【舞台観賞】「アメリカ」(演劇カンパニー・東京の人) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

さてさて6月の観劇ラッシュ。ここから一気にスタートです!
……でもさ……6月に観たい舞台が3本、ほぼ日程的に丸かぶりってどういう事だよ!(笑)
休みがもう一日、この期間に欲しいくらいですよ。いやマジで。

まずはその第1弾、行ってまいりました。
タイトルはズバリ「アメリカ」!

どんな公演になるんだろう……フライヤーの絵のインパクトからして、とっても不安でしたが(笑)
さて今回、この公演を観に行った目的は、先日、ジャングルベル・シアターを退団されたばかりの村井みゆき嬢を観に行くため。

今年2月の「悟らずの空」では見事に、きれいどころを演じ切った彼女。
それを最後に13年間所属したジャングルベル・シアターを退団し、今回がフリーとしての初舞台。
さぁジャンベルとは、一味も二味も違う現場においてどういう演技を見せるのか……それが注目でした。

さて本編の感想に入る前に、この「東京の人」という劇団(?)の概要でも。

主宰・すがの公氏(今回の脚本・演出でもあります)が札幌出身という事もあり、東京で活躍している演劇人を集めて舞台をしようという目論見。
毎回、スーパーバイザー(SV)制度を敷いて、そのSVを頼りに出演者を募り、次回公演でまた別のSVを募り演劇人を集めて舞台をしよう……という事を延々109人になるまで続けるという企画(笑)
ちなみに今回が第3回公演で、これまでの公演で27人集まり、残りは82人。先は長い(笑)

でもこうして人の縁を頼りに毎回違うメンバーで舞台をしていく試みは非常に面白いと思います。

そんなこんなで劇場に行きました。
今回の劇場は池袋・GEKIBAというビルの3階にある会場でしたが……。
まさに小劇場。
正直、きっつきつ。
おそらく今年入った中では、一番狭い。ぶっちゃけ畳何畳?と思っていましたよ(笑)
多分、ここまできっついのは、ジャンベルが「おとぎ夜話」シリーズで使用している、神保町・ART SPOT LADO以外思いつかないなぁ(笑)

ちなみに会場までの道のり、初めての人は分かりにくいので要注意ですぞ!
自分は職場が近いので、下見しておきました(笑)

当然、座席の数も少ない。途中から入ってきたら行くスペースは限られるなど、会場の狭さは特筆すべき!(爆)
そんな事言ったら、ロビーなんてもっと狭いからね(笑)
まさしく「所狭し」とは、この劇場のためにある言葉だと私は思います。

そして目に付いたのが、背景の絵。
フライヤーと同じ絵柄なんだけど、これもまた妙にインパクトがある。
もうのっけから濃い。本当に濃い。
どんな濃縮な舞台が始まるのかと、妙な期待をせずにはいられませんでした。

さてそんなこんなで、開演時間からやや遅れて舞台がスタート。
まだ上演中につき、ネタばれ無しモードで記載していきます。



簡単なあらすじ。
某有名テレビ番組をパクった一シーンからスタート。
誰もが知っている、あの番組です(笑)
実は似たようなシーン、いくつかあるけれど、意外と重要だったりする。
でも基本、笑える(笑)

そこから流れるようにOPに突入。
その後、主人公の小学生時代、そして現在を往復するような流れでストーリーが展開していきます。
いや……実際、このへんは舞台を見ていただいた方がわかりやすい。
ってか、ネタばれ有でもこのあたりのストーリーは説明しようがない(笑)

簡単に整理してしまうなら、現在の主人公は結婚を間近に控えた、ごく一般的な社会人。
だけどどこか自信が持てないというか、モヤモヤしたものを抱えている。
そんな印象。
そこに小学生時分の自分の思い出と、それから12年経った現在の自分と交錯していくという……そんな展開。

序盤から中盤にかけてのドタバタ劇は観ていて心地よい。
ところどころ小ネタも大量に仕掛けられており、おそらく自分と同年代の人なら「くすっ」と笑う事必至です。
逆に自分たちより若い年代、若干苦しいかもしれない(笑)

