≪断層によって横ずれした鳥居≫
こんばんは。全然山に行かないひつぞうです。この週末は西伊豆旅行に行きました。「おいしい海の幸を食べたいね」というおサルの一言が生み出したコンセプト旅行です。
近いのに意外に足が向かない伊豆半島。お山のご縁が少ないせいかな。この日最初に往訪したのは「伊豆半島ジオパーク」のひとつ丹那断層公園。当然僕の趣味。
丹那断層は1930年の北伊豆地震を引き起こした全長30kmにも及ぶ断層帯。その震災の記憶を後世に残すために公園として整備されている。その象徴的存在が火雷(からい)神社だ。
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「火雷神社」
往訪日:2019年3月9日
所在地:静岡県田方郡函南町田代57
常時往訪可/入場無料
駐車場なし(路肩に1台+空き地に3台)/トイレなし
この日は国道1号線を利用して初めて箱根峠を越えた。もちろん予算節約のためである。そして十石峠に至る緩やかな東伊豆の稜線を軽やかに飛ばして丹那盆地にくだっていった。
丹那盆地は地殻変動が惹き起こした典型的な構造盆地であり、特に両サイドに生じた断層面が特徴的なんだ。これを地溝盆地と細分化して云うんだよ。諏訪盆地もそうだね。諏訪湖は断層の沈降でできた。なので河川の浸蝕による盆地とは違う。ここ丹那盆地も南北に明確な谷が形成されているものの河川らしい河川がない。その事からも裏付けられる。
「面白いのち?」
もうたまらなく♪
その北伊豆地震で発生した横ずれ断層の痕跡がはっきり残っているのが火雷神社なんだ。昔の地学の図鑑や教科書には必ず載っていた。初めて訪れるのでわくわく!
あたりは河津桜が満開だった。ところが近くまで来ても神社の案内がない。地図落としして訪れたほうがいいかな。車は神社奥に3台ほど停められそうだが専用駐車場であるかどうか不明。段差があるので車高の低い車は要注意。ほんとに小さな神社だった。この(上の写真の)鳥居は震災後に再建されたもの。
おお~!これこれ。これよ。思ったより小さいね。もっと高台にあるのかと勝手
に想像していたけれど、盆地の田圃脇に鎮座していた。倒壊した鳥居は、その
まま放置されて完全に苔むしていた。階段と位置がずれているのが判る。
上から見ると鳥居の残骸がよく判るよ。
「おサルには感動のツボが全然わかんにゃいだよ」
それじゃ続けて丹那断層が保存されている公園に向かおう♪
(すでに自分だけの世界)
★ ★ ★
「丹那断層公園」
所在地:静岡県田方郡函南町畑字上乙越253-4
常時往訪可/入場無料
駐車場(5台ほど)/水洗トイレあり/ベンチあり
距離にして4km余り南下する。ちょうど丹那盆地の南端にその公園はあった。
全国のジオパークが整備されたせいだろうね。すっごく立派な公園だった。
火雷神社と断層公園を繋いでウォーキングコースとして整備されているみたい。
しかし所要時間2時間1分って、その1分に拘る意味はなんなのだ?
判りやすい模型も屋外展示されている。赤い太線が断層の方向を示す矢印。黒い破線は新幹線の新丹那トンネル。綺麗な円形の盆地を形成しているのが判るよね。実は縦方向に軽井沢地区、田代地区が小盆地として並んでいるのが、地理院地図を眺めるとわかる。これ、後立山連峰の山麓に並ぶ木崎湖、中網湖、青木湖と糸魚川-静岡構造線の関係とよく似ている。
こうして⇒を追えば断層の存在がよく理解できるというけど…。判るかい?
「ただの芝生ですにゃ」
では屋根で覆われた露頭を観察してみよう。
「ふむふむ。ただの崖ですにゃ」
おサルが立っている場所で左右の土質が違うじゃん。
「そうは云ってもただの泥にしか見えないですにゃ」
まあ。横方向から見ても判りづらいかもね。でもほら…
こうしてみると真ん中の崩落した部分を境に、左側に火山礫と土砂の堆積層、
右側には細かい火山灰層と、くっきり分かれているでしょ。
「わかんないよ!」
南側はどうよ。こっちは(浸蝕されていないだけ)更に明確だよ。
「わかんないのはひつぞうが何に感動しているかだよ!」
えっ!だってさ。この異なる地層はここだけでなく、ずっと南北30kmに亘って続いてる訳だし、このプレートのずれが巨大地震を惹き起こしたと想像するだけで地球の営みが体感できてすごいと思わない?
…じゃこっちからさっきの芝生を見てよ。
「あっ!確かに丸い石囲いと溝がずれている!」
そうなんだ。地震当時、ここには民家があって、そのゴミ捨て場と排水溝の跡
らしいよ。民家は処分されて遺構だけが残ったんだって。
延長線上には、やはりずれた石垣があった。
当時の写真。昭和五年だからこれら貴重な写真は研究者が撮ったものじゃないかな。地割れが物々しいし、なにより火雷神社の石段基部の横ずれが顕著。やっぱり地震は恐いね~。阪神大震災をモロに味わった者としてはね。
「ひつぞう愉しそうだけど。おサルの眼には」
さてジオパークも堪能したし、西伊豆を目指しましょうかね。
(つづく)
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