※この舞台は7/21~26まで上演されていた舞台で、既に終了しています。
またレポートが遅筆になったのは、ネット環境が整備されていなかったためです。
↑のような言い訳しないでも、ここの劇団に関しては多分、終了するまでレポート禁止令が出るんですけど(笑)
さて7月のうだるような暑さの中、向かったのは下北沢。
舞台や演劇の聖地という事で良く耳にします。
私自身、もう7~8年前、自主製作映画のサークルで活動していた時代にお世話になった土地なのですが、実は舞台を観に下北沢に行くのは初めてだったりします。
今回、観劇したのは4月にも拝見した劇団アルターエゴの公演。
前回上演した「春のめざめ」がいわば古典なら、今回は完全オリジナルの作品。
どういう世界観を見せてくれるのか、注目しながら拝見しました。
まず上演の前に今回の舞台、下北沢OFF・OFFシアターについて。
ビックリしたのは駅の目の前(笑)
さすが下北沢。演劇の町というだけあって、駅の目の前数秒のところに劇場があるのかと驚いた(笑)
ちなみにこのOFF・OFFシアターの下のフロアも劇場だった(笑)
もっと面白かったのは、このOFF・OFFシアターの入っているビルの1階がディスカウントショップだったのですが「劇団員のバイト募集」みたいな限定的な募集があった(笑)
下北沢、一体どこまで舞台人に優しい町なんだ(笑)
そして会場に入って……。
ちょっと歪な構造。下手はいいんだけど、上手が扇状みたいな感じ。
だから下手の一番端は直線状になるんだけど、上手側の一番端は多分、舞台が変な角度にしか見えない(笑)
自分が座った位置は上手より真ん中寄りのつもりだったんだけど、舞台の上手の一番端の真正面に来るという変なポジショニングでした(笑)
舞台の上には何やら机やら、椅子やらに白いシーツがかけられている。
このシーツの下には案の定、机、椅子があったりするんだけど……まぁどのタイミングで外されるかはこの後。
さて公演はとっくに終了しているので(笑)思い切りネタバレ有りの本編、そして感想でも(笑)
OPは一人の少女が現れるところから始まる。
何故か背中をもがくような少女。
すると続けざまに現れる3人の女性。
それぞれが今にも死にそうな行動を起こしている。それを必死に止めようとする少女。
このシーンが意味するところは……。
そして舞台の上のシーツがめくれてく。
場面は変わって、家の一室。
この家を管理している不動産業者のタカシ(大籔重樹・以下敬称略)がこの家に住みたいという一人の青年の話を喜々として他の住人に話す。
青年の事を非常に気に入ったタカシは他の住人に対して力説するが、実質のオーナーでもあるキョウコ(薛宏美)ら他の住人はその青年の素性が分からないので、どこか気が乗らなかった。
しかし住人の一人、エミコ(垣田夕紀)がたまたまタカシと青年が二人でいた姿を見て「ユウイチさんが帰ってきた」と喜々として賛成する。
翌日、その家にやってきた青年・マチア(窪田亮)は、エミコの別れた夫・ユウイチでない事実を突きつけられます。
ただマチアはそのエミコの勘違い(という表現が妥当か難しいですが)を気にせず、他の住人にも気に入られ、その日のうちからこの家に住み始める事となります。
さて序盤の展開がここまで。
分かり憎いと思うので補足説明すると、この家というのはルームシェアの形態になっています。
元々のオーナーはキョウコで、その家を管理している不動産業者がタカシとなります。
他にもキョウコの知人筋のカトウ君(宮本樹尚)が元々住んでおり、何故か住む事になったレイ(尹明華)、エミコという二人の女性が住んでいます。
その日の夜、ソファーで寝ていた猫のメグ(渡部淳美)に話しかけるマチア。
自分の言葉を理解出来るマチアに対して驚くメグ。実はメグの正体は天使……なのですが、現在は訳あって猫の姿になっています。
