いつも行く福島の飲み屋で


歯磨き粉を片手に人生を語るギャルがいた。




偶然隣り合わせただけ。


そんなに酔ってもいないし


オレ自体気軽に話かけられるような風貌でもない。




なんで手にしてるんですか?




って聞いてみたい




聞いてみたらいいか


聞いてみようか




っていうかオレ彼女待ってるし


彼女着たときに知らないギャルと話してても


あとから面倒くさいからな。




ギャルは自分の考えを丸い目をくるくるさせて語る


ギャルは自然な感じで歯磨きを片手に語る






ちょっとして彼女が来た。


コートを脱いで、席について、一言。




あれ、あの女の子、なんで歯磨き持ってるの??

















この夕日を見る度に、あのとき心が振り乱された事がありありと思い出される。

夏を迎えた立山は緑にしっとりと包まれ、美しい風景を見せる。山は好きだが、ここまで美しいと思ったことはなかった。
自然が美しいと言うことが初めて実感できたのだ。 大学を卒業する前の、夏だった。
ひょんなことで、また立山に行く機会があった。


それが一昨年の冬。

冬の雪の立山もまた、威厳を増してそこにそびえていた。

そこで初めて訪れたときとまた違う感覚に胸をうたれた。

なまめかしい色を付けた薄い赤をまとった立山。


最初に体感したあの夏から私は年をとったのだ。年をとって成長したと思っていた。仕事もある程度一目置いて貰えるようになったし、結婚もした。
一人の人間として、生きていたはずだった。

ただ、それだけ?


神々しい山々を前にしてみれば、そんなことは小さい事だ。


赤色に染まる立山は日々に乾いていた私に生きる気力を与えた。

なぜなら。
久しぶりに自分の存在を、実感する事ができたからだ。 自分以外の壮大で太刀打ちできぬものの前に来てやっと。


自分のおろかさを赤に染まる立山に見た。

美しく壮大な存在感に、少し恐怖をいだいた。

深い、暗い、決して人間が抗うことのできない恐怖。







朝、仕事場に向かう途中で、不思議な出来事が起こったんだ。






まず朝起きて、歯を磨いていたら、


起きてきた家族から絶対に有難うといわれる。


おはよう、と返したらおはよう、


なのだが、オレの顔を見るなり


有難う、というのだ。




いやいや、朝起きたらおはようでしょ?


みんなしてなに?オレへのイヤミなわけ?と


笑いながら問いかけても、首をかしげてみな(?)が顔に浮かぶ。




朝から議論しているわけにも行かないので、


朝食も早々とオレは家を出たのだが、


こっからが酷かった。








オレが歩く方々から有難う、とこっちを向いて言ってくる。




さすがに戸惑う、というか気味が悪いのでほぼダッシュに近い感覚で


バス停までを駆け抜けた。


バス停には誰もおらず、安堵するのも束の間。


じきにパンパンい埋め込まれたバスがやってきて、


オレが入るなり数々の声色からの有難うの洗礼を受けた。






小さい声でおはようございます、、、とつぶやくと


空気は一瞬でいつもの朝に変わった。




しかし、新たに乗り込んで来るお客は相変わらずだた、


オレに向かって大声で挨拶するのは変わってない。








既に会社につく頃にはすっかりなれてしまって、


手を挙げて応えるまでにもなった。