「プレイバック・おこ様」……ぢゃなくて、「プレイバック・ジャングルベル・シアター」(笑)コーナーも今回で3回目となりました。
ってか、気付けば明日(2/10)「悟らずの空」初演か……楽しみだなぁ。
そこで今回は前回、同じ会場で拝見した作品の記憶を掘り起こそう……という事で観たのは「河童の水際」
昨年夏にダブルキャストで公演した舞台です。
当時は塚本善枝嬢のいるチームの公演を2回観たのですが、2回とも見事に涙腺崩壊した、ジャンベル史上不朽の名作と言っても過言ではありません。
ただし……今回DVDで観るのは、2006年夏の初演の時のもの。
キャストが同じ人もいれば、変わっている人もおります。
だから全く新作のつもりで、尚且つ昨年夏のおさらいのつもりでも観れました(笑)
ネタバレしない程度のあらすじから説明すると……。
刑務所に服役中の鮎川清太(土橋建太・以下敬称略)はあるニュースで、自分が幼い頃、祖母と過ごした村がダムで沈んでしまう事を知る。
同じ囚人の岩名大和(福津屋兼蔵)と宇久井速雄(浅野泰徳)を誘い、ひょんな事から脱獄に成功して、故郷の村に向かうが……。
まぁこれだけじゃ分からないな!(笑)
ただ一つ言うなら河童が出てくる事だけは言っておこう(笑)
気になった出演者……と言っても、全員になってしまうな(笑)
よし今回は順に一人ずつ挙げていこう!
・土橋建太(鮎川清太)
客演。2010年の公演の際は兜政孝氏にバトンタッチしていましたが、個人的には彼の清太の方が好み。
感情が昂ぶるシーンが多いけれど、ただそれに流されず、抑えるところは抑えていたところがうまいと思った。
後に「青葉の足音」にも客演していますが、だいぶ印象が変わったなぁ(笑)
・福津屋兼蔵(岩名大和)
2010年夏もシングルキャストで同じ役を演じていた。
やはりうまいんだけど、2010年の時と比べると若干、荒削りな印象も。
逆にこってこてな感じではなく、ややスッキリした感があった。2010年は彼なりに岩名というキャラをまた咀嚼し直したんでしょうかね。
・浅野泰徳(宇久井速雄)
2010年夏もシングルキャストで同役。
福津屋氏演じる岩名との掛け合いは何度見ても絶妙だし最高。2010年の時とあまりクオリティに差が無くて、安定感があると感じました。
むしろ彼の評価するべきところは脚本の部分であると思ったりします。
・本多照長(瀬谷源五郎)
2010年夏もシングルキャストで同役。
2006年時より、やや若い印象があり、その分貫禄が若干足りなかったか。
しかし終盤、岩名に語りかけるシーンは泣かせる。間違いなく彼の代表作だと思うが、個人的には2010年の時の方が更に磨きがかかっていて好きだった。
・村井みゆき(瀬谷八津女)
2010年夏ではダブルキャストで山女美幸で配役。もう一人の美幸役の塚本嬢と比較して「大きい美幸」と表現された。
大阪弁を話す人物ですが、元々ご本人が大阪出身という事もあり、違和感全くなし。
源五郎演じる本多氏との凸凹夫婦っぷりも絵になっていた。
・矢藤和智(天升恭司)
当時ジャンベル劇団員。2010年は客演の榎木園郁也氏が演じている。
ちょっとあっさりしている印象があったのと、2010年に榎木園氏が演じた天升の方が個人的に印象が強かったため、そこまで強い印象は残らなかった。
その後のジャンベル作品で名前を見ないので、恐らくこれがジャンベル劇団員としてはラストだったようです……。
・野上敦美(川端諸子)
現・野上あつみ。2010年夏もシングルキャストで同役の上、2010年春には「続・おとぎ夜話」でスピンオフで主人公にもなった。
当時20代前半で荒削りの印象もありましたが、川端諸子というキャラの作りは当時から秀逸だと感じました。2010年で同役を演じた時は更に磨きがかかっていました。
後に「青葉の足音」で演じる青葉ひとみと、キャラクターがモロ被りしている点でも、この時、野上嬢のメガネキャラの根幹は成り立ったように思います。
