これ、いいな♪ -3ページ目

これ、いいな♪

縁があってわたしが出会ったものたちを書いています。最近は、自分の忘備録にしています。

平成24年㋀31日発行 角川書店

261ページ 書き下ろし

デビュー作

★★★★☆ 4点:個人的な感想

 

↑画像は文庫ですが、読んだのは単行本です。

 

【あらすじ】

幼馴染で親友同士。

芸能のバイトから、有名になっていく親友。

距離が出来てしまったふたりだが、再会して・・・

 

【感想】

加藤シゲアキ氏の文章がとても気に入ってしまったので、

この本も読んでみました。

デビュー作ということですが、

文章が良くて、

つづられた世界に、ずっと浸っていたい気持ちでした。

 

物語は、後半かなりしんどかったです。

個人的な理由もあります。

 

私は、この作者の文章が好きです。

どの言葉で表現しようか、

真摯に選んでくれているような気がします。

 

例えば、

「ざらついた天井がにじんで滑らかになっていくのを

 僕はしばらく眺めていた。」

上を向いて、涙がにじんでいく様子だけでなく、

心情も表現されていて、読んでいて心地いいです。

 

 

私は見ていませんが、映像化されているようです。

 

 

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1989年10月15日 早川書房 273ページ(2段組)

ミステリー小説 ハードボイルド小説

第102回(1989年下半期)直木賞受賞

★★★*☆ 3.5点:個人的な感想 

 

↑こちらは文庫本ですが、私が読んだのは単行本です。

 

【あらすじ】

探偵沢崎は、依頼先に向かい、少女誘拐事件にかかわることになる。

この事件の真相を追うことになった沢崎。

事件は、意外な方向へ動いていく。

 

【感想】

本は厚くないですが、2段組なので、結構長編でした。

ネガティブな表現が多いので、なかなか読み進められませんでした。

 

意外な真相ではあったと思います。

でも、そのため、無理があるような気がしないでもなく、

ミステリー小説というより、

ハードボイルド小説として楽しむ作品だと思います。

 

 

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2015年6月1日発行 KADOKAWA 251ページ

6編の短編集

連載を加筆修正。1作品書き下ろし

★★★★☆ 4点:個人的な感想

 

【あらすじ】

圧倒的な創作力を持つ女性にひかれた美大生。

幼馴染の秘密を知り、葛藤する中学生。

・・・青春小説、ホラーテイスト、SFなど、

バラエティに富んだ短編小説集。

 

【感想】

良かったです。音譜

加藤シゲアキ氏の書かれる文章が、とても好きです。

読んでいて本当に気持ちよくて、

心地いい読書の時間が過ごせました。

 

物語は、短編小説集で、

ちょっと切ない出会いと別れの青春小説や、

星新一氏の作品のようなSFでブラックな物語や、

色々な物語で、面白かったです。

 

前にたまたま読んだ本がとても良くて、

もっと読んでみたくなって読んだのですが、

本当に読んでよかったです。

他の本も読んでみたいと思います。

 

こんなに気持ちのいい読書ができたのは、

最近ではあまりなかった気がします。

 

ひとつ残念なのは、

やっぱり若い作家さんなので、

私の読みたいジャンルからは、やや外れているんですね。

20代に読んでたら、彼の描く世界と文章に、

もっと浸れてたんだろうと思います。

これは私個人の問題ですけどね。

 

芸能人として活動されていますので、

これから先の執筆活動はどうなるのでしょう。

作家としての彼の作品を楽しみに待ちたいと思いますし、

これからも読んでみたいと思っています。

 

前に読んだ本は、こちらですが、

人にオススメしたい本です。ダウン

 

 

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1990年9月25日 新潮社 202ページ

ミステリー小説

(画像は文庫版ですが、読んだのは単行本です)

★★★☆☆ 3点:個人的な感想

 

【あらすじ】

別荘で起きた殺人事件。

警察の捜査の中、殺人は連続して行われた。

 

【感想】

ずっと読みたかったのですが、

なかなか手に入らず読めていませんでした。

きっかけは、

このミスや本屋大賞に選ばれた作品を酷評していた方が、

オススメされていたからです。

 

楽しみにしていたのですが、

私には合いませんでした。

読んでいて、違和感を感じる部分が多くて、

分かりづらさを感じながら読み進めていく、という感じでした。

 

このあとネタバレ感想です。

 

思い切りネタバレします。

 

 

 

 

叙述トリックなんですね。

なので、書かないようにされていて、

物語が分かりにくいんです。

 

まず、一人称のおれが、誰なのか。

章が変わると語り手が変わっているのが分かったりするのですが、

それが誰なのか分かる部分が出てこない。

 

誰が話しているのか分からない部分がある。

 

