……ようやく書けるー!(笑)
いやいや舞台そのものは、4/28に観に行っていたのだけど先方の要望でネタバレ無しでも書かないでって言われていたから(笑)
まぁそれも解禁。
ネタバレ有でガッツリ書きまくるぞ!(笑)
……さてそんな訳で、先日拝見した舞台は「春のめざめ」という作品。
19世紀から20世紀初頭に活躍したドイツ人劇作家・フランク・デヴェキント作の戯曲が原作。
作品自体は19世紀末のドイツが舞台となっている。
近年、ブロードウェイや、日本でも劇団四季がミュージカルとして上演している作品であるが、その過激な内容ゆえ、20世紀前半まで長くに渡り上演されなかった「問題作」である。
さてそんな作品を今回、舞台として上演するのですが……。
本編の感想に入る前に今回の舞台、恵比寿・エコー劇場について。
会場はJR恵比寿駅から徒歩5分。一本大きな道路の脇に入った位置にありますが迷う事はありません。
でも良く考えたら、プレ関係の皆様ならお分かりだと思いますが、LIVE GATE TOKYOが近いんですよね(笑)
LIVE GATEに行く道をちょっと逸れれば、はい到着。って感じ(笑)
そんな感じであまり迷う事無く到着できました。
会場の内部に関しては、会場全体が正方形という感じ。
だから舞台に奥行きをあまり感じなかった分、横長に感じました。
舞台全体を見るならば、あまり前よりも、真ん中より後の方がいいかもしれません。
今回、自分が座った席は前から二列目でしたが、全体を見渡すには若干苦労しました。
また舞台上のセットに目をやると数段の階段が数セット用意されております。
この階段が今回の舞台において重要な役割を果たします。
どう使われるかは、後ほど語るとしましょう。
それではネタバレ有りの本編について。
優等生のメルヒオール(林伊織氏)と落第寸前の劣等生、モーリッツ(中村裕二氏)は大の親友。
10代半ばの彼らはちょうど性に目覚めた年頃で、モーリッツはメルヒオールに性の悩みを持ちかけるような間柄である。
一方、メルヒオールと旧知の間柄であるヴェントラ(垣田夕紀嬢)は母親に子供がどのようにして出来るのか聞いて困らせていた。
しかし頑なに母親はその方法を教えようとはせず、ヴェントラは性に対して何も知る事無く、日々を過ごしていた。
そんなある日、悶々としていたメルヒオールの前にヴェントラが現れ、欲望を抑えきれなくなったメルヒオールはヴェントラを無理矢理……。
片や落第が決まり、失望のどん底に追い込まれたモーリッツは若さ故の過ちを犯し、自らの命を絶ってしまう……。
……ここまでのあらすじだけでも、何故この作品が当初「問題作」になったか分かっていただけると思います。
テーマが10代の少年たちの性、また社会に対する反抗心などに焦点が当てられているからです。
今と違って封建的な19世紀のヨーロッパ社会において、このテーマを取り上げる事自体が社会問題であり、長らく上演されなかった経緯はここにある……と推測されます。
そんな舞台ですから、表現方法も独特で刺激的です。
オープニングからがんじがらめにされたように、ゴムに縛り付けられた学生達があがく姿から始まります。
またシーンの合間には、登場人物たちの心情を象徴するようなダンスが披露されたりします。
そのダンスも性行為だったり、自慰行為を連想させるものなど、かなり刺激が強いものとなってます。
一番驚いたのは、まさかパンツ脱いで、下半身露出しちゃうのは……ねぇ(爆)
(さすがに前は見えなかったけど、お尻は丸出しでしたよ……)
またただ刺激的な表現だけではなく、舞台前方の両端に敢えて舞台下に通じる階段が常に開放されていて、そこから登場人物が現れたり、下に向かって叫ぶのに使われたり効果的な使われ方をしておりました。
前述の階段もシーンによって位置を変え、役割を変え、大活躍。うまく使った感がありました。
さてそんな舞台も後半。
モーリッツ自殺の原因を作ったとして退学の上、「感化院」(今でいう矯正施設?)行きになったメルヒオール。
一方、性に対する知識が無いままメルヒオールと結ばれたヴェントラは子供を宿してしまう。
そして待ち受けていた二人の運命は……。
……と、内容について語るのはここまでにしておきましょう。
色んなところで上演されている作品なので、いずれ別の形で観る方もいると思うので……。
今回、特に印象に残った役者というとやっぱり主人公格の三人になるのかな。
メルヒオールの林伊織氏。
スタイリッシュというか、クール、だけど斜に構えているメルヒオールという人物をうまく演じていたと思う。
モーリッツの中村裕二氏。
いかにも挫折を味わっているよう10代半ばの少年……言い方は悪いけど「中二病」をリアルに再現していたと思う。
ちなみに一緒に観た知人からは、モーリッツがまるで大石のようだと言われました(笑)
でも自分もモーリッツは妙に親近感が沸きました(笑)
ヴェントラの垣田夕紀嬢。
純真で無垢で、天真爛漫な少女を演じきっていました。
でもどこか色っぽさがあるというか……こういう魅力的な娘、クラスに一人はいたよね。そんな感じ。
他に方に関しては、上記の三人を除くと一人二役三役をこなしていて、誰がどの役で印象に残ったという事は無かったんですよね。
一人一人が一つの役をこなすというよりは、足りない場面で誰かがこの役をやって補うという……いわばパズルのような構成だったようにも思える。
だからこの作品、役者一人一人に対する注目度は実は低い。
だけど総合力で勝負したという観点では、評価してもいいのでは無いかと思います。
今回、一回しか見れなかったけど、実は今回の舞台、一部ダブルキャストだったんですよね。
別のキャストでメルヒオールたち三人が誰がどういう風に演じているのか見比べたかったですね。
あとは一回観ただけじゃ、ちょっと難解な内容でした。
時間があったら、もう一度観たかったです。
だけどこれらの観点差し引いても、色々考えさせられた舞台ではありました。
凄い面白い……というよりは、凄い考えさせられる。
充実感に浸るというよりは、思慮にふけるような……そういう舞台だったと思います。
上演時間は1時間45分。
内容的に考慮しても、非常にちょうどいい時間だったと思います。
そんな「劇団アルターエゴ」ですが、7月にも公演を控えているとの事。
機会があれば、また観に行きたいと思います。
・劇団アルターエゴ・公式サイト↓
http://