【舞台観賞】[DVD]「青葉の足音」(ジャングルベル・シアター) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

ここ数日続けた「プレイバック・ジャングルベル・シアター」(いつの間にか「プレイバック・おこ様」からタイトル変更・笑)
いよいよ本日から、そのジャングルベル・シアター2011年冬公演「悟らずの空」がスタートします。


……って、ここ数日の自分の日記読んでいる人なら知っているか(笑)


さて自分勝手に進めてきた、このコーナーも残すところあと2回となりました(笑)
(理由:手元にある「ジャングルベル・シアター」のDVDが5本だから・笑)


それでは公演初日に送る第4弾はこちら!


2008年春公演「青葉の足音」


ジャンベルの公演時系列的には「草薙の風」の後。
約3年前の作品になります。
さてこの年のジャンベルの本公演は、この一本のみ。
なんでもこの年の夏に劇団員の客演ラッシュで秋の公演が出来なかったとか。
その代わり、秋にギャラリー公演「おとぎ夜話」シリーズの第1弾がスタートしています。


実はこの作品、実はこの後のジャンベル作品において、とっても重要なターニングポイントになっている作品なんですが……。


まずは簡単なあらすじから。


国土交通省のキャリアながら地方に飛ばされ、河川調査員をしている瀬口青葉(稲垣希・以下敬称略)。
ひょんな事から陰のある地元のOL・青葉ひとみ(野上敦美)と知り合う事に。
その一方、この土地に昔から産土(うぶすな)として生きる龍神たちと、元は龍神だった蛟(みずち)達の間で争いが起きる。
本来、人には見えない龍神と蛟たちの姿、そして争いがふとしたきっかけで二人の青葉に見えるようになってしまう……。


……あらすじ一つとっても難しい(爆)このDVD見るのは2回目なんだが(笑)
簡単に言ってしまえば、ヒューマンドラマと、代々伝わる郷土史が交錯したようなお話。
はっきし言おう。


この作品に至っては「百聞は一見にしかず」だ(爆)

ちなみにDVDについている、物語の舞台となっている「九龍川流域の地図」を見れば、この作品に対する理解度は格段に増すでしょう。
こういうところは親切だと思う。


さてこの作品、登場人物が主に3タイプに別れる。


まずは普通の人間。
続いて龍神と蛟。
最後に……これは言わない方がいいかな。


なので今回は印象に残った役者さんをこのタイプで分別して挙げて行こうと思う。


まずは人間から。
主人公・瀬口青葉を演じた稲垣希嬢。
彼女はこれがジャンベル二度目の客演だったそうですが、非常に素晴らしい演技をされていました。
明朗快活で強気なキャラはこの作品全体において、必要不可欠な存在でした。
何事にも真っ直ぐで、真正面からぶつかっていこうとする様はまさに主人公の鑑。
古典的とも典型的な主人公タイプだったけど、爽やかに演じていました。


その青葉とは対照的なもう一人の「青葉」こと、青葉ひとみを演じた野上敦美(現・野上あつみ)嬢の好演も光る。
喋り方とか仕草、更にメガネキャラというところから、どうしても彼女が「河童の水際」で演じた川端諸子が序盤はダブってしまった。
しかしどこか陰のある、言い方は悪いけど暗いそのキャラ、そして後半にかけて青葉に対して感情をむき出しにするシーンなどは見ていて緊迫感があった。
その後の彼女の演じたキャラを見ていると、このキャラをキッカケに一皮剥けたのでは無いか……そう思います。


個人的に注目したのは「悟らずの空」にも客演される、三井俊明氏演じる石動三郎。
役どころはこの土地の地主。いかにも地主っていう感じの演技で王道を行っていたと思う。
序盤は本当に嫌味というかそんな役回りだが、終盤、彼の叫びには懺悔というかそういう悲しさすら漂わせる。
「悟らずの空」でもどういう演技をされているのか楽しみです。


