【舞台観賞】「na na na... What we call LOVE」 | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

【舞台観賞】「na na na... What we call LOVE」(テンダーシアターscene one)

さてさて久々に舞台を観に行ったのでレポートをば。

実は誕生日だった3月16日……夜勤明けでなーんにも予定が無かった自分。
ちょうどそんな折、熱心なお誘いのメールが入った。
メールの主は長井柚嬢。

昨年9月に拝見した舞台「思いの鳥」で注目した役者さんである。
当時のレポートは↓。
http://ameblo.jp/hitode0014/entry-11034540617.html

139㎝という小柄な体格で、見事に小学生を演じきった彼女でしたが、その際のレポートがきっかけで何度かメールのやり取りをしておりました。
そんな彼女が所属する事務所「株式会社テンダープロ」の公演が行われるというので、お伺いしたのが今回の公演「na na na... What we call LOVE」となりました。

まず舞台の前に「テンダーシアターscene one」について、当日のパンフを元に簡単に説明。
「株式会社テンダープロ」が若手の活躍を目的として昨年2月に旗揚げをした、事務所主体のプロデュース公演……という見方が正しいのでしょうか。
今回が旗揚げ以来2回目の公演になるとの事です。
なお出演者の半数は今回が初出演となり、また柚嬢の情報によると初舞台の方もいらっしゃるとか……。

そんな趣旨で立ち上がった「テンダーシアターscene one」
主催団体は比較的新しいですが、今回の舞台は脚本・演出の中井由梨子嬢が15年前に書いた作品を、今回のために書き直した物の事。
よって舞台の設定は1996年頃との事……当時、自分は高校生でしたね(笑)
ちなみにこの方、この作品を当時19歳で書き上げたとの事……という事は、年代が近いなぁ(爆)
そんな1996年頃に描いた世界を、15年経った今、この方はどのような思いで書き上げたのかも注目ポイントでした。

さて本編の感想……の前に初の会場でしたので、そちらの概要をば。
今回訪れたのは、中野・ウエストエンドスタジオ。
名前だけならどっかで聞いた事あるなぁ……と思ったら、やっぱりジャンベルさん、過去にここで公演していますね(笑)
印象としては、非常に横に広い感じの舞台。
ただし客席の縦は5列ほどでそこまで奥行きを感じなかったかな。
また舞台の上を見ると大きく分けて上下二段に分かれているような構造。
この上下二段の舞台を出演者が所狭しと活用する作りになっています。

そんなこんなで会場がゆっくりと暗転して物語はスタートします。
終演後につき今回はネタばれ有の方向で、簡単にあらすじを紹介していきます。



あるマンションの一室に住む晃(切田亮介・以下敬称略)は体が弱く、心臓に病を患っているが、同居人・久留巳(川元陵)とは、同姓ながらまるで恋人のように楽しく暮らしていた。
そんな晃には一つ願いがあった。
それは生き別れた双子の兄との再会である。
しかし分かっているのは「光」(ひかる)という名前のみで、殆ど手がかりが無い。
そこで晃は地元のローカルラジオ局で公募していた新企画に「光くん探し」を投稿する。
そして結果、ローカルラジオ局のディレクター・「ライト」(松尾拓)の目に留まり「光くん探し」は番組で採用される事になるのだが……。

ここまでが前半の大まかな流れ。
しかし実はこれはメインの話であり、実は多くの登場人物の人間模様がかなり交錯している。
晃、ならびに「光くん探し」に直接関わっていく人物の人間模様もあれば、実は晃とは直接関わっていない人物の話もサイドストーリー的に絡まってくる。
ただこれらの登場人物の殆どが、一見、晃とは無関係そうに見えて、実は同じマンションの住人ばかりが関わっていた……という方向に収まってくる。
当日のパンフレットの登場人物を見ると、それぞれ部屋の番号で割り振られているのである。
晃と久留巳は203号室なのだが、それ以外の登場人物……例えばラジオのパーソナリティーを務める彩(上原綾華)とその親友でラジオ局のバイトの葵(真宮由佳)は403号室。
更にラジオ局のバイトで一緒になった包樹(中島秀星)は506号室、もう一人のバイト・優一(吉見雄大)は205号室の住人で、大家の奥さん・林子(なかしまゆき)と浮気している仲……。
……というように、かなり人間関係が複雑に絡み合っている。
ただしこれらの人物の話を一つずつ、全部拾っていくと収集があまりにつかない(爆)
ので、あらすじに関してはメインである晃を中心に追っていく。

「光くん探し」が始まる前後、晃が突然高熱を出して倒れる。
病院に搬送されて、なんとか事なきを得るが、晃が入院すると同時に久留巳が姿を消す……。
入院している最中も、ラジオで「光くん探し」は続行されるが、久留巳が姿を消してから晃は明らかに生気を失っていた。
一方、「光くん探し」を採用した、ディレクター「ライト」の身に謎の心臓の痛みがたびたび現れるようになっていた。
痛みの原因が分からない「ライト」だが、徐々に何かを思い出していく……。

ここまでが大体、中盤の展開。
もうここまでくれば勘がいい人なら、大抵オチは見えてきます。
特にディレクターの「ライト」という名前。
滅茶苦茶違和感がありますし、パンフレットを読み返せばそこに答えが載っています(笑)

ここから後半、そして終盤に差し掛かりますが、やはりあちこちに色んな話が散らばっていて一つ一つ拾っていくと収集がつきません(笑)
ただメインの展開のオチだけ言うと、晃の双子の兄・光は見つかりますし、ほぼ予想通りの人物が光でした。
しかし晃に待ち受けていた運命は皮肉な物でした。
そして久留巳、光に待っている未来は……。
……という事で皆まで言わないでおきましょう。
 
