【レポート】燃えこれ学園定期公演「つうしんぼユニットSP(6月度)&山田みつき卒業公演」@初台DOORS
「卒業」
世間一般的には学校での課程を修了した事を指す。
そして「別れ」と新たなる「旅立ち」を連想させる言葉でもある。
きっと誰もが人生で数回は通った「卒業」という道。
昨今では広義において、何か事物から離れる事を「卒業」と表現する機会に多く立ち会う。
この「卒業」という言葉は、アイドルの世界でも頻繁に使われる。
特にグループアイドルにおけるメンバー脱退の表現の一つとして用いられる事が多い。
(少なくとも表向きは)所属していたグループ(あるいは事務所)を円満な形で脱退する際に使われる事が多く、最後に「卒業式」と称したイベントが行われる事例も多い。
アイドルの世界では耳にしたくない単語ではあるが、それでもきちんと見送れる機会があるだけ幸せなのかも知れない……。
学園系グループアイドル・燃えこれ学園での話。
元々「学校」をモチーフとした組織である。
メンバーの脱退の表現として「自主退学」、あるいは「卒業」という言葉を耳にする機会は多い。
昨今はほとんどの事例で「卒業」と表現されており、「卒業式」(あるいは「卒業公演」など)をもって送り出される事がほとんどだった。
また2025年度になって早々、長年1期生として燃えこれ学園を支えた佐々木千咲子が来年2026年5月での「卒業」を発表した。
多くの広報委員(燃えこれ学園ファン層の呼称。このレポートでは以後、このように表現する)がその事実を悲しみつつも時間をかけ、そしてじっくりと受け容れつつある状況だった……。
そんないつもより少し寂しい、燃えこれ学園12年目の夏。
その報せはまさに青天の霹靂だった。
山田みつき、卒業。
誰もが耳を疑った。
2020年のコロナ禍直前に候補生となり、同年11月に9期生として正式加入(入学)
もうすぐ生徒となり5年を迎える直前だった。
これから燃えこれ学園の屋台骨を支えるメンバーの一人と、誰もが思っていた。
卒業発表したのは8月中旬。そして卒業は9月……。
残りの活動期間は一ヶ月を切っていた。
あまりにも突然の「卒業」
だが「卒業」が目前に迫っても、山田みつきはいつものようにステージの上に立ち続けた。
ステージの上や特典会で接する彼女から、悲愴感の欠片は微塵も感じなかった。
いや……実際はそう見えただけかも知れないだけで、彼女自身、我々には見えないところで抱えているものはあったかも知れない。
しかし少なくとも彼女は、広報委員の前では弱味らしいものを見せる事も無く、いつものように飄々とした姿勢を貫いた。
「卒業」が信じられなかった。それくらい堂々としていた。少なくともそう見えた。
やがて一つ、また一つ、彼女の出演ライブが終わっていく。
「卒業」が発表されてからの時間は短かった。一方で非常に濃密な時間が、そこには流れていた。
そして……いよいよ彼女は最後のステージに向かう。
今回は2025年9月9日、初台DOORSにて行われた、燃えこれ学園定期公演「つうしんぼユニットSP(6月度)&山田みつき卒業公演」の様子をお送りします。
●開演前
開場よりも1時間ほど前、既に多くの広報委員の姿が会場前にあった。
この時期、発売される事の多い「月見バーガー」
それにかけて山田みつきとのチェキとセットで写真をX上にあげる事が多いのだが、それをするために集まった。
事前にポンコツの保護者(山田みつきのファン層の呼称)からの呼びかけで実現したのだが、10数人規模で集まった。
会場近くのマク〇ナルドに移動して、大量の月見バーガーと、山田みつきのチェキでその様子を撮影。
いかに山田みつきが多くの広報委員に愛されているか分かるものだった。
詳しくはX上にあがっている「#みんなでたべようみつきみバーガー」「#みつきとつきみ」などで検索してみて欲しい。
やがて開場時間が近づいたたため、退店し会場へ再び移動。
この日の開場時間はいつもより早い17:30。
平日である火曜日の夕方という事を考えると、かなり早い時間だった。
普通の社会人はまだ仕事をしていてもおかしくない。
……それにも関わらず、開場してから続々と多くの客が詰め掛けた。
前述の10数人のみならず、会社を早く切り上げたか休んだ者もいれば、遠方からの遠征勢も多く駆け付けた。
↑当日会場内で飾られたフラワースタンド。これも山田みつき卒業発表後に急いで注文、またボードのデザインしたものだ。
卒業の発表が8月中旬。
社会人だともうこの時期になると、人によっては休みを取るのも困難な方は多くない。
