最強の石油泉 新津温泉(新潟県) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

さるひつの温泉めぐり♪【第56回】

新津温泉

 

往訪日:2019年3月3日

所在地:新潟県新潟市秋葉区新津本町4-17-13

泉名:新津温泉

泉質:含ヨウ素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉

泉温:44.7℃

色合:僅かに褐色を帯びた透明な湯

味臭:塩分と強烈なエグ味/灯油臭さ

pH値:7.6

■営業時間:8時~19時

■料金:400円

■駐車場:20台程度

 

≪好き嫌いがはっきり分かれる最強の油湯≫

 

こんばんは。週末を仕事に取られて快晴の空を恨めしく眺めたひつぞうです。さてさてブログの続きですが、皆さんなかなか鋭いですね。ほぼ当たりでした。翌日は最強の油湯として温泉マニアの間で名高い新津温泉を訪ねました。

 

現在新潟市と合併して秋葉区と名を変えた新津(にいつ)の町はJR羽越本線関越本線磐越西線が行き交う鉄道交通の要衝として知られ、また油田の町として一時期隆盛を極めた。大正時代をピークに産出量が減り、1980年代にほぼ産業としての役目を終えたという。

 

本来であれば「日本の地質百選」でもある新津油田の資料館はぜひ押さえたいところだが、また来る機会もあるので今回は見送り、激渋系の温泉に行くことにした。

 

★ ★ ★

 

夙に知られたことだが、新津温泉は原油採掘の副産物として誕生した。原油の代わりに偶然得られた源泉は、地下933mの地層から噴き出す47℃の高温で、三~四ヶ月に一度の割合で間欠泉のように噴き出すらしい。この現象は以前往訪した新栃窪温泉と一緒だ。しかし新栃窪温泉は然程きつい刺激だとは思わなかった。当時のブログには「薄めれば美味しく飲めそう」とまで書いている。

 

ところが新津温泉に限っては「一度入ると全身灯油を被ったかのような刺激臭」と穏やかならぬ記述が見られるのだ。

 

「こりゃ行かないとにゃ!」サル

 

温泉に関してはほぼヘ○タイの境地に達したおサル。是非行きたいというので期待と不安を背負って現地に向かった。

 

阿賀野市から国道460号線を南西にくだり、阿賀浦橋の14連のランガー桁を渡る。「調べて行っても迷いやすい」とあったので、秋葉交差点を右折し、皆が迷い込むショッピングモール「ベルシティ新津」にあえて向かった。行けばヒントがあるだろう。

 

やはりベルシティの裏側の駐車場についてしまった。ただ場所はほぼ合っている。ネットで建物の外観だけしっかり記憶していたので、ここではないということだけは判る。一度表通りに出て戻るように左折した。すると…

 

 

あったよ。こりゃ秋葉交差点から来ると見えないわな。

 

 

更に進むと、紛うかたなき新津温泉の看板があった。車が二台停車している。先客がいるのだろうか。

 

 

個人住宅なのか、建設会社の社屋なのか、判然としない建物があった。おサルが不審そうに覗き込んでいる。

 

「本当にここでいいのち?」サル

 

書いてあるよ。新津温泉って。

 

 

朝八時から開いているんだよね。入浴料は一人400円。おサルが五千円札を出すから厳つい小父さんに渋い顔をされた。そりゃそうだ。僕の乏しいお小遣いから二人分払った。

 

「よっ!お大臣」サル

 

その直後に常連と思われる男性が金を払うとツツッと廊下の奥に消えて行った。

 

 

建物に入っただけで強烈な石油の匂いが漂ってきた!油粘土なんて可愛い表現では生易しすぎる。この臭いは紛れもなく灯油だよ。

 

廊下横の障子の間は休憩施設になっていて料金600円。

 

 

ただどう見ても利用されている形跡がない。参考にしたブログではそこそこ綺麗に掃除されて、テーブルなんかもあったのだが。ストーブもあるから、お願いすれば使わせてくれるのだろう。きっと。

 

 

奥に進むに従い、匂いは一層強烈になってきた。本当に入れるのか…。激渋系温泉にありがちな、意味不明なオブジェや、判る人にしか判らない写真が展示されていた。

 

 

この奥が脱衣場になる。残念ながら男性客が数名利用中。こりゃ取材不可だなあ…。

 

「こっちは誰も居ないにゃ」サル

 

ということで甘えさせて頂くことに。誰か来たら即撤収するという条件で。すみません。非合法ギリギリで。

 

 

脱衣場はこんな感じ。ストーブがあるけど大丈夫なのか?内部の壁には「火気厳禁」と貼り紙が附されているけれど…。とにかく凄い匂い…。

 

「ちょっとダメかも」サル

 

とおサルも弱気な発言。

 

 

源泉はここでボーリングされている。壁の中央下に小さな四角い穴があるでしょ。ここから定期的に湯が噴出するそうな。それはもう消防ホース並みの暴れ方らしい。是非見て見たい。

 

 

まあ。女子にはなかなかハードルの高そうな湯だよね。

 

 

源泉は右の塩ビ管から注がれている。ペットボトル1本分であれば飲泉用に持ち帰ることができるとも書いてある。味見してみる(当然ですが男湯で実施)。

 

ま、まずいあせ

 

強度の塩分に加えて、石油を飲んだらこんな味かというような、なんとも形容困難な、渋みや苦味とも違うエグ味で口腔がいっぱいになった。

 

 

洗い場はこんな感じ。蛇口の湯は普通の湯だった。

 

 

ヨードを含んでいるので淡い褐色を帯びている。触れてみると熱い。ちゃんとした温泉だよ。これ。ということで(男湯に)入りに行った。源泉様は地元民に占拠されていたので、僕は下流の爺汁でへたった湯に甘んじることになった。

 

 

天井にはこのように換気塔がついているのだが、相変わらず気分が優れない。新車の匂いや、機械工場の匂いが駄目な御仁は10分持たないかもしれない。その儘では失神するかもしれないのでやむなく出ることに。着替えて女性湯に声をかけると、やはりおサルだけのようだ。

 

もう出ようと思うんだけど。

 

「え~っ!もう?」サル

 

不本意そうな返事が返ってきたのち、暫く経っておサルが出てきた。

 

「すっごいヌルヌルの極上泉だったにゃ!」サル

 

至極ご満悦の態である。そりゃそうだよ。おサルの方はヴァージン湯だもん。塩分に、ヨウ素に炭酸が大量に含まれているから、怪我や皮膚のケア、打ち身捻挫、胃腸病、全てに効能あらたかな万能泉だと頭では理解できる。しかしあの匂いに勝てなかった。

 

次回はまた別の石油鉱泉で勝負だ。

 

「弱っちいヒツジだにょ」サル

 

(おわり)

 

いつもご訪問ありがとうございます。