それと忘れていけないのが、浅野泰徳氏演じる竜胆丸平四郎と、大塚大作氏演じる大伴御幸のコンビです。
このコンビ、この年の秋に行われた「おとぎ夜話」、更に翌年秋公演の「サラマンドラの虹」、更に2010年ギャラリー公演「新・おとぎ夜話」とこの後3回も出てくる。
設定では竜胆丸平四郎は河川調査員、大伴御幸は郷土史研究家だが、この二人で様々な謎解きをしていく様は実に爽快である。
回を重ねるごとに名コンビになっている印象が強いですが、この時はまだまだジャブ程度。
今やジャンベルファンにとってはお馴染みの名コンビのデビュー戦としてみるだけでも、この作品には価値があると思います。


続いて龍神と蛟から。
ちなみに役名が全て漢字なんですが、とっても難しい漢字があてられているので、平仮名で紹介します(失礼)


まずは「とうてつ」を演じた村井みゆき嬢。
彼女が龍神の長という役回りなんですが、その長身が活きた役でした。
ただそこに立っているだけでも絵になります。とても堂々としており、女性とは思えない貫禄がありました。


「へいかん」を演じた神田英樹氏も捨てがたい。
どちらかというとこれまでは西村氏と並ぶ肉体派のイメージがありましたが、それを覆す程の抑えた演技が良かったです。
口調もとても抑揚が抑えられていて、貫禄がありました。


個人的に驚いたのは「こうふく」演じた土橋建太氏。
2006年の「河童の水際」では主人公・鮎川清太を清々しく演じていたのに、この時は中間管理職よろしく的な小気味良いおっちゃんキャラになっている(笑)
随所で彼の入れるボヤキと、ちょっと憎めない少しダメなキャラがなんか見ていて和んだ(笑)


蛟サイドは全員期待に違わぬいいキャラを出してました。
特に福津屋氏演じる「がいし」なんかは、まさしく福津屋氏の得意とするキャラじゃなかっただろうか。
「悪人になろうとしてしまっている実は善人」っていう……ね。


客演の高橋幸生氏(「草薙の風」のオド役に続いての出演)も、どこか抑えられていた感じの演技も好きだった。
後は西村氏、本多氏、そして松宮さん……イメージを覆すとまでは行かないけれど、期待に違わぬ演技で持ち味を活かしきっていたと思います。


さて最後に残ったカテゴリですが……。


私が贔屓にしている塚本善枝嬢はこのカテゴリにあたる役回りになっております。
この作品で演じたのは鈴という少女。弟の孝太(祖父江美香)とセットと思っていいです。
正直、出番はそこまで多くない。ところどころで出てきては、主に蛟たちと会話を交わすシーンが多いです。
しかしその出てくるシーン一つ一つにとても意味があり、彼女たち姉弟の存在がこの物語の鍵と言って過言じゃありません。
出番は少ないけど、その中において存在感を発揮出来なければ、鈴と孝太は成り立たない役回りでした。
そういう意味では、塚本善枝史上最大の難役だった……かもしれません。
ちなみに設定からして「かわいそうな役柄」でした(爆)
……なんか塚本嬢、こういう役回り多いよね……誰か彼女を幸せにしてあげて(爆)




……とまぁそんなところでしょうか。


作品全体を通して約1時間45分。
主宰・浅野氏が好きそうなテイスト満載の作品になっております。
実はそれなりに勉強になる部分もあったりする作品なのでオススメです。


観終わった後、なんとなく心が暖まるような、優しくなれるというか……そんな素敵な作品でした。


なおジャンベル恒例「開演15分前企画」 の特典映像は、これまでのジャンベル作品ファッションショー(笑)
個人的には塚本嬢、野上嬢が超反則的なかわいさを見せる、あの衣装がかなりオススメ。
※ただしこれを観た後「リヒテンゲールからの招待状」でのキャスティングに若干納得がいかない部分もあったりする(笑)


一応、載せておくと、↓ジャンベルのサイト。


http://www.junglebell.com/


さて次の作品紹介で、このシリーズ一応最終回ですが……。


この後観ますー(笑)


ってか、今日の初演のために休み取ったんだもーん(笑)