それにも関わらず……だ。
10周年記念衣装をまとったメンバーたちの前特典会が17:45に開始したが、山田みつきとの撮影を望む列は途切れる事なく……開演時間の10分前を切ったあたりでようやく山田みつきは前物販を終えた。
その頃には会場は既に多くの客でいっぱいだった。
そして広報委員たちの多くは、山田みつきの担当カラーである、エメラルドグリーンの推しTを着て開演に備えていた。
当方も普段は推しメンである蒼音舞の紫の推しTを着るところだが、この日だけは山田みつきのエメラルドグリーンの推しTを身にまとった。
↑当日まとった、山田みつき推しT。ビッシリとコメントが書かれているのが嬉しい。(苦言も呈されているけど・笑)
広報委員やファン層によって考えは様々だが……自分としては普段、蒼音舞の推しT以外は袖を通さない事にしている。
人によっては、そのメンバーの生誕祭など特別な時は、例え他に推しメンがいてもそのメンバーの推しTに袖を通す方もいる。
自分の場合は今年の一時期、蒼音舞の休養期間中に「レンタル大石」という企画で何名かのメンバーの推しTや、また蒼音舞が出演しない際に何度か他のメンバーの推しTを借りて着た時期もあったが、基本的に滅多にそういう事はしない。
自ら進んで蒼音舞以外のメンバーの推しTを着る時は……最後になる時だけだ。
背中に書かれた山田みつきからのメッセージに目を通し、そして……どこかこみあげてきそうな寂しさと共に、袖を通した。
慌ただしい雰囲気の中、舞台袖から聞こえる燃えこれ学園のステージ前の掛け声、そして始まるスクリーンに映る諸注意。
それを終えて鳴り響く、チャイムの鐘の音……。
山田みつき、アイドル人生最後のステージの幕が上がる!
●本編
○燃えこれ学園
10周年記念衣装に身を包んだ、燃えこれ学園のメンバー10人が登場。
↑当日、会場内に掲示されたメンバーのぼりより。まさにこの10周年衣装で登場した。なおこの並び順は9月度つうしんぼランキングの順位となっている。
1曲目はとても明るく楽しい雰囲気の「ココハピ」からスタート。
山田みつきの明るく朗らかな歌い出しから始まる同曲。
だが心なしかメンバーの中には声がうわずっているように感じたメンバー、序盤にも関わらず目が潤んでいるようなメンバーも見受けられたが……。
早速、それは起こった。
1番は無事に終え、2番のAメロに移る。
2番冒頭の成田、稲森によるパートを終え、次は熊野はるのパートなのだが……。
熊野はる、泣いて歌えず。
……早すぎ!(爆)
熊野はるにとって山田みつきは、非常にかわいがっていたメンバーの一人である事は、広報委員なら誰もが知っている。
それ故、感情が人一倍移入してしまうのも分かるし、彼女の性格上、どこかでこうなるとは思っていた部分もある……。
それにしても……早すぎ!(爆)
熊野はるのパートはメンバー、そして会場にいる広報委員たちの合唱でカバーする事で事なきは得たが、あまりにも早い熊野はるの涙に……感動よりもツッコミと驚きが勝った瞬間だった。
その後も若干声がうわずっているメンバーも見受けられたが、山田みつきの笑顔に引っ張られるようにして「ココハピ」は終わった。
続いて2曲目「トワイライトキャラメリゼ」に移る。
所謂、後輩'sと呼ばれる三浦、稲森、青山、そして山田みつきが中心となって構成される同曲。
当然の事ながら山田みつきがフィーチャーされる場面も多く、ここではいつもよりも大きな「みつき」コールが会場内で響いた。
途中、落ちサビを担当する稲森がいつもと違う振り付けで山田が驚いた表情が見せるというサプライズもあった。
そして楽曲の最後を山田のパートで締めて「トワイライトキャラメリゼ」も無事終了した。
冒頭2曲を終え、MCに入るが真っ先に熊野はるからの謝罪から始まった(笑)
なおこれまでの熊野はるの涙腺崩壊最短記録は、赤坂BLITZ公演での3曲目「恋の魔法」の途中との事で、最短記録を更新したとの申告があった(笑)
そしてメンバー全員の自己紹介を上手側から一人ずつ名乗っていく短縮バージョンで行う。
この日、誰よりも大きな声援を浴びたのは山田みつきだった。
メンバーが山田みつきに関わるエピソードを一通り披露したところで、ここで佐々木千咲子の推しメン投票8thSTAGEクリアの表彰が行われた。
※推しメン投票とは、燃えこれ学園の入学してから累積で溜まる投票ポイントで、STAGE達成ごとにメンバー個人に特典が与えられる。
8月度の急伸でメンバー最初の8thSTAGE達成となった佐々木千咲子。