まぁこんな感じで進んだ舞台でしたが、メインの話に対する、サイドストーリーが枝葉のようにかなり分かれました。
何故このようになったのか考えましたが、恐らく理由は二つ。

一つは登場人物の多さ。
今回の舞台、なんと22人の大所帯。
しかし冒頭の公演の趣旨にあったように「若手の活躍」を目的としたプロデュース公演という側面を考えると、誰か何かしら話に絡める必要があった。
そのためにこれだけ大人数の舞台になったと思いますし、本線でないサイドストーリーも幾つか絡める必要があったものと考えられます。

もう一つはメインだけでは尺が足りない。もしくは重い。
恐らくメインのストーリーだけでも一つの話としては成立します。
ただ晃の話ばかりでストーリーを進めると、公演時間の半分も要さないで終わった可能性が高いです。
また登場人物を多く絡める事も出来ないので、サイドストーリーを幾つも作る必要性があったように思えます。
後はメインのストーリーだけだと息が詰まるので、サイドストーリーも作ったように思えます。
ただメインの晃のストーリーだけでなく、他の登場人物たちの話もきれいにまとまっている感はありました。

多少、枝葉が多かった割には最終的に破綻には至っていない点においては、脚本の実力が垣間見えました。
個人的に注目した長井柚嬢はまさにこのサイドストーリーのためにいたキャラ。
彼女が演じた405号室の住人・珠子は、本当にメインストーリーの晃には全く絡んでいません。
主に絡んだのは、501号室の住人で占い師の摩耶(満尾麻花)
この摩耶に占ってもらう事で、運命の人を探すのが珠子のストーリーなのですが……終盤「運命の人」と出会う事となりました。
その相手といきさつが……かなり笑わせていただきました(笑)
ただ彼女演じた珠子が最後は幸せになれて、かなり安心しました(笑)

……という風に、殆どの登場人物に何かしら問題が立ちはだかったりしていますが、最終的にきちんと結末が用意されていました。
そういう意味では、メインに絡んでいない役者でも、何か一つ見所があったという点では「若手の活躍」という本公演の趣旨はきちんと守られていたように思います。
ただし物語としてはもう少し絞った方がいい部分もあり、公演時間も2時間でやや長め。
評価は難しいところです。

 

ここからは個人的に気になった出演者でも。

まずは晃の切田亮介氏。
非常に中性的なキャラクターを好演していたと思います。
一歩間違えれば、ただの「オネエキャラ」なのですが(笑)その塩梅というか、さじ加減はうまかったように思います。

次に隆志の井坂慎仁氏。
晃と同じ病院の入院患者なんだけど、実は後半にかけてかなり重要な役割を担う事になるキーパーソン。
病人っぷりが最高だったけど、終盤で見せた立ち回りは見事でした。

あとは看護士・純を演じた今野夏海嬢。
典型的なドラマに出てきそうな、猪突猛進型の看護士なんだけど、その演技が気持ちいい。
実際、こんな看護士いそうだし、いたらいいなと思わせてくれる程の熱演でした。
実は裏のヒロインは彼女だったような気がしないでもない。

女性でカッコよかったのは、葵を演じた真宮由佳嬢。
まぁキャラ設定もああいうサバサバした感じなんだろうけど、とても似合っていました。

あと意外性という意味では麗子を演じた小西めぐみ嬢。
前半と中盤以降で全く印象が変わった出演者の一人でした。
終盤は本当にカッコよかった。

あと比呂を演じた猪野木一也氏。
206号室に住むカメラマンなんだけど……サッカー日本代表の長友にちょっと似てたよな?(笑)
そんな事ばっかり思っていたので出てくるたび「長友」と勝手に命名しておりました(笑)

大体、こんなところですかね。
ただ初舞台の方も多かったと言う事で、正直、出演者の演技力に差がハッキリと分かる部分もあり、そういう意味ではまだまだ精進が必要な出演者も多かったように思います。

最後に珠子演じた長井柚嬢。
今回は28歳のOLという設定でしたが、きちんと28歳に見えました。
前回が小学生メインでしたから、印象はかなり変わりましたね。(確か端役でOLもちょっとやっていたけど)
劇中、変顔なども披露するなど役者魂も全開で頑張っていました。
小さな体でぴょんぴょん飛び跳ねる姿もかわいらしかったです(照)
同じ千葉県出身という事で、ますます応援したくなりました。
これからも注目していきたいと今回思いました。



感想はここまで。
最後に個人的に御礼を……。

実は劇中にディレクター「ライト」の誕生日を祝うシーンがあります。
ただ祝った登場人物は「ライト」の苗字を間違えるというオチなのですが……。
この日の公演で間違えた苗字は「大石」……。

もしやと思い、終演後、長井柚嬢にお伺いしたところ、やはり自分をネタにしていただいたとの事です。
それだけでなく、なんと柚嬢からは誕生日プレゼントという事でお菓子までいただきました!

……普通、逆ですよね?(笑)
客として出演者の方に差し入れを用意する事は今まで多々ありましたが、こうしてプレゼントをいただけるとは思っていなかったので嬉しかったです。
ちなみにプレゼントのお菓子は美味しくいただきました♪

素敵な誕生日になりました。
誘ってくださった長井柚嬢、本当にありがとうございました。
あと柚嬢と一緒に挨拶してくださった彩役の上原綾華嬢もありがとうございました。

これからのご活躍をお祈りしております。

以上、33歳初の観劇レポートでした。