・大波勝(深山鱒之介)
客演。2010年夏には西村太一氏が演じています。
2010年夏に西村氏が演じた深山が老人だったのに対し、こちらは中年という点においては一番様変わりしたキャラではないでしょうか。
ただ歳の割に落ち着きすぎの印象も有ったので、妙な違和感を感じたキャラの一人。故、2010年では老人という設定になったのか……。
・神田英樹(追川卓)
2010年夏では大倉友之氏とのダブルキャストながら同役で出演。
自分と同い年なので、恐らくこの時彼は28歳。歳相応の編集者という意味では非常にハマり役だったと思います。
唯一、2010年夏の時は彼の追川を拝見していないのが心残り。
・塚本善枝(山女美幸)
我らがおこ様(笑)2010年夏では村井みゆき嬢とのダブルキャストで同役出演。通称「小さな美幸」
2010年当時より感情的な一面を覗かせており、演技が今より成熟していないように感じます。4年半前とは言え、今よりかなり幼い印象があります。
特に終盤、清太に涙ながらに語りかけるシーンがこの時と2010年では全く印象が違う。好みの問題でしょうが、個人的には2010年の方が好み。
※余談だけど、確か彼女、最初にこの役を演じた時はかなり苦労したと以前語っていました。それが良く分かるという意味では貴重な映像かもしれない。
・大塚大作(吉登富代)
2010年夏では竹内俊樹氏とのダブルキャストで同役出演。
2010年の時とは外見がかなり異なっている。恐らく彼がジャンベルに所属して初の出演作という事もあり、非常に張り切っていたように感じる部分が多々ありますが、それが却って不自然にも映って残念。
後に彼は同系統で大伴御幸(「青葉の足音」他)という役を演じていますが、それが良かったのか2010年にはかなり自然にあの暑苦しいキャラを演じきったと思います。(むしろ吉登富代が大伴御幸化したという見方もできる)
・松宮かんな(河童)
2010年夏もシングルキャストで同役。いや彼女にしかこの役は出来まい(笑)
ただしこの時は若干、荒削りだったような印象もあります。完成度は2010年夏の方が間違いなく高いです。
とは言え……河童なんて想像上の生物を演じるだけでも、十分凄いんですけどね(笑)終盤の再現シーンの表現力はお見事の一言!何度見ても凄い。
西村氏以外の劇団員の4年半前が見れるこの作品。
正直言いますと、全体的に皆さん、荒削りな面があると思います。
特に先に2010年の「河童の水際」及び、自分みたいに2007年以降のジャンベル作品をDVDなどで拝見していると、それを感じます。
しかしながら舞台にかける情熱というのは、びっしり伝わってきますし、ストーリーを知っていても、同じところで涙腺がやばくなるのは素晴らしいと思います。
その結果、この年に行われた「シアターグリーン演劇祭2006」で一般審査員の得票を最も多く集め「一般審査員賞」を受賞している訳です。
いわばジャングルベル・シアターにとっては、現在の方向性を決定付けた、原点とも言える作品だと思います。
それ故、主宰・浅野氏が昨年15周年の記念公演に再演でこの作品を選んだのも頷ける訳です。
ただし拝見したDVD、編集がとっても残念です。
特に音声がちょっと残念な事になっています。それ故、低価格で購入は出来ますが(汗)その辺のクオリティは許してあげてください。
その低価格で購入できた分、絶対得な気分になれます。
時間は約1時間40分。
最初「あれ?短い」と思いましたが、2010年版では幾つかシーンが追加されているので、それが無い分短いですね。
却ってストーリーはこっちの方がスッキリしていていいのかも。
そんな「ジャングルベル・シアター」の次回公演はいよいよ明日から始まる「悟らずの空」。
まぁ私がこれ以上宣伝してもなんなので、興味を持った方は↓へ。
まだ予約大丈夫みたいですけど、そろそろヤバイみたいです(笑)
物販では……まだ売っているのかな?(爆)