来年5月に卒業が決まっている彼女にとっては、何よりも嬉しい贈り物となっただろう。
そしてここから定期公演という事でゲストが登場する。
急遽「山田みつき卒業公演」が重なる事になったが、当初の予定通り出演を快諾してくれた3組のゲストがステージを彩っていく……。
○ろいやる♡どーる
ゲスト1組目として登場したのは、ろいやる♡どーる。
蒼井めるだ、ゆりざべすの二人によるユニット。
個々での活動も目覚ましい二人だが、今年3月にユニットを結成するに至り、今回、燃えこれ学園定期公演にゲストとして初出演となった。
二人とも長身で目を引くスタイルをしており、二人で並んで立つ姿は非常に見栄えがした。
まだオリジナル楽曲が一曲しかないため、カヴァー中心のステージとなる。
冒頭2曲を終え、MCに入る。
過去に何度か燃えこれ学園の定期公演などに客として来場している蒼井めるだとしては、念願叶っての出演となり、MCではその様子を楽しそうに語っていた。
ゆりざべすの威勢のいいMCと相まって、場の空気が温まっていく。
ステージも後半に突入し、ますますステージでのパフォーマンスも場慣れしていく。
また配信ライブである事をしっかりと把握して、ステージ下手側にあるカメラに向かってアピールするなども忘れなかった。
ラストは現状唯一のオリジナル「ROYAL DOLL」
力強いゆりざべすと、やわらかい蒼井めるだの両者の歌声、パフォーマンスが対照的だが融合する様が非常に印象的だった。
こうしてろいやる♡どーるにとって初の燃えこれ学園定期公演出演者終了。
これからの活躍が非常に楽しみなユニットだった。
○燃えこれ学園(6月度つうしんぼユニット~前半~)
ここで燃えこれ学園が再び登場。
本来の予定であった「6月度つうしんぼユニット」のコーナーが展開される。
このコーナーは2つに分かれており、その前半。
まずはトークポート選抜。
ここでは「風と君と虹と僕」を熱唱。
成田麻穂の歌い出しで始まる同曲だが、タオルを振り回す振り付けが特徴的である。
今回からそのタオルが現在行われている「はじけろ★パーティータイム!!Tour」タオルに変わっていた。
こうして明るく爽やかに「風と君と虹と僕」を歌い終えた。
次のフォトガチャ選抜だけは同率5位がいたため、6人でのステージ。
歌ったのは「ぱすてるサマータイム」
燃えこれ学園に何曲かある夏系の楽曲の一つ。
とても明るいけど、どこか切ないサビのメロディラインが非常に特徴的な一曲。
もうすぐ去り行く夏を彷彿とさせる一曲。
「君のまぶしいその笑顔 もっと見ていたいから」という歌詞の一節が、この日は特に胸に刺さった……。
課外授業ポイント選抜で歌ったのは「星の記憶が降る夜に。」
佐々木千咲子歌い出しから始まる同曲は、静かな前奏からの立ち上がりが印象的な一曲。
実は山田みつきのソロ曲「Vampire distress」のCDにおいてカップリングに収録されているのも同曲。
偶然ではあるが、ここでこの一曲が選曲された事が感慨深かった方も多かったはず。
各メンバーの歌声が会場内に響き渡り、静かな余韻を残しつつ、この一曲を終えた……。
なおそれぞれの選抜されたメンバーについては後述するセットリストを確認してもらいたいが、この日卒業を迎えた山田みつきは6月度つうしんぼユニットの全部門選出されている。
(他に全部門選出は成田麻穂、蒼音舞)
燃えこれ学園のつうしんぼランキング、特に部門別はメンバーによって強いジャンルと、その逆もあるので選出のしやすさ、しにくさが顕著に別れる事が多い。
そんな中で全部門に選出されていた山田みつきのある意味、バランスの良い人気を裏付ける結果だったとも言える。
今回(当初の予定だった)「6月度つうしんぼSP」と「山田みつき卒業公演」が重なった訳だが、結果的に彼女のステージを少しでも多く見れる機会に恵まれるという意味では御の字に働いたと言えるだろう。
……こうして6月度つうしんぼユニットの前半戦は終了。
山田みつきの元気な呼び出しと共に、ステージは2組目のゲストを迎え入れる事となる……。
○no concept
2組目のゲストとして登場したのはno concept。
現在は今田桜花、真仲美鳳の二人がメンバーとして活動しているユニットである。
何度かのメンバーの変遷を経て、先日、活動4周年を迎えたばかりである。
その際のプチワンマンライブにおいて、燃えこれ学園もゲストとして呼ばれていたので、記憶に新しい方も多かったに違いない。
全身黒に統一された衣装で登場したno conceptの二人。
ろいやる♡どーるもそうだったが、この二人も非常にスタイルの良さが目立つ。
