今日も独りで映画館 -22ページ目

『ぐるりのこと。』(2008日本)

2008年6月13日(金) シネスイッチ銀座

『ぐるりのこと。』(2008日本)

http://www.gururinokoto.jp/


一組の夫婦の10年間に寄り添いながら、もっとも近い過去、平成初期を追体験する。過ぎ去っていった過去と、待ち構えている未来。いまを生きるすべての人に、自分をとりまく様々な環境=“ぐるりのこと”がある


決め事を優先するしっかり者の妻・翔子(木村多江)と、程よくゆるめの性格で気負わずに生きる夫・カナオ(リリー・フランキー)。ふたりが送る決して順風満帆とは言いがたい10年間を見守りながら、“一緒にいたい”と思う気持ちがもたらす力強さに勇気付けられる。


始まりは、仕事も女性関係も脇が甘いカナオをよくできた妻の翔子が程よく管理して支えていく話かと思いきや、とんどもない。初めて授かった子供の死をきっかけに、妻・翔子が精神のバランスを崩していく。


そして、先輩の紹介で「法廷画家」という自らの特性に適った仕事に出会ったカナオはやさしく温かな包容力を発揮し、妻の側を離れず、翔子を見守る夫として、また社会に鋭く関わる仕事に生きる男として、緩やかながら成長していく。


木村多江がしっかり者から一転、不安定な心の闇に怯える女性を感性豊かに演じる。小さい出版社ながら編集者としての信条に重きをおき、後輩の男性社員に苦言を呈する翔子。来日中の女流作家を売り出す書店サイン会の最中に取り乱し、書店の隅で泣き崩れる翔子。ひとりの女性が内包する多面性を表現する。


相手役を務めるリリー・フランキーは、時に豹変する妻を“好きだから”という一心で丸ごと受け止めるカナオの柔らかい魅力を、自然体で魅せる。小さな声で時にハッとさせられるセリフを放ち、独特の空気感をまとった佇まいで存在感を示す。絵心のある本人の特技を生かした「法廷画家」という役柄にピタリとフィットした。


互いに一緒にいたいと思える相手がいれば、そこに信頼が生まれ、希望が宿る。逆風の中で10年を生きたふたりは大丈夫。きっと次の10年も“ぐるりのこと”と向き合いながら、一歩一歩ふたりの人生を生きていけるはず。


『ぐるりのこと。』(2008日本)

監督・原作・脚本:橋口亮輔

出演:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、柄本明、寺田農、寺島進

配給:ビターズ・エンド

上映時間:2時間20分

公式サイト:http://www.gururinokoto.jp/


シネスイッチ銀座

中央区銀座4-4-5

TEL: 03(3561)0707

劇場サイト:http://www.cineswitch.com/


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