カラヤンとバーンスタインの間で小澤征爾は・・・ | 人差し指のブログ

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「 阿川佐和子の世界一受けたい授業 」

阿川佐和子 (あがわ さわこ 1953~)

株式会社文藝春秋 平成24年11月発行・より

 

 

   授業 ①  クラシック音楽について 小澤征爾  

 

 

 

 

小澤 僕、本当はベルリンに行って一年間、カラヤン先生に教わるはず

    だったのが、八ヶ月目ぐらいにバーンスタインからアシスタントに

    ならないかという招待状が来ちゃったんです。

 

 

    そのとき、カラヤン先生はヨーロッパの帝王で、バーンスタインは

    ニューヨーク・フィルにいてアメリカの大ボスで、仲が悪いとされてた

    の。

 

    だから、僕、先生に招待状が来たと言うのが怖かったんですよ。

 

 

阿川 そりゃそうですね。

 

 

小澤 反対されると思った。

 

    バーンスタインみたいなヤンキーに習うのはよくないと。

 

    しかも、自分が教えている最中ですから。

 

    で、恐る恐る言ったら、 

    「絶対行くべきだ。一年ぐらい? じゃ、帰ってきたら、またこっちで

    やればいい」 と。

 

 

阿川 寛大なお言葉! で、バーンスタインさんはいかがでしたか。

 

 

小澤 やっぱり天才だから、とてもじゃないけれど真似したってダメだなと

    思いましたね。

 

 

    彼の場合は音楽に対する姿勢が天才的で非常にオリジナルなんで

    すよ。

 

 

阿川 どういう影響を受けましたか。

 

 

小澤 「伝統なんか考えないで、自分がスコアを読んだ、その感覚を信じ

    ろ。自分のそのときの知識とか年代で分かったことをやるのが一番

    いいんだ」 

 

    というのが、彼のやり方ですから、伝統がない国から来た僕には

    大変ありがたかったです。

 

                   ( 「週刊文春」 1996年10月10日号 )

 

 

                                          

 

 

2019年10月7日に 「カラヤンは音楽会の後で・小澤征爾」 と題して

小澤と阿川佐和子の対談を紹介しました。コチラです。↓

https://ameblo.jp/hitosasiyubidesu/entry-12530418968.html?frm=theme

 

 

 

2017年2月27日に 「小澤征爾の名前の由来」 と題して平川祐弘の文章を紹介しました。コチラです。↓

https://ameblo.jp/hitosasiyubidesu/entry-12250474072.html

 

 

2017年1月17日に 『ウィーンフィルの「旅の恥は・・・」』 と題して石堂淑郎の文章を紹介しました。コチラです。↓

 
 
 
 
 

                          1月14日奈良県庁前にて撮影

                            奈良・東大寺南大門

                             東大寺大仏殿付近