前半2曲に「赤白のメイズ」「アイビー」と立て続けに歌う。
前述の通り、二人のスタイルと相まって振り付けの一つ、一つからして見栄えが非常に良かった。
MCを経て後半。
「掴命(カクメイ)」では手を挙げて、力強く会場全体を盛り上げる。
ラストはno conceptの代表曲「ゼロ距離」
作曲したHIDEKI(藤倉秀樹)サウンドの真骨頂とも言えるシンセサイザーの疾走感が何とも心地よい。
(余談だが、前述のろいやる♡どーるのオリジナル「ROYAL DOLL」も同氏作曲のものである)
サビの部分の特徴的な振り付けも非常に印象的であり、会場内のテンションも一気に上がった。
こうしてno conceptのステージは終了。
どこかスタイリッシュで、颯爽とした姿がとても印象的だった。
○燃えこれ学園(6月度つうしんぼユニット~後半~)
燃えこれ学園が三度登場。
ここからは「6月度つうしんぼユニット」コーナーの後半となる。
なお定期・主催ポイント選抜、つうしんぼ選抜(総合順位)となるが、偶然にも選抜された5人は一致している。
まず定期・主催ポイント選抜で選曲されたのは「Red Voice」
初めて聴いた広報委員、それに近い客層も多いと伝え聞いたが、この楽曲は元々熊野はるのソロ曲。
燃えこれ学園メンバーも時々歌う機会があるのだが、年に数回がいいところ。
かなりレアな選曲ではあるが、この楽曲、実は山田みつきにも縁が深い一曲で、ソロ曲が無い時代に2021年度(2022年1月開催)の生誕祭でこの楽曲を歌っている。
なお基本的に「つうしんぼユニット」の選曲は各部門の1位になったメンバーが選ぶのだが……偶然とは言え、蒼音舞の選曲が神がかっていたと言える。
激しいロック調の楽曲に、5人の力強いヴォーカルが響き渡り、会場を赤く、熱く燃え上げた。
続いて6月度つうしんぼランキングの総合順位上位5名(俗にいう「選抜入り」)メンバーによる、つうしんぼ選抜メンバーとして歌ったのは「Melodious Revolution」
現在は主に先輩'sと呼ばれる5人(熊野、佐々木、成田、蒼音、仲川)の楽曲として歌われる機会が多いが、そこに熊野、仲川の代わりに稲森、そして山田みつきが加わる編成となった。
実は山田みつきもこの楽曲に縁が深く、特に先輩'sメンバーのうち一人だけと入れ替わってライブに出演する機会があるたびに「代打」のポジションに立つ事が多かった。
一方で稲森のあは意外にもこの楽曲の歌唱パートは初参加だったとの事で、後のMCではその嬉しさを語っていた。
こうして「Melodious Revolution」もしっかり決めてみせた。
その後、間を置かず……つうしんぼランキング1位にだけ許されるソロステージへ!
流れたのは6月度1位・蒼音舞のソロ曲……「RealCry」
この時だけはエメラルドグリーン中心だった会場内のキンブレなどの色が、彼女の担当カラー・紫一色に染まった。
燃えこれ学園が誇るパワーヴォーカリスト・蒼音舞。
その本領を発揮するかのように、力強い歌声で会場のボルテージを更に高いところまで燃え上がらせた。
もっとも前奏部分で煽りを終えたところで一旦、水を飲みにステージにはけたり、1番ラストで歌詞が噛んでしまうなど、本人にとっては反省点も多いステージとの事だった。
(特に水を飲みに、一旦ステージからはけた場面は笑い話としてメンバーに後ほど突っ込まれる)
だが6月下旬の手術からの活動休止期間を経て、戻ってきたパワーヴォーカリストの歌声は唯一無二の輝きを見せた。
そしてその輝きは同郷の後輩でもある、山田みつきにもきっと届いただろう……。
↑自分の推しメン・蒼音舞。つうしんぼユニットSP(6月度)の主役は間違いなく彼女だった。
こうして6月度つうしんぼユニットのコーナーは熱気に包まれた中で終了。
「RealCry」歌い終えた直後、若干ふらつくほどに力を出し切った蒼音舞だが、実はこの日が数か月ぶりのスタンディングでのパフォーマンスだった。
6月に先天性の病気の手術のために活動休止し、復帰した後も無理な動きが出来ないため、椅子に着席していた状況でのパフォーマンスを強いられていた。
この日も冒頭2曲までは椅子に着席していたが、この日のつうしんぼユニットコーナーから立ち上がってのステージに復帰していた。
MCではその事(及び「RealCry」中のパフォーマンス)についての言及があったが、この時だけは6月度つうしんぼランキングの頂点に立った、蒼音舞の時間だったと言えるだろう。
蒼音舞の充実した表情を見る限り彼女自身、嬉しかったと想像する。
