2014年3月15日……。
「第37回イカすアキバ天国」にて「三代目シルバーコレクター」が生まれた。
彼女の名前は神戸しのぶ。
第35回から3回連続で2位を獲得した彼女に送られた「シルバーコレクター」という称号……。
優勝を逃して悔し涙を流す、彼女にとっては名誉でもなんでもない。
ただ悔しさの象徴のように今は映るだろう……。
しかし勘違いしないで欲しい。
このイベントにおける「シルバーコレクター」は尊敬の念がこもった称号なのであると……。
この「シルバーコレクター」の元祖は、このイベントの初年度に誕生している。
「初代シルバーコレクター」となった、そのユニットの名は……ツキカゲ★センセイ。
このイベントが初年度を迎える2008年当時、実力派のダンス、ヴォーカルユニットとして業界内でも名を馳せていた。
ツキカゲ★センセイのメンバー、TOMO-Co.、Kei-Co.に、バックダンサー「egg plant」の二人を加えた4人のパフォーマンスは当時業界を席捲していた。
当然、投票制となったAnBぷれみあむぅにも声がかかり、記念すべき「第一回イカすアキバ天国」にも出場。
誰もが優勝の大本命に推し、恐らく記念すべき初代「アキ天KING」は彼女達が射止めるものと思っていた……。
しかし結果は残酷だった。
第一回、優勝したのは松本香苗。
しかも無効票があったため、21点差で僅差の逆転優勝を飾ったのだ!
そしてこの時の2位が……ツキカゲ★センセイだった。
当時、主宰のFICEは優勝者しか発表せず、2位以下の出演者には個別で伝えるスタイルを取っていた。
後日、この事実がツキカゲ★センセイのブログで発表されると業界内に震撼が走った……。
だがそれでもツキカゲ★センセイの優勝を信じる者は後を絶たなかった。
それだけ彼女達のポテンシャルは疑いようが無かったからだ。
続いて出場した2008年5月「第三回イカすアキバ天国」
唯×実 ~ユイみの~(現:YUIMINO+)、美弥乃静と言った現在でも活躍している出演者に混ざりながら本命候補に推されたが……。
この時もデビューしてから当時、僅かライブ2回目のmerry☆makerの前に2位となった。
そして2008年9月「第五回イカすアキバ天国」
優勝したラブニポポンの後に、当時としては異例だったがFICEが2位をその場で発表した……そう、ツキカゲ★センセイの名を……。
こうしてツキカゲ★センセイはイベントの客層から「シルバーコレクター」と呼ばれるようになった。
彼女達の実力を知る者達によって……尊敬と畏怖の念を込めて……。
その後、ツキカゲ★センセイは2008年12月を以て、無期限の活動休止。
結局「イカすアキバ天国」に優勝しないまま、アキ天の舞台から去った……。
……だが物語はここで終わらない。
2009年5月。
会場を芝浦・Studio CUBE 326に移した「第九回イカすアキバ天国」
優勝したのはトップバッターだった荻上トモ……そうツキカゲ★センセイの元メンバー・TOMO-Co.その人である!
彼女は優勝した際のインタビューでこう語った。
「4回目にしてこうして優勝できました」
……ソロとしては初出場だったが、ツキカゲ★センセイ時代の3回を含めて「4回目」の挑戦で、見事に栄冠を勝ち取ったのである!
彼女の心の中には、ツキカゲ★センセイの分までという思いも少なからずあったに違いない。
その後、荻上トモは「ぢゃ☆ベストテン」でも、無効票で優勝を逃した事もあったが、vol.17で卒業するまで2回の優勝を果たした。
……荻上トモが優勝を飾った、翌回、2009年7月「第十回イカすアキバ天国」で、もう一組「シルバーコレクター」が誕生した。
後に「二代目シルバーコレクター」と呼ばれるユニット、その名は……noisy。
立花さな、はるかぜらんらんによる、アニメソングとパラパラを融合した「アニパラ」で業界を席捲したユニットである。
2008年末頃から業界内でも勢いを増しつつあった彼女達。
アキ天の初出場は2009年1月の「第七回イカすアキバ天国」であった。
この時は夢月まりあの前に2位だったが、評価は上々で本人達もそこまで気にかけていなかった模様。
連続出場だった「第八回イカすアキバ天国」でもTeam Cerisierの前に2位。
なかなか勝てなかった。
そして一回休みを入れて臨んだ「第十回イカすアキバ天国」
当時の事を、後に立花さなに確認した事があるが、この時は出場したメンバーが強豪揃いなので2位でも取れれば御の字と思っていた……との事。
結果……LOOK at MEに続く2位。
この時は本人達もこの結果に満足していた模様。
そして3回目の2位獲得となり、ツキカゲ★センセイと比べる形で「二代目シルバーコレクター」と呼ばれるようになった。
そんなnoisyが優勝したのは2009年9月の「第11回イカすアキバ天国」での事。
後にアキ天を勝ち抜く、Citrus kiss、ToLadyを2、3位に従えての見事な優勝だった。
……その後「ぢゃ☆ベストテン」に出場してからの彼女達の快進撃は、ご存知の方も多いだろう。
2010年1月「ぢゃ☆ベストテン vol.13」で初優勝を飾ると、この年だけで四連覇を含むなんと年間5勝をマーク。
今でもこの年間5勝という記録は破られていない。
2011年以降は優勝回数こそ減ったものの、後から上がってきた大和撫子、YUIMINO(現:YUIMINO+)らと常に上位争いを展開。
そして2013年1月「ぢゃ☆ベストテン vol.30」で7回目の優勝で有終の美を飾り、その一ヵ月後、多くの共演者、ファンに愛されながら解散した……。
実は「シルバーコレクター」という単語は当初無かった。
だがツキカゲ★センセイ、noisyと言った最後まで諦めない出演者を讃えて、いつしか作られたものだった。
そして彼女達は最後まで諦めず、最終的に素晴らしい成果を残すに至った。
約5年ぶりに生まれた「三代目シルバーコレクター」神戸しのぶ。
これから彼女が描く軌跡は、一体どんなものになるのだろうか……。