そして中盤から終盤にかけて。
小学生時分のとある事件をキッカケに動き出す主人公たちと、そして現在の自分と比較して重ね合わせる主人公の対比が見物。
完全に過去と現在の話が往復しているのだけど、どこか融合されているというか、別の世界なんだけどそうじゃないような……不思議な感覚に陥る。
でも話は最後はきちんとまとまっている。
ついでにいうとオチもしっかりついている。
大抵、この手の舞台のオチって「想像にお任せします」的なパターンが多いんだけど、最後の最後までしっかりフォローしてくれた感があります。



全体的な感想としては、うまく物語を2本の軸に集約したという印象です。
過去の物語の軸と、現在の物語の軸。
何が中心になって、どう展開していくのか、そこをぶれないように展開していったので、過去と現在が往復(時に融合する)ような話だったけど、観ていて頭がこんがらがる事は一切無かった。
そこにお笑いの要素を、ふんだんなく散りばめており、観ているものを飽きさせない工夫もきちんとされておりました。
正直、コントとしても成り立つような展開でした(笑)

ただ登場人物の整理がつきにくい。
特に一部の役者は一人何役かが多くて、そこがごちゃごちゃになりやすかった。それだけが残念。

だから今回印象に残った役者さんは少ない。
ぶっちゃけ、お目当ての村井みゆき嬢以外「えーっと……誰が誰?」ってなってしまった。
(あとパンフレットに「○○役」と無いのも、ちょっと不親切)

なのでいつもなら印象に残った役者さんを上げるところですが、ここでは村井嬢を中心に役者の皆さまについて語らせていただきます。

村井みゆき嬢が演じたのは、小学生時代の同級生。学級委員でかつ、いいとこのお嬢様という設定。
さてまず彼女を知っている人なら「小学生!?」ってなるだろう。
知らない人向けに説明するなら彼女、178cmと非常に長身なのである。
本日も終演後お話しましたが、自分とほぼ同身長のため目線の高さが全く一緒である。

そんな彼女が小学生を……と最初聞いた時はどうなるんだ!?なんて思いましたが、ところがどっこい。
違和感が全くなかった!(笑)
むしろ普通に溶け込んでいた。

観ていて役に入り込んでいたというのもあるだろうけど、正直、他の出演者も長身の方が混じっていたから、全く違和感無いのである。
また小学6年生という設定を考えれば、当時、女子の中にも男子より長身の女子が多数いた思い出は無いだろうか?
今回の村井嬢はまさしくそれにピッタリ当てはまったと思える。
これは村井嬢をこの配役にした演出の勝利だと思います。

先生役を演じた玉手みずき嬢の背の低さ(失礼)とかを観ていると、却って小学生の高学年ってこんな感じだったよなぁ。ってリアリティがありました。
小学生役を中心に演じていた出演者の殆どは、年齢的にはもう……なんだろうけど、小学生に見えるんだもん。やっぱ素晴らしかった。

逆に言うと現在のパートの中心人物って、主人公とその婚約者だけだったからね。
あと一人、初恋の相手が小学生パートと、現在、両方やっていたけど、それくらいなもん。
(後の配役はまぁ色々・笑)

今回の舞台の成功の鍵は、いかに大の大人を小学生として見せるかだったと思います。
そして今回の舞台では、それがうまく出来ていたと思うのであります。

もっともタイトルの「アメリカ」の意味も、この小学生の時のとあるエピソードがキッカケ。
話の軸は2本あったけど、メインで表現したかったのは小学生時代の話、そして訴えたい事は現在に託した。って印象ですかね。



上映時間は大よそ1時間40~50分くらい。
観ていて飽きない痛快な舞台です。

あと今回、本公演とは別に「育成」という枠で、若手俳優たちがダブルキャストで舞台もしているとの事です。
こういう試みも面白いと思います。

今週日曜日(6/12)まで公演中なので、時間がある方はどうでしょうか?



・演劇カンパニー「東京の人」公式サイト↓
http://tokyonohito.seesaa.net/