またメンバーの中でも蒼音舞を推しと公言している山田みつきも万全のパフォーマンスの蒼音舞と共に立てた事が嬉しかったのではないか……そう信じてる。
この熱気の中、この日3組目のゲストがステージ上に現れる……。
〇明根凛
雷鳴轟くOPSEの中、山田みつきを意識したであろう、エメラルドグリーンの配色がほどこされた衣装を身にまとって登場したのは明根凛。
↑物販で撮らせていただいた明根凛の写真。当日もこの衣装でステージに立った。
またその手には彼女の代名詞とも言える、自身のイラスト、ロゴがほどこされた大きな旗を携えていた。
この日の旗はエメラルドグリーンの地に青い線が入る、まるで山田みつきのためにあるような配色となっていた。
彼女の名物ともいえる、旗を振り回すパフォーマンスを交えながら「SIREN」を熱唱。
続いてマイクスタンドを用意して「Crossing」、更に「純情的にわか雨」と前半3曲を連続で歌いあげる。
彼女は熱のこもったステージが特徴的な歌い手である。
つうしんぼユニット、蒼音舞が作り上げた熱いステージの流れをそのまま引き継ぐようにして、歌いあげる様は絵になっていた。
MCではコロナ禍前にソロで「燃えこれ学園 定期公演」にゲストで呼ばれた時を回顧。
その時以来の定期公演ゲストとしての出演に非常に感慨深い様子を見せていた。
MCを挟んだ後の後半もその勢いは止まらない。
代表曲「Loser's laughter」では再び旗を手に大きく振り回すパフォーマンスで会場を沸かせる明根凛。
会場全体が肩を組んでヘッドバンキングをする名物パフォーマンスも発動し、会場の一体感がますます強まった。
ラストは「Bright Future」
タイトルの通り輝く未来を象徴するような明るい曲調が心を明るくする。
間奏の箇所で「みつきちゃんは今日で卒業ですが、いつでも『おかえり』と言えるように、皆さん頑張って長生きしましょう!」と高らかに叫んだ。
この彼女の一言は山田みつきへのリスペクトと共に、これから山田みつきが卒業した後も生きていけば……というメッセージが込められていたように思えた。
20分のステージに5曲を詰め込んだ、明根凛のステージは終了。
この後の燃えこれ学園に繋ぐ大仕事をやり遂げたその表情は、充実感に満ち溢れていた。
……こうして6月度つうしんぼユニットと、全てのゲストのステージを終えた。
この後、行われるのは「山田みつき卒業公演」
正真正銘、山田みつきにとってアイドル人生最後となるステージである……。
薄暗い会場の中、メンバーが立ち位置に立つ。
そして山田みつきの口から一言、タイトルコールがつぶやかれた……。
……で、スタートなら、どれだけ美しかっただろう(笑)
実は山田みつきが曲名を言った際、マイクは入っていなかった。
(配信で確認するとタイトルコールは拾っていなかったが、会場内ではしっかり聞こえていた)
だがこれは音響側のミスではなく、実は山田みつきのアドリブだった(笑)
前奏は流れたものの、想定外の演出だったために残りのメンバー全員動揺(笑)
前奏部分も途中でストップとなり仕切り直しに……まさかの卒業公演のスタートで、主役がツッコミを受けるというある意味で彼女らしいスタートとなった。
そして今度こそ……山田みつき、アイドル人生最後の時間が動き出す……。
○燃えこれ学園(山田みつき卒業公演)
卒業公演パートの1曲目は「Shiny Dream」からスタート。
山田みつきの歌い出しで始まる、明るい楽曲である。
なおAメロの歌い出しが山田みつきだが、この時の動揺か噴き出してしまっており、熊野からは「しっかりしなさい」とツッコミを受けている(笑)
ちょっと締まりのない始まりをした卒業公演パートだったが、これが良かったのか……メンバーたち、そしてエメラルドグリーンのドレスを身にまとった山田みつきは満面の笑顔を見せていた。
なおこのエメラルドグリーンのドレス、実は山田みつき初の2020年度生誕祭(2021年1月開催)で着用していたものである。
しかしこの時の生誕祭は、まだコロナ禍の影響で燃えこれ学園は無観客配信でのライブを敢行していた時期である。
このドレス姿の山田みつきを画面越し、もしくは特典のチェキ越しでしか拝める機会が無かったものである。
約4年半の月日を経て、このドレス姿で登場した事は、初期から山田みつきを知っている者にとっては感慨深いものだった。
1曲目「Shiny Dream」を歌い終えると、2曲目に選んだのは「Peeeace!!!」
燃えこれ学園としても歌うのはかなり久々な夏の楽曲!