ただ何故かマチアには、猫の姿の彼女にぼんやり少女としての彼女の姿が見えます。
どうして彼女がここにいるのか話を聞くと……。
ここでOPのシーンに結びつきます。
その理由を皆まで書いてしまうと、再演の際にきっとつまらないので書かないでおきましょう(笑)
(ってか、説明するのが面倒になっただけ・笑)
ただこのメグの導きによって、女性陣はこの家に集まる事となったという事だけは言っておきましょう。
シーンは変わって中盤。
すっかり家の一員として溶け込んだマチア。
しかしこの頃から女性陣の心境に変化が起き始める。そしてそれはそれまで彼女たちを支えていた男性陣にも影響を与える事となる。
それぞれが現実を見つめ、これまでの関係が変化しようとしている中、自分の存在が秩序を乱してしまうと思い悩んだマチアは家を出ようと決心する。
しかしこのマチアの決心が思いもよらぬ方向に発展し、そして……。
……という感じでざっくりあらすじ。
ってか、分かり憎いなぁ(笑)
この舞台は言葉にすると説明が結構、面倒かもしれない。
図解にしてフリップでもあればいいかもしれない。
……という事でこの舞台、登場人物の数は7名と少ないので、それぞれの役者さんについて思った事と、簡単に役の説明も書いてみようと思う。
・キョウコ(薛宏美)
家のオーナー。旦那に先立たれた過去がある。未亡人。
序盤は張り詰めていた感じ。中盤以降は意外とあっさり演じている感もあり。出番は多かった割に、印象が薄かったのは、彼女の役が立ち回りに終始したせいでしょうか。
・エミコ(垣田夕紀)
家の住人。旦那に先立たれ、幼い息子と心中しようとするも、息子だけが亡くなり、それ以来、熊のぬいぐるみを息子代わりにしている。
ぶっちゃけ病んでいる人。難しかったと思う。狂気を孕んだ演技に迫力を感じた。
前回拝見したヴェントラの天真爛漫さとは正反対の演技が素晴らしかった。
・レイ(尹明華)
家の住人。恋人に先立たれて、自殺未遂を起こしている。元々画家志望。
正直言って、出演者の中では一番ワガママに見える。でもそれがいい。
時々垣間見せるヒステリックな一面もとてもよかった。
・タカシ(大籔重樹)
家の管理をしている不動産業者。キョウコの父が勤めていた会社の社員(社長だっけ?)で、キョウコに想いを寄せている。実は本名は「ヒロシ」でタカシはキョウコの夫の名前。
常に最初から最後までキョウコに尽くす態度を取る、典型的にいい人キャラを演じきる。色んな意味でぶれていなかった。
・カトウ君(宮本樹尚)
家の住人。キョウコの知人筋。レイに想いを寄せ献身的に尽くしている。本業は保父。
この人もレイに最後まで尽くそうとする、いい人キャラ2。ただしタカシと違い若さが溢れている。真っ直ぐなキャラ。
個人的にはこの舞台の中ではお気に入り。
・メグ(渡部淳美)
実は天使だけど猫。神様にある使命を果たすように言われて人間界に落とされる。
今回のキーパーソン。実は主役だと思っている。
最初はただただ奔走していたように見えたが、後半からはいい演技を見せまくっていた。最後、泣かせてくれました。
・マチア(窪田亮)
職業「旅人」(笑)海外を回る長旅から帰国。不思議な魅力を持った青年。
今回の舞台の中で一番、謎に包まれて、そして一番不思議だった人物。全編通してそれをうまく表現していたと思います。
彼が何者なのか気になるけど、まぁ終わってしまえば何者でもいいやと思ってしまう(笑)
まぁそんなところで。
公演時間は1時間30分とコンパクトにまとめられていました。
短いながらも、丁寧な作りの舞台で、とてもいい作品だと思いました。
ダブルキャストなので、もう一つのキャストの方も見たらまた違った印象を持ったかもしれませんね。
それにしても古典の次は、オリジナル。
次回以降も注目していきたい劇団です。
・劇団アルターエゴ・公式サイト↓
http://alterego.loops.jp/home.html