※この舞台は12/19~12/23まで行われた舞台で既に公演は終了しています。
今年も数多くの舞台を観劇しました。
目と鼻の先で繰り広げられる世界は、手を伸ばせば届くような近い距離なのでまるで別世界。
そんな別世界にほんの短い時間、連れて行かれる訳ですが、この世の物であって、この世の物でない空間がそこには広がっています。
そんな別世界に足を踏み入れるのも、今年は最後となりました。
2013年最後の舞台は劇団アルターエゴの「夏の夜の夢」です。
劇団アルターエゴについてはあの「グレーゾーン」(笑)で有名な声優・三ツ矢雄二氏主宰の劇団として、何度か紹介していると思います。
この劇団自体、観劇は通算4回目ですが、今回はかのシェイクスピア作でお馴染み「夏の夜の夢」……よーく考えたら、アルターエゴで初めて喜劇を観劇する事となりました。
ん?「真夏の夜の夢」じゃないかって?
確かに自分も最初、そう思いましたが、どうやら本来の意味は「夏の夜の夢」が正しい……ようです。
(パンフレットの巻末にそう書いてあった)
そんな訳で御託もそこそこに観劇の様子でも行きたいと思います。
会場は久々の新宿・スペース107。
まずは非常に簡単なあらすじから……。
まぁ有名な作品なのでぐぐった方がいいかもしれませんが……(笑)
昔のアセンズ(アテネ)の時代、一組の恋人同士がいた。
男の名はライサンダー(鎌田賢治・以下敬称略)、女の名はハーミア(垣田夕紀)と言った。
ハーミアの父はディミートリアス(内田慎二)という青年と結婚を画策しますが、ハーミアはライサンダーとの愛を貫く為その話を断ります。
だけどそこは今と違う時代の話。
怒ったハーミアの父は法律により、ハーミアを従わせようとします。
しかしそれがキッカケでハーミアとライサンダーは駆け落ちを決意、夜の森へと逃げていきます。
だがそれを知ったハーミアの幼馴染ヘレナ(大森留依)は、叶わぬ想いを寄せるディミートリアスにこの事を話してしまいます。
こうしてハーミアを追ってディミートリアスが、更にディミートリアスを追ってヘレナも夜の森へ踏み込んでいきました……。
一方、同じ頃、町の公爵の結婚式を祝うための芝居の稽古のために、6人の町人が森へと入っていきます。
だが主役を演じる、ニック・ボトム(井上悟)はこの後、大いに翻弄されるとは……予想だにしませんでした。
更に一方、森の中で妖精の王・オーベロン(桑原知也)と、妖精の女王・タイテーニア(丸山彩智恵)は夫婦喧嘩中。
そこでオーベロンはタイテーニアを懲らしめようと、惚れ薬を使ったある悪企みを考えるのですが……まさかその企みが森に入った人間たちに大いなる混乱をもたらすとは……。
……この物語は妖精の王が企んだ悪企みに、意図せず翻弄された人間達の一晩限りの「夢」のような悲劇……いや喜劇である。
……まぁ後はWEBで(笑)
恐らく自分の説明より、WEBで引っ張った方が色々分かりやすいと思います。
この説明でオチが気になったら、先に知るといいと思います。
ただ喜劇とは言え「古典劇」なので、どこまで楽しめるか、意外と堅苦しいものにならないか最初はそんな気構えに近いものをもって観ていました。
アルターエゴ……いや古典劇の特徴というか、台詞がとにかく、今の日本語に直すと、とにかく長くてまどろっこしい(笑)
でもそのまどろっこしい表現にこそ、その時代を生きた方々ならではの、独特の言い回しとか、そういうのが観て取れてそれはそれで楽しい。
序盤はまさにその古典劇ならではの、情緒溢れた表現に目を見張った。
しかし中盤になると、我々にもとってもわかりやすい表現になっていった。
くだけた表現というのか、そういうのが多くなる。
それに伴い、笑えるシーンがここから増加傾向にある。
そもそも駆け落ちしている恋人同士や、恋敵たちの衣装がジャージって無いよなぁ(笑)
まさに喜劇の真骨頂。
台詞もストレートなものが多くなり、またオーバーな表現が増えとにかく笑えました。
それにしても台詞ですが……まさか今年の流行語大賞が全て盛り込まれているとは(笑)
こういう小ネタも随所に盛り込み、古典劇だけど非常に分かりやすく楽しめました。
また随所で締まっており、物語が冗長になっていない。
物語のテンポも非常によく、場面の転換もダンスを中心に様々な表現がされていて観ている者を飽きさせません。
終盤のダンスパートは一切台詞が無いにも関わらず、豊かな表現で魅了してくれました。
こうして全体で1時間35分ほど。
非常に分かりやすく、今年最後の舞台として最高のものでした。
最後に気になった出演者の方でも。
ちなみに今回はダブルキャストのBチームを観劇。
Aチームは観劇していないのでごめんなさい(汗)
まずメインの4人は全員良かったかなぁ。
ハーミアの垣田嬢は今回のお目当てなので別で語るとして、4人ともいいチームワークだったと思います。
4人のやり取りを見て、相当稽古を積んだのが分かります。
でもこの4人より、ピーター・クインスの紙谷礼治氏、ニック・ボトムの井上悟氏のインパクトも捨て難い。
ってか、ピーター・クインス……自分達の中で「ハート様」ってあだ名が(笑)
ニック・ボトムはいい意味でうざい(笑)
妖精だとパックを演じた又村奈緒美嬢の小回りの効きっぷりが良かったかなぁ。
いい感じで物語をかき回していたし、話全体のメリハリをつけていたと思います。
最後にお目当ての垣田夕紀嬢。
前半は清楚で美しいハーミアを見事に演じていたと思います。
だけど後半になるにつれ……なんだろう美人像がどんどん崩れていく様に大笑いさせてもらいました(笑)
今までの彼女はどちらかというと、普段と違う一面を見せていたように思えるんですけど、今回の彼女はどちらかというと、普段の彼女を知っている者にしてみれば素に近い彼女かと(笑)
だけど毎回観てて思うのですが、彼女には華がある。
今回もヒロインもしっかり演じていたし、楽しませつつも、要所、要所でいい女っぷりを発揮していました。
そんな感じでしょうか。
今年最後に安心して楽しんで観られる作品に出会えたというのが全体的な感想です。
次回はまたどんな作品をお目にかける事が出来るのか楽しみに公演を待ちたいと思います。
・劇団アルターエゴ・公式サイト↓
http://alterego.loops.jp/home.html