この楽曲は山田みつきが在籍してから作られた楽曲の中では2曲目にあたり、また1番Aメロでメインパートを初めて任された一曲でもある。
なお楽曲発表時の1番Aメロを担当したのが、既に卒業した當銘菜々、高未悠加、そしてこの日卒業する山田みつきの三人……。
当時の當銘パートを稲森、高未パートを成田が担当する歌い出しとなった、この日の「Peeeace!!!」
山田が卒業する事で、1番Aメロを担当した3人が全員いなくなる事に、時の流れを感じずにはいられなかった。
(余談だが當銘菜々にとっては、在籍時最後のオリジナル楽曲でもある)
だが底抜けに明るい曲調を前に、メンバーたちは笑顔を崩さず久々となる「Peeeace!!!」を歌い切った。
3曲目は「sweet darlin」
この楽曲も元々は熊野はるソロ曲だったが、現在、後輩's(三浦、稲森、山田、青山)の楽曲としてサブスク配信された経緯がある。
なおこの楽曲は山田みつきが、燃えこれ学園入学後、初めてソロで歌った楽曲でもある。(2021年4月27日「2020年度つうしんぼランキングSP後編」にて披露)
この日の歌詞割りは普段と違い、1番をほぼほぼ山田みつきのソロで歌うと演出となった。
入学当初は歌唱力がお世辞にも高いとは言えなかった山田みつき……当時も意を決して歌った部分が見受けられた。
ただ燃えこれ学園での約5年半の月日は、ソロでも堂々と歌えるだけの自信と度胸を彼女に植え付けたのだろう。
どこか歌う事に抵抗を覚えていた頃から、成長した山田みつきの姿がそこにはあった。
なお面白かったのは2番前半の演出。
「あたしの視線の先 チョコパフェ発見」という歌詞でパートを担当した成田の指の先にいたのは……ケーキの着ぐるみに身を包んだ西崎琴音(笑)
この楽曲はまだ参加出来ない西崎だが、この後に控える三浦のパート「満面の笑顔で」の後に「太るよ」とワンフレーズだけ歌い、脇腹をつついて去っていった(笑)
この演出も山田みつきが考えたものと推測されるが、現状、出番の少ない後輩のために見せ場を用意する気遣いも見えるワンシーンだった。
なお余談ではあるが三浦千鶴はかつて山田みつき生誕祭で、実際にケーキをステージ上で食べるという演出をしており、この一連の演出は当時のオマージュと思われる。
きっと当時を知っている広報委員にとっては、最高に面白い展開だったに違いない。
こうして「sweet darlin」はかわいらしく、そして燃えこれ学園らしいバラエティー要素ふんだんに盛り込まれた。
楽曲ラストに山田みつきを中心に全メンバーが抱き着きにいく、いつもの振り付けなのだが、愛情に溢れたシーンも印象的だった。
(ケーキ姿の西崎もステージ上で手を挙げている姿も微笑ましい)
こうして楽しく明るい雰囲気の「sweet darlin」から一転、会場に流れる激しいロックサウンド。
山田みつき以外のメンバーが全員、ステージの上から掃けていく。
ここで山田みつきソロ曲「Vampire distress」となる。
これまでの3曲から一変して、ダークな世界観の山田みつきがあふれ出す。
先ほどまで愛らしい笑顔で歌っていた彼女とは同一人物とは思えないほどに、激しくかき乱すような感情がほとばしる。
エメラルドグリーンに染まった会場の中、叫びともいえる彼女の声が響き渡る。
そこにいるのは普段、愛嬌を込めて呼ばれている「ポンコツヒロイン」ではない、ダークヒロインとでも形容すべき山田みつきの姿だった。
だがこの普段見せない一面も彼女のもう一つの魅力なのだと、ステージの上から叫ぶ彼女を見て感じた。
自身ソロ曲のステージを終えて、山田みつき単独でのMCとなる。
そこには普段の明るい「ポンコツヒロイン」の姿があった。
冒頭のあいさつの後、自身の燃えこれ学園入学前の話から、新入生候補生になった頃を回顧する。
当時「少しでも多くのステージに立ちたい」という自身のワガママ(と彼女は表現)を叶えてくれた燃えこれ学園に感謝を述べる。
また歌が苦手だった事を振り返り、今だから言えるであろう苦悩を述べた。
だが応援してくれる広報委員の存在が力になったとここでも感謝を述べた。
彼女なりに一つ一つの言葉を丁寧に、そして慎重に紡いでいく。
やがてその言葉はメンバー一人、一人に対するメッセージに及ぶ。
一人、一人のメンバーに対して、彼女なりの愛情を込めて呼びかける。
(なお最後に運営である理事長に対して感謝しつつも、ちょっと釘を刺していた・笑)
彼女のまっすぐな想いはきっと、一人、一人のメンバーにもきっと届いた事だろう。
……恐らく当初の想定よりかなり時間がオーバーしていただろう。
最後は舞台袖から熊野はるが登場し、山田みつきの長いMCは終了となった。
(後日談で聞いたところによると、ここで2曲ほど削っているとの事)
