【舞台観賞】「switch×switch」(7contents) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

※この舞台は12/14~12/19まで行われた舞台で既に公演は終了しています。
 
2016年は色々あってかなり舞台観賞をかなり制限した自分ですが、それなりの数は拝見した……つもりです。
そんな一年でしたが、師走も半ばを差し掛かった頃、2016年最後の舞台を観に行きました。
 
2016年最後の舞台にお伺いしたのは……7contents「switch×switch」
さて早速舞台について語る前に、初めての劇団になるので、簡単な説明でも……。
 
2008年旗揚げ。代表・金子慎吾を中心に「エンターテイメント演劇ユニット」として活動している。
年2回ペースで公演を継続。今回の「switch×switch」が第14回公演にあたる。
 
……と、ザックリこんな感じ。
ただ「エンターテイメント演劇ユニット」と言われても、どうもピンと来ない。
実際、観るまでどういう感じの劇団なのか想像もつかなかったのが、正直なところ。
 
本当に久々のお初の劇団だったので、期待半分、不安半分。
そんな気持ちでお伺いしたのは、約一年ぶりとなる上野ストアハウス。
そういえば昨年も同じ時期に、こちらもお初の劇団だった「サラリーマンチュウニ」を観た劇場だったという事を思い出す。
 
まず劇場に入ると目に付くのが、バスケットゴール。
イメージとしては、舞台正面を見ると、バスケットボールのハーフコートをやや右斜めの視点から見ている感じになると想像しやすいかもしれない。
そして前説では、登場人物の撮影を兼ねたコーナーとなっている。
こうして席に座った瞬間から世界に入る準備は出来上がり、物語の幕は上がる。
 
 
そんな訳で今年最後の舞台。
ある程度、ネタバレ有りでお送り致します。
※なお今回はダブルキャストのチーム球のみの観劇のため、キャスト表記はチーム球のキャストに沿って紹介します。ご了承ください。
 
 
……物語の舞台となるのは私立天川高校。
プロ選手を過去に輩出した事もある、男女ともバスケットボールの強豪校。
高校最後の大会となるウインターカップを前に三年生たちも練習に熱がこもる。
 
そんな中、部内で若干浮いている部員が一人いた。
彼の名前はカケル(篠崎章弘・以下敬称略)
バスケットボールのセンスがありながらも、物事に夢中になれない性格のせいでレギュラーをつかめず……いやレギュラーをつかもうともしていなかった。
幼い頃に亡くなった姉・ユキ(和世レオ)との約束。
それを頑なに守ろうとする故に、そうなってしまったのだが、その姉との約束には続きがあった……。
 
一方、高校のOBで現在はプロとして活躍するコースケ(通称:パイセン/佐々木隼世)もまた、かつての愛した人……ユキが忘れられず日々を生きていた。
そんなある日、コースケはカケルと出会う。
そう……それがかつて愛した人の弟とは知らず……。
 
 
最後の大会に向けて熱意を燃やす部員たち。
それを見守る、周囲の大人たち。
その課程で直面する夢と現実。
 
ユキはカケルに何を伝えたかったのか……。
そしてそれをカケルが悟った時、彼の中でどんな「スイッチ」が入るのか……。
 
これはバスケットボールに青春をかけた、高校生たちの物語である!
 
 
 
……改めてあらすじを自分なりに書いてみた。
 
一回観ただけじゃ無理でした(爆)
あくまで主人公とも言える、カケルを焦点にして書いたつもりだけど、これで伝え切れているかどうか怪しい(爆)
 
さてこの舞台、登場人物は結構多い。
ほぼほぼ天川高校関係者だけなのだが、まず男子バスケ部員が6人、女子バスケ部員が3人、マネージャー一人と学生だけで10人。
これだけの人数がいれば、その時点でそれだけの人数のドラマなんて自然で生まれる訳ですよ(笑)
 
例えば男子バスケのエース・シュウゾウ(今西哲也)にしたって、プロを目指すために若さ故の過ちを犯しつつも、頑張っている姿があった。
レギュラー当落線上ギリギリのメガネ(原本武和)は、女子バスケ部に頼み込んでまでレギュラーを目指すも、報われない結果となった。
 
各個人、こうしてスポットを当てていけば、とてもいい話。
青春てんこ盛りのいい話になったのですよ。
 
ただしちょっと盛りすぎた感はあって、一人一人を深く掘り下げるまで至らなかったのは残念だったような……。
正直言うと、もう少し詰め込めば、もしくはもう少しさり気なく演出できれば、もっといい話になったし奥が深くなる可能性があった。
2時間ちょっと舞台で、全部を全部掘り下げるという意味では限界はあったかも知れない。
だけどもう少しうまくまとめていれば、良かったのに……。
周囲の評価が非常に高い舞台だったので、こういうのは言いにくい点ではありますが、もっと良くなる可能性がある舞台だっただけに残念。
 
ちょっといい話を詰め込もうとし過ぎて、若干、消化し切れなかった。そんな感じ。
例えるなら「豪華海鮮丼で海の幸をいっぱい詰め込んだけど、超大盛で少し食いきれなかった」みたいな(この例えが分かりにくいか)
これならメインにしたかったカケル、ユキ、パイセンだけを軸に徹底的に掘り下げていく物語にしていった方が良かったかも知れない。
 
