売買契約成立後の問題
売買契約が成立すると、契約当事者(売主と買主)に権利及び義務が発生します。
人が物を支配する権利を「物権」、人が人に何かを要求できる権利を「債権」といいます。
例えば、売買契約でいえば、物権的には、物の所有権が売主から買主に移転するという反面で、債権的には、物の所有権を譲り渡さなければならないという売主の義務と、所有権を受け取ることができるという買主の権利とともに、商品代金を支払わなければならないという買主の義務と、商品代金を受け取ることができるという売主の権利を発生させます。
今回は、売買契約成立後の問題として、代表的なものをご紹介します。
〇債務不履行
債務者が正当な理由がないのに債務の本旨に従った履行を行わないことを「債務不履行」といい、以下の3つの場合があります。
1、履行遅滞
債務を履行できるのに、債務者の帰責事由(=債務者の非難されうる原因)により、かつ正当な理由なく、履行期限までに債務を履行しないこと。
例えば、商品代金を決められた支払期日までに支払わなかった場合です。(商品代金支払債務の履行遅滞)
2、履行不能
契約締結時には履行可能だった債務が、その後債務者の帰責事由によって、履行が不可能になったこと。
例えば、売買する商品を引き渡す前に落として割ってしまい、売れなくなった場合です。(所有権移転債務の履行不能)
3、不完全履行
債務は履行されたが、不完全な履行(不良品、数量不足など)であり、債務の本旨に従った履行がされていないこと。
例えば、商品を引き渡したものの、契約した個数より少なかったり、キズがあったという場合です。(所有権移転債務の不完全履行)
〇債務不履行の効果
債務が不履行であった場合に債権者が債務者に対してできることは、以下の3つです。
1、現実的履行の強制
裁判所に訴え出て、強制的に履行を請求することができる。
2、損害賠償の請求
債務が履行されないことに関連して被った損害賠償を請求することができる。
3、契約解除
契約をなかったことにすること。
〇瑕疵担保責任
特定物(世の中に代わりのないもの)の売買の場合、物の引渡しが行われたあとでも、その物に引渡し時には気付かなかった隠れた瑕疵があったときは、買主は売主に対して、損害賠償の請求や契約の解除ができます。
但し、債務不履行責任や瑕疵担保責任は法律の原則であり、売主・買主の間で、別途合意(契約)した場合は、その合意(契約)の内容に従うことになっています。
これで、契約関連の法律知識の連載は一旦終了です。