本来なら余韻に浸りたいところだが、山田みつき自身「しゃべりすぎました」とコメントしている通り、そうも言っていられない状況となり、山田みつきの最後のステージはここからやや駆け足気味に過ぎて行く事となった。
そしてMC明けの楽曲は「この歌、歌いたいの?」と聞かれて、初めて自分から「歌いたい」と言った思い出の一曲……。
卒業公演パート5曲目「タイムレシーバー」
モールス信号から始まる前奏が印象的な同曲。
暗転しエメラルドグリーンの薄っすらとした光が灯る会場を、モールス信号の音だけが包み込む……。
その静寂を経て、明るくなった会場と共に鮮やかな音楽が流れ始める。
山田みつきの歌い出しから始まり、「届いて」というメンバーたちの願いにも似たフレーズが響き渡る。
ステージの上から会場中に……いや配信を通じても世界にも届けとばかりに願いを込めて歌われた。
きっとこの日の燃えこれ学園の込めた想いは、楽曲を通じて観ている者全ての胸に届いた……。
そう信じたい。
6曲目は「オルゴール」
時期的には若干早いクリスマスソングではあるが、季節問わず燃えこれ学園では歌われている印象がある。
非常にきれいなメロディーライン、ハモリが入った歌唱パートと見所は非常に多い一曲である。
この楽曲は山田みつきが新入生として正式加入した直後の2020年12月に初披露された一曲で、彼女にとっては加入後最初のオリジナル曲である。
前述のようにクリスマスソングとして作られている楽曲だが、当時、コロナ禍の情勢を反映したような、どこか切ない歌詞が印象的な一曲となっている。
今、思い返すと、この楽曲の歌詞の切なさが、どこかこの日卒業する山田みつきの事を思うと、心境が重なるような……。
いつもとは違う印象でこの楽曲を聴いた人も多かったのではないか……。
そう思いながらステージの上で躍動するメンバー、そして山田みつきの姿を目で追っていた……。
……そして山田みつきにとって、アイドル人生最後の時は刻一刻と近づいてきた。
「オルゴール」後のMC……
恐らく最後になるであろう、山田みつきのMCで出た一言目が……
「山田公演」
これにはメンバーも爆笑(笑)
会場内の広報委員や客層もつい笑いが起きる。
熊野はるの「締まらんなぁ」を始めとする、メンバーからのツッコミの数々を受ける。
……この様子を見ていたら、これが最後とはとてもじゃないけど思えなかった。
それくらい燃えこれ学園のメンバーたちは、最後まで朗らかに、そして和気藹々としていた。
……改めて山田みつきがマイクを手にする。
「山田みつき卒業公演、最後の曲です」
……即ちそれは山田みつきにとって、アイドル人生最後の一曲となる。
最後の一曲に歌ったのは……「Re-START」
山田みつきが新入生候補生と加入する直前にレコ発し、その後、コロナ禍における燃えこれ学園の活動を長く支え続ける事となった一曲。
昨今こそ歌われる機会は減ったものの、燃えこれ学園の代表曲の一曲と言って過言ではない。
歌い出しの稲森のあが自身のパートを歌い終えると同時に、山田みつきに寄り添うようにして彼女を前に立たせる。
続く山田みつきのパートだが、この日一番声が震えているような気がした。
声が震えているのは山田だけじゃなかった。
多くのメンバーが声を震わせ、今にもこみ上げてきそうな感情を抑えつけるように、だけど必死に歌っていたように思う。
声がかすれそうなメンバーがいたら、他のメンバーが歌唱のフォローに入り支える。
燃えこれ学園らしいチームワークで歌は滞りなく進んだ。
それを知ってか知らずか、会場からは広報委員を中心とした客層から、大きなコールが彼女たちのステージを後押ししていた。
そして何より山田みつき、最後のステージを応援するため……残された体力を振り絞るような大きな声援が会場に響いた。
楽曲も終盤にかかる間奏部分。
熊野はるの「声出して!」「もっと!」という掛け声は、何よりも心の底からの叫びだった。
それに呼応するかのように、大きな声を張り上げ、腕を振り上げる広報委員、客層たち。
ステージの中心で燃えこれ学園のメンバーが右手を伸ばして円陣を組むのと同時、ロビーの広報委員、客層たちもその右手を前に伸ばして心を一つにしていた。
間奏明けのメンバー全員の歌唱パート。
メンバー全員、今にもかすれそうな歌声だった。
だけど最後の歌唱パートを、堂々とそして山田みつきは笑顔を交えながら、最後まで歌いきった。
後奏で山田みつきへ向けた最後の口上が響き渡る。
その景色を驚きながらも、嬉しそうに見つめる山田みつきの姿がそこにあった。
こうして山田みつきのアイドル人生最後の一曲は無事、幕を閉じた。
「すいません、長かった」
最後の一曲を終えた山田みつきは、最初にそうつぶやいた。
その後の熊野はるとかわす会話は、ここ5年ほど見慣れたはずの燃えこれ学園の景色そのものだった。
ゲストの告知、記念撮影(この時は山田みつきの親族も最前列に来ていた)を経て、山田みつきへの卒業証書授与へと続く。
