サルヒツの酒蔵めぐり♪「金寶酒造 仁井田本家」(福島県) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

金寶酒造 仁井田本家

℡)024-955-2222

 

往訪日:2022年4月17日

所在地:福島県郡山市田村町金沢字高屋敷139番地

(売店)営業時間:10時~17時(夏季休業・年末年始を除き無休)

■駐車場:4台ほど(売店よりもさらに奥です)

■酒蔵見学:要相談(繁忙期以外の平日のみ)

■アクセス:東北道・須賀川ICから約20分

 

《きれいな酒を醸す蔵は建物も美しい》

 

ひつぞうです。福島桜紀行②《入水鍾乳洞》の続きです。あぶくま洞近くの蕎麦屋で田舎蕎麦で空腹を満たしたあと、著名酒蔵《仁井田本家》を目指しました。意気揚々10時の開店前に現地に着いたのですが、正門になにやら告知文が掲げられていました。

 

「地域の奉仕活動のため、13時まで臨時休業とさせていただきます」

 

なんと!調べてみると蔵元のHPに新着情報でアップされていました。

 

「相変わらずの粗忽者だにゃ」サル

 

通る道すがら、農家さん総出で農業用水の整備をされている光景があったもんね。そういう季節なんだよ。今が。

 

★ ★ ★

 

(家紋のカエルが愛らしい)

 

正徳元年(1711年)創業の歴史ある酒蔵・仁井田本家。代表銘柄《金寶》で長らく親しまれてきた。現在でこそ農薬と化学肥料を使わない自然栽培米を使った酒造りは一般的になってきたが、《しぜんしゅ》はその先駆けと云える。自然米・天然水仕込み、生酛造りによる米本来の旨味を引き出す酒造りで知られる。とりわけ力を入れているのが、地域の田圃を守ること。

 

 

酒蔵に向かう道すがらの風景。もうこの時点でワクワクする。

 

田圃を守るという事は、福島の産業としての農業を守ることでもあり、自然そのものを守ることにも繋がる。結果的には県外からのお客を招くことにもなり、街が活気づくことにもなる。

 

「ひつもそのひとりだしにゃ」サル

 

水に誘われるトンボのようなものだよ。

 

 

車一台がやっとの道に入っていく。すべての分岐にこの目印がある。

 

 

着いた!

 

 

仁井田本家の素晴らしい点は、《感謝祭》《たんぼの学校》など、ファンとの交流機会を設けた開かれた蔵であること。「農」への理解はかならず人の心を豊かにすると僕も思う。田圃の除草にはカブトエビを使っているそうだよ。ぜひ見てみたい。

 

「地域奉仕じゃなくて単に珍しい生物が見たいだけなんじゃね」サル

 

きっかけは何でもいいんだよ。

 

 

これは午前9時の正門前の光景。僕がショックを受けた現場である。固く閉ざされていた。(前方に見えている桜は、三春の滝桜の孫桜らしい)

 

 

なににせよ往訪できてよかったよ。意外に他の客が一組あるだけ。なかなか手に入らない仁井田の酒だけにマニアが集まっているものとばかり思っていたが。このなまこ壁の建物が売店兼ギャラリー。

 

 

水平テイスティングさせていただいた。無料なんですよ。信じられない。

 

右から順に、純米吟醸、燗誂え、純米原酒、純米原種オーク樽熟成

 

繊細なタイプからパワフルな順に。オーク樽熟成は蔵限定販売。いずれも上立ち香は控え目。冷やや燗で頂くのに相応しい酒なのが判る。酒本来のパワー漲る逸品揃い。でも買ったのは繊細系(笑)。ちょっとおサルには力が強すぎるかもね。

 

女将さんプロデュースの奈良漬けと酒粕も購入して二階のギャラリースペースを見学。

 

 

味があるねー。ちょっと茶室の風情。無駄なものがない。超高級ラインナップ《ピーターアイビー》のボトルだね。

 

 

仁井田の酒瓶はほぼリユースできる設計。表ラベルも無機的でおしゃれだが、実利的な意味もあるんだね。

 

 

ちょっと気になる酒器。

 

 

陶芸家・石井直人氏の作品だった。観ているうちに欲しくなった。小林秀雄の気持ちが判る気がする。訊けば販売もするという。しかし、値札が付いていない。焼き物の値段はその大きさに比例するとは限らない。鉄錆色の自然釉が美しい小鉢に、海胆や魚卵を載せて一杯やる。いいかも。恐る恐るスタッフに訊いてみた。

 

「値札がついていませんね。調べてみます」

 

と言って、カタログを調べ始める。みれば30,000円とか50,000円とか、予想外の値段が普通に書かれている。やはり大家の焼き物は(特に僕のような初心者は)手を出すべきものではない。そのうち「判りませんね」と云ってくれることを祈り始める自分がいた。

 

「うちで使っているものも一緒に展示してありますからね」

 

そうか。だから縁の缺けたものもあったのか。しかし、考えてみれば18代目の眼鏡にかなったものが並んでいる訳で、これから先、その酒器に酒肴を載せて、にいだの酒を頂戴すれば最高に愉しいのではないか。値段が判明し、結局譲ってもらった。高台にやや特徴のあるそれを今後の酒宴で使うことにした。思ったほど高くなかったし。

 

「マヒしているにゃ」サル

 

こうしてジジイは焼き物にハマっていくのだろう。

 

 

帰りに仕込み水を頂いて帰ることにした。

 

「どんどん注いでおくれ」サル

 

おサルは5本の空ペットボトルを車中に常備するほどの湧き水好きなのである。

 

こんなに汲んで何に使うの?

 

「コーヒーとお料理」サル

 

(確かに数日でなくなった)

 

 

これからも月替わりで銘酒は醸される。スタッフもとても感じが良かった。通うには少し遠いが、近くに特約店も見つけたし、これから先も愛飲することにした。いい蔵だった。

 

(福島桜めぐりの旅おわり)

 

ご訪問ありがとうございます。