ざりざりと口の中が音をあげはじめて

沸き上がる 不穏な泡


連鎖的にイメージがスライドし始め
昨日の酒を思い出してさらに酔う



カレンダーを見て時計をみて
手のひらを開いて見る

一粒のとっておきのレーズン


口の中に放り込んで一呼吸
にんまり

少し体がかるくなる

そういう明るい事象
どうしても
どうしても

どうしても
あの子が欲しくて


我慢できずに駅前の路地裏、
みんなが噂してる
『あの子が振り向くガチャガチャ』 を 思い切ってトライしてみる事にした。


そういうのでさえ、味方にしたい気分だったのだ。
まあ、
自分で自分を追い込んだともいう。


噂のガチャガチャは意外と商業的で、ガチャガチャ手前20Mで、柄の長い看板を持っただるそうなおっさんに先に200円を預ける仕組みになっていた。

その先にちゃちなタイガースカラーのロープで作った道を二、三歩進めば機械がねじ巻きを待っているのだった。


ガチャガチャは一台でなく複数台に別れており、それぞれ目的がとても明確だ。
『あの子を手に入れる』
『あの子を振り向かせる』
『あの子と親密になる』
…等。


ぼぉっと眺めていると、並んでる私の後ろから早くしろよと野次がとんだ。

見るとおっさんとお兄ちゃんとガキが3人列を作って疎ましげにこちらを見ていた。 結構人が来るんだ…と思いつつも

慌ててガチャガチャを一度ひねる。




中には紙が入っており、思わずニヤリとしてしまった。


すると後ろで野次ってたおっさんがふざけるな!と開けたガチャガチャに真剣に怒っている。



何をガチャガチャごときで…と思いつつも

手のひらのカプセルを無碍に出来ないあたり、私も彼と変わらないのだなぁとシミジミ思った。




さあこれからどうするかな?




 東西に走る 交差点の信号だけでも もう


 5回は人の流れを変えている。




 買いたての傘 黒と白のドットのやつに


 ぼたぼた


 可愛げの無い音を立てて


 雨粒をが落ちる


  


 雨なんだし。張り切ったレインブーツにもしっかり


 ぼたぼたの雨の音。




 違う 違う 決して 雨を楽しむために此処にいるんでなく。




 傘を忘れた彼氏を駅まで迎えに来ているわけでもなく。(だったらもっと浮き足立つよ)






 家の前 一番大きい通りで


 いつまで待っても来ない合格通知を待っている。






 しかしよく降るなあなんて 


 


 口にだしてみたところで

 単車の音には反応してしまう悲しさ。






 うーん








 しかしまあ退屈しない雨だ




 と




 ふと目を上げると自転車に乗ったおじさんが 交差点の向こう

 赤信号を止まろうと

よろよろと視界に入り込む



 何か起こると感じた瞬間 スローモーションで自転車が


 斜めに 


 傾いて


 同時に 


 おじさんの傘が あらぬ方向を向いて舞い上がる




 あああー!と




 思わず声を上げた瞬間に 携帯の着信音 と から回る車輪の音

 

 


 勢いで 電話に出て 危ない!

 電話口で言ってどうする


 

 母親がバカねあんた 郵便受けに分厚い封筒来てるわよと笑う



 


 

   

 ははははは








 思わず出たのは笑い声 




 きっとおじさんはびっくりしただろうねえ


 しばらくそこで




 とても真剣に笑いこける姿を見て。