登場人物の名前が分からない、というか、

ひとりだけ苗字と名前が繋がらず、

ずっと違和感を感じ続けるので、気持ち悪い。

 

事故に遭って足が不自由になったと思われる人物が、

立ち上がったりするので、説明不足にイライラしちゃいました。

え?車いすはもう必要ないの?とか、他に気を取られました。

 

うまくミスリードしてもらえなくて、

読んでいて疲れました。

 

もしかしたら、最初から叙述トリックだと知っていて、

どこに仕掛けがあるんだろう、という気持ちで読んでいたら、

もっと楽しめたかもしれません。

 

 

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2019年4月15日 文藝春秋 313ページ

書き下ろし サスペンス小説

★★★*☆ 3.5点:個人的な感想

 

【あらすじ】

国会議員の孫娘が誘拐された。

犯人の要求は「お前の罪を自白しろ」。

その目的は?

被害者の孫娘は無事に救出できるのか。

 

【感想】

被害者が3歳の女児だったので、

物語とはいえ、しんどい事件ですねショボーン

 

被害者の身内は、政治家が多く、

立場やその上との関係もあって、

犯人の要求通り話すわけにはいかず、

その駆け引きなどは、緊張感がありました。

 

このあとネタバレ含みます。

 

犯人の動機が、納得しかねるものでした。

それなら、わざわざ誘拐事件を起さなくても、

他のやり方の方が良かったのではないかと思いました。

 

それに、その動機で3歳の女の子を誘拐するなんて、

最初は、始末してしまう計画がされていたので、

そこまでして罪を重ねようとするのが、腑に落ちないです。

 

犯人の目的が、

その要求「罪を自白しろ」から想像させられる

正義感とか、政治家同士の何かとか、私怨とか、

そういうものでは全くなかったのも、残念でした。

 

それでも、犯人やラストをもっと読み応えのあるものに仕上げていただいていたら、もっと楽しめたかな。

 

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2017年12月12日 扶桑社

AGE22(上巻)208ページ 連載を加筆修正

AGE32(下巻)330ページ 書き下ろし

★★★★☆ 4点:個人的な感想

 

【あらすじ】

就職浪人を決めた光太は、ホストにスカウトされた。

やがて就職した光太の周りで起きた事件や悲劇。

その真相は・・・

 

【感想】

気持ちのいい読書の時間が過ごせました。

とても読みやすい文章でした。

 

物語としては、かなり都合のいい展開ではあると思います。

主人公の光太は、

就活に失敗したと言え、

留年中にしていたホストのアルバイトでは、半年でトップになったり、

就職すれば、天才と言われるようになり、

何かを調べれば、頼りになる協力者のおかげで真相が見つかり、

そして、普通なら決してたどり着けない答えも見つけることができます。

 

物語はそんな感じなので、甘いなぁと感じたりはしています。

 

でもね、文章が好きです。

言葉を丁寧に選んでいるように感じるし、

勝手な想像ですが、

アイドルという職業を持つ作者ですので、

小難しそうな表現をわざと使っているような、

そんな回りくどい感じがあるようにも思いました。

それでも、そこが逆にね、言葉や文章に、

とても真摯に向き合っているようで、

読んでいて、嬉しい気持ちがあふれてきました。

(本当はすごい天才で、

 さらっと書かれているのかもしれませんけどね)

 

次を読ませるように、急な展開を見せてくれたり、

そんなところも、読者を楽しませてくれる仕掛けのように感じました。

 

加藤シゲアキさんのファンではなく、

単純にミステリー小説を読みたくて、手に取った本でしたが、

嬉しい出会いでした。

 

他の本も読んでみようと思います。

 

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2004年8月13日 東京創元社 文庫 303ページ

昭和46年12月に書かれ、

その後異なるタイトルや出版社で発表される

★★★☆☆ 3点:個人的な感想

 

【あらすじ】

ある作家が服毒自殺と思われる死を遂げた。

その死に疑問を持った二人の人物が、その死を調査していく。

 

【感想】

ずいぶん昔に書かれた作品なんですね。

その頃に読んだら、もっと面白かったのかもしれません。

また、ずいぶん改訂されたようですので、

改訂される前のものを読んでいたら、よかったかもしれません。

 

・・・そういう感想で、今読んで面白いかと言われると、

いくらなんでも強引すぎるトリックじゃないかと、感じてしまいます。

 

 

ここからネタバレ。

実は、途中でトリックを知ってしまいました。

読んでいて、物語の時代が古いし、違和感を感じて、

いつの作品なのかと、後ろの方のページを少し見てみたら、

ネタバレの文字を見てしまったんです。

 

それが分かってしまってからは、

サスペンス小説と思って読んでいったのですが、

それはそれで面白かったです。

 

