちーん!」サル

 

 

「小さいってスバラシイ」サル

 

そう思うよ。

 

 

《喜びの窓》か。言い得て妙。

 

 

いやー。盛り沢山だった。ガイドつきだと自分のペースで動けない。多少の不便は感じたが、Cコースは探検する価値がある。混雑すると離合は大変。今の季節が狙い目かもしれない。暗所、閉所、冷所マニアの皆様にはお薦め。体格の限界は僕がひとつの基準です。

 

 

無事戻ってきた。登山とは全然別種の緊張感漲るアクティビティだった。このあと、臨時休業だった某所に再度向かうことにした。

 

「腹減っただよ」サル

 

それなりに動いたからね。

 

(旅はしつこく続く)

 

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