……とちょっと酷評から入ってしまいましたが、いいか悪いかで言ったら、いい舞台です。
 
高校のバスケットボールが舞台というのも、最近なら「黒子のバスケ」もっと遡れば「スラムダンク」で熱くなった経験がある方なら共感は出来る部分かと。
(ウインターカップなんて、まさに「黒子のバスケ」で知れ渡った感もあるし)
また劇中で実際にバスケットボールを使って演技する出演者の皆様も迫力はあったし、舞台の見せ方とか追求という意味では非常に頑張った感はあります。
 
また先ほど「詰め込みすぎ」と言った物語ですが、個人的に女子バスケ部の友情物語みたいなシーンは大好きでした。
いや……以前なら、男子バスケにありがちな熱血展開ですが、これを女子バスケ部に当てはめるのが、ある意味時代かなぁ……なんて思った次第です。
 
これまで抜群のキャプテンシーで部を引っ張ってきたオリエ(芍薬)
しかし練習中の怪我で、大会出場は絶望的になり、一足早い引退を仲間たちに申し出る。
だがそんなオリエを中学時代から見てきたゴリアテ(村中友香)は、オリエと共に戦いたい胸のうちを明かす。
マネージャー・パナップ(植田ぴょん吉)の叱咤もあり、オリエはマネージャーとして残り、ゴリアテにキャプテンとチームを託す……。
 
……こういう展開、本当に好きですねぇ(笑)
むしろ女子バスケ部はここで、一つ物語は完成した訳で、却って良さが際立ったと思います。
あと個人的にカルピス(村上菜央)みたいな女子は好きですぞ(爆)
 
……というように、登場人物、一人、一人は個性的だったので、絶対に一人はこのキャラ好きだ……という登場人物はいたと思います。
もしくはこのシーンや展開は好きだと思えるものは、最低限あったのでは無いかと思います。
そういう意味では飽きる事は無く、最後まで観れる舞台でした。
 
返す返すも詰め込み方がもっとうまければ、もっと良かった。
それにつきます。
 
 
 
個人的に気になった出演者……になりますが、個性が強い方が多くて、上げられないですねぇ。
 
ただ前述のように女子バスケ部メンバーを中心に高評価。
ゴリアテの村中友香嬢、カルピスの村上菜央嬢はハマっていたと思います。
 
マネージャー役の植田ぴょん吉嬢は過去に何度か演技を拝見しているので、安心して観ていられました。
でも彼女の役、人によって好き嫌いは激しそう(もちろん褒め言葉で言ってます)
 
あと印象的だったのは、オタクを演じた垣石春介氏。
すごいいい奴だし、今回の物語の良心とも言える存在。
最後の最後の独白のシーンは驚いたけど、それをひっくるめて印象に残っています。
 
個人的に好きだったのはメガネ演じた原本武和氏。
「スラムダンク」のメガネ君(笑)好きには絶対にたまらないキャラクターだったし、実は内面が熱い。
最終的にオリエとちょっといい感じになっている点を見ても、男としてはこうありたいと思ったりする。
 
最後に今回のお目当てだった芍薬嬢について。
以前は本名で「劇団アルターエゴ」に所属していた彼女……今回は大和撫子のメンバー・芍薬として舞台に立つ事になった。
劇団退所後初の舞台という事で、これまでの彼女を知っている身としては、外部に出た彼女の演技を見守りたい一心につきます。
前述の通り演じたのは、女子バスケ部のキャプテン・オリエ。
絶大なキャプテンシーでチームを引っ張ってきた大黒柱。劇中の大怪我で最後の大会を棒に振ることになったが、マネージャーとして尽力する事を決意するという役……。
劇中ではメガネとのやり取りを始め、いいシーンが多かった。
そしてチームを引っ張っていくという決意が、怪我をする前までは演技全般に出ていた。
怪我した後の一連のシーンは、芍薬ファンなら涙なしには語れないのでは無いだろうか。
最後はマネージャーとして尽力するという決断をしながらも、最後までチームのために尽くそうとする姿が良かった。
 
……と普通にサラッと書いていますが、芍薬嬢が女子高生をきっちり演じきれたのが一番の驚きだったかも知れない(笑)
これまで拝見してきた彼女が演じる役柄は、女子高生よりはどうしても年齢が高めの役柄が多かったので、ここまで若い子を演じきれるんだというのは新たな発見でした。
(ちょっと失礼な表現に聞こえたらごめんなさい)
「switch×switch」の再演があるなら、顧問の先生あたりで見てみたい気もしますが……それはさておき、アルターエゴ退所後、初の舞台としては満点の出来だったと思います。
基本的に演技が上手い人間は、どこに行っても、通用するというのをしっかり見させていただいた感があります。
また来年以降もフリーで舞台女優として活動を続けるのか、気になるところですが、今後も舞台に出演するのであれば、応援していきたいと思う所存です。
 
「舞台女優・芍薬」の第一歩、しかと見届けました!
 
 
 
こうして2016年最後の観劇は終了。
非常に楽しませていただきました。
 
帰り道……劇中のキリン(平野隼人)よろしく、スリーポイントシュートを放つポーズをして悦に浸っていたところ、すれ違う通行人に白い目で観られたのは観劇後の思い出という事で(笑)
 
 
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