今週の火曜日(2023/7/4)で豪雨災害から3年目になります。

多くの方の支援のお陰で人吉球磨でも日常生活は戻りつつありますが、そうはなっていない

JR肥薩線の復旧後の利活用策

に関する報道がありました。
 

そもそもは、

熊本県は28日、2020年7月豪雨で被災したJR肥薩線の復旧後の利活用策として、来年3月で引退するSL人吉に代わる観光列車を導入する案を提示した。肥薩線の持続可能性について協議する国、県、JR九州による検討会議で説明した。

に於いての話なのですが、もう少し記事本文から引用すると、

肥薩線の復旧後の利活用策については「住民生活」「観光資源」「県南周遊」「広域集客」の四つの分野で協議している。

ということなので、具体的に見て行きます。

先ずは「住民生活」で、現在検討しておられるのは、

くま川鉄道、JR鹿児島線との直通運転や、パークアンドライド用の駐車場整備を提示。

です。

本ブログでは、ココで既に提案していることもあり、くまがわ鉄道との一体運営は賛成ですし、パークアンドライドのことも私案を書こうと思っていたところです。

でも、直通運転やパークアンドライドによって肥薩線の利用客を如何にして増やすかということが肝心であり、セットで考える必要があります。

次は「観光資源」で、

「観光資源」の柱として新たな観光列車を盛り込んだ。

とあります。

というのは、

SL人吉は営業運転している蒸気機関車としては国内最古。09年から肥薩線、鹿児島線の人吉─熊本を走っていたが、豪雨で被災して一部不通となった。来年3月まで鹿児島線の熊本─鳥栖を走る予定だ。

なものの、本ブログでもココに書いたように、SL人吉は2024年で運転を終了してしまうからです。

正直なところ、今でもSL人吉に未練がありますが、今後のことを考えると新しい道に踏み出す時かもしれません。

そこで、ココでも書いた、スイスの絶景列車のような車両の導入とある程度の高速化も検討しましょう。

 



SL人吉の場合、運行は一日一往復でしたが、新車両なら二往復から三往復が実現できるかもしれません。

その場合、平日は通勤・通学の足としての利用も含めると運賃収入増が期待できます。

3番目の「県南周遊」は、

鉄道利用者向けの割り引きレンタカーの提供

だそうです。

実運用的には、既存のレンタカー会社との提携ということになるのでしょうが、割り引きの原資を確保する必要があります。

ならば、既にあるレンタサイクルの広域化も考えた方が良いかもしれません。

そして、最後の「広域集客」とは、

修学旅行誘致

とのことだそうですが、本ブログのココとかココで、

  • 鉄道型修学旅行
  • 災害復旧見学型修学旅行
  • 震災・防災学習型の修学旅行

を既に提案しています。

ただ、今回の問題は、

利活用策にかかる費用や実施時期は示していない。経済効果や費用負担の方向性を含めて再構築した上で、今秋をめどに最終報告を取りまとめる方針だ。

であり、JR九州の松下琢磨総合企画本部長が、

方向性は理解できたが、復旧には持続可能性が欠かせず、さらに検討を深める必要がある

と言っているのは、

  • 利活用策が本当に実現するんですか?
  • 先々迄続くんですか?
  • その裏付けは何ですか?

ということでしょう。

それに対して、「やってみなければ分からんです。」「どうしたらよかですかね?」では、JR九州さんにリスクを取って貰うことはできませんし国の後押しも期待できません。

先の記事にあるように、この4つの利活用策を

県は昨年12月から地元市町村と将来の地域の全体像や地域交通の在り方などを検討。

してきたとのことですから、人吉球磨の各市町村からの意見も反映されたのだと思います。

しかし、より踏み込んだ案を具体化した上で地域以外も含めて多くの方の賛同を得る必要があります。

特に今回の利活用策の内、3つは観光関連ですから、例えば、人吉温泉観光協会さんや人吉球磨観光地域づくり協議会さんに於いて、

  1. 「観光資源」「県南周遊」「広域集客」に対する具体案を立案する(websiteに掲載)
  2. SNSで発信して多くの人から意見/賛同を求める
  3. 将来の一般旅行客や修学旅行客の掘り起こしを図る

により、予想見込み客数をJR九州さんや国土交通省さんに対して提示したらどうでしょう。

今秋の「最終報告」まで、あと僅かです。

くまがわ鉄道と肥薩線は地域の背骨であり、この復興なくして、人吉球磨の再生はありません。

関係者の皆さんにおいては早急に動いていただくようお願いします。