けれど、同姓同名の作家ってね、

この偶然が現実にあったとしても、

物語にするには、しかもそれをトリックに使うのは、

あまりにも強引すぎるし、ずるいんじゃないかと感じてしまいます。

あんまり後味のいい印象にはなりませんでした。

 

 

うさぎ   うさぎ   うさぎ           うさぎ   うさぎ   うさぎ

 

 

 

2007年1月11日 講談社

上巻243ページ 下巻317ページ

青春ミステリー小説

★★*☆☆ 2.5点:個人的な感想

(画像は文庫ですが、読んだのは単行本です)

 

【あらすじ】

若きクリエーターたちが暮らすシェアハウス。

そこでの生活や、秘密や、恋愛のお話。

 

【感想】

上巻は、とてもとてもたいくつでした。

何度か、読むのをやめようと思いましたが、

最後まで読むと感動があるというのを、

ネットで見たので見たので、最後まで読みました。

 

・・・ですが、残念ながら、私には合いませんでした。

 

本当につまらなかったので、

忘備録としてネタバレ感想書きます。

 

昔のトレンディドラマのようでした。

美男美女の、若きクリエーターたち。

個性の強い住人たち。

 

そして、中心となっているふたり。

どっちもストーカーだよね。

作家のファンで、その作品に救われてきたのかもしれないけど、

そこまで追いかけて近づこうとする行為も、

恩人だからと、わかっていながら追い続けるのも、

やりすきていて、コワイ。

 

好きな人がいるのに、別の人と付き合うことも、

とても不誠実に思えるし、

諦めているからといって、好きな人に恋人の存在を知らせていたり。

そういうところが、カワイイとか、そんな風に思えない。

 

自分の考えだけで、それが相手のためになると信じ切って行動したり、

でもそれって、自分がしたいだけで、

相手のためになるかなんて、もっと深く考えるべきだと思うし。

 

・・・最後、「あらゆる物語のテーマは結局愛だよね」でまとめられてしまっていて、

愛なんていう、あいまいなもので片付けられてしまうなんて、

本当にがっかりしました。

 

評価の高い作品なので、

ファンの方には申し訳ない感想です。

 

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双葉社 1992年7月15日発行 355ページ

ミステリー小説

(★★★★☆ 4点:個人的な感想)

 

【あらすじ】

ケガで休職中の刑事、本間は、

遠縁の男から、失踪した婚約者を探してほしいと頼まれる。

 

けれど、婚約者の彰子は、別人であることがわかり、

その足取りも、正体も消されていた。

彼女は何者なのか。なぜ、姿を消したのか。

 

【感想】

ずっと以前に読んだ小説の再読です。

評価が高い作品ですが、

あんまり記憶になかったので、再読しました。

 

宮部みゆき氏の作品は、

以前たくさん読んでいたのですが、久しぶりでした。

読みやすいし、ページをめくるのが楽しい時間を過ごせました。

 

ここからネタバレ含みます。

 

まだ発覚していない事件なので、

犯人を捕まえる物語ではありません。

一人の女の人生と恐ろしい計画を、描いています。

 

けれど、物語として、

その女の思いや願い、それらが描かれていないので、

新しい人生を手に入れるために、

おそらく人を殺したであろう、その気持ちや覚悟が伝わってこなくて、

物足りなさを感じました。

 

・・・人を殺してまで別の人生を手に入れたいという、

一度失敗し、もう一度同じことをしようとしている、

そんな恐ろしい考え方が、

描かれている女性像から、ピンとこなかったように感じます。

 

 

うさぎ   うさぎ   うさぎ           うさぎ   うさぎ   うさぎ

 

 

2019年7月5日 NHK出版

書き下ろし 377ページ あとがき3ページ

(★★★☆☆ 3点:個人的な感想)

 

【あらすじ】

会社員の岸は、都議会議員とアイドルと知り合う。

彼らとは、不思議な夢と過去の出来事の繋がりがあった。

 

【感想】

小説の間に、コミックパートが入っている構成。

ミステリーではなく、不思議な物語でした。

 

伊坂作品らしい、独特の軽さと不思議さを持った物語でした。

 

 

このあとネタバレ感想です。

 

夢で見た物語と現実が繋がっていて、

夢の結果が現実に影響しているのだけれど、

理由や意味がなくて(読み取れなかっただけかもしれませんが)、

驚きや感動が薄かったです。

 

現実と別世界の物語が交互に語られ、それが繋がっていく・・・

昔、『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』(村上春樹)を読んだときのような感動は、なかったかなぁ。

 

小説とコミックパート、語られる物語が繋がっていくのは、

見事だなぁと感じました。

 

あと、伊坂作品にある、倫理とか道徳に反するものに対する肯定が、受け入れきれない部分もありました。

 

 

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