卒業証書授与後は広報委員を中心とした客層の寄せ書き、メンバーからの寄せ書き、そして花束が山田みつきへと手渡された。
山田みつきの感謝の一言の直後に、締めの「燃えこれ学園 校歌」が流れる。
なおこの時はポンコツの保護者が中心となり、広報委員からサプライズで「みつき卒業おめでとう!」と書かれたうちわを用意する演出を用意していたのだが……見事に文字の順番が逆になってしまった(笑)
最後の最後で広報委員側……ポンコツの保護者たちも「推しは推しに似る」というポンコツを見せてしまった(笑)
だが山田みつきはこのサプライズを心の底から喜んでた。
(なおうちわの順番はこの後急いで並び直している)
熊野はるの挨拶を経て、最後に山田みつきにコメントを求めた。
「皆さん本当に、ありがとうございました!」
山田みつきらしい飾らない一言で、燃えこれ学園定期公演「つうしんぼユニットSP(6月度)&山田みつき卒業公演」はその幕を下ろした。
【つうしんぼユニットSP(6月度)&山田みつき卒業式・セットリスト】
○燃えこれ学園
1.ココハピ
2.トワイライトキャラメリゼ
○ろいやる♡どーる
1.Strawberry Trapper(Guilty Kiss)※カバー
2.白い雪のプリンセスは(初音ミク/のぼる↑-Noboru-)※カバー
3.ずるいよMagnetic today(西木野真姫・矢澤にこ)※カバー
4.ROYAL DOLL
○燃えこれ学園(6月度つうしんぼユニット~前半~)
1.風と君と虹と僕(成田、仲川、蒼音、山田、佐々木/トークポート選抜)
2.ぱすてるサマータイム(成田、蒼音、三浦、山田、仲川、稲森/フォトガチャ選抜)
3.星の記憶が降る夜に。(佐々木、山田、成田、蒼音、稲森/課外授業ポイント選抜)
○no concept
1.赤白のメイズ
2.アイビー
3.掴命(カクメイ)
4.ゼロ距離
○燃えこれ学園(6月度つうしんぼユニット~後半~)
1.Red Voice(蒼音、稲森、佐々木、山田、成田/定期・主催ポイント選抜)
2.Melodious Revolution(蒼音、成田、佐々木、山田、稲森/つうしんぼ選抜)
3.RealCry(蒼音舞/6月度1位ソロ)
○明根凛
1.SIREN(short ver)
2.Crossing
3.純情的にわか雨
4.Loser's laughter
5.Bright Future(short ver)
○燃えこれ学園(山田みつき卒業公演)
1.Shiny Dream
2.Peeeace!!!
3.sweet darlin
4.Vampire distress(山田みつき)
5.タイムレシーバー
6.オルゴール
7.Re-START
ED.燃えこれ学園 校歌
○総括
最後のその瞬間まで、彼女らしい公演だった。
終わった直後の所感である。
今、これを書き上げているタイミング……三日経った(9月12日)後でもそう思うし、配信ライブを見返してもそう思う。
確かにメンバー個々にところどころ、こみ上げる感情が強く出ていたと思うし、山田みつきとの別れを惜しんでいる節も見受けられた。
しかし当の本人である山田みつきが、何よりも楽しそうにステージの上で歌い、踊るから……そのような悲しいという感情よりは、この日のライブも非常に楽しかった……そういう感想に落ち着く。
自分が広報委員になってから「卒業」を見送ったのは彼女で4人目になる。
奥原澄香、當銘菜々、高未悠加、そして山田みつき……。
その歴代の4人の中でどこか「卒業」が一番実感沸かなかったのは、彼女だと思う。
メンバーの声や表情、冒頭の熊野はるの涙腺崩壊を除けば、本当に山田みつき生誕祭で誤魔化せるんじゃないか……そう思えるくらいの内容だった。
今思うと、熊野はるが冒頭に涙腺崩壊したからこそ、その後却ってどこか切り替えて楽しめた部分はあるかも知れない。
山田みつきの「卒業」を感じるのはこれからだと思う。
常にステージの上で楽しそうに笑顔を浮かべている彼女の姿が、ステージをいくら見回しても見つからない。
きっとその時、初めて山田みつきの「卒業」を、心の底から実感すると思う。
それだけ山田みつきが燃えこれ学園で築いた存在感は大きいと思う。
コロナ禍で入学してきた影響も大きかったと思うけど、誰よりも多くの方にステージを見てもらう事に力を入れてきた山田みつき。
彼女のその気持ちはやがて、ポンコツの保護者と呼ばれる固定ファン層を中心に広がっていき、多くの客層のハートをつかんで離さなかったと思う。
コロナ禍明けで対バンに復帰し始めた頃こそ、既存メンバーと比べてその認知度の低さで苦戦したように見受けられたが、ここ一、二年は燃えこれ学園の中心メンバーとして欠かせない存在にきちんとなっていたと思う。
個人的な見解だが、特に當銘菜々が卒業した後から本格的に伸びたと思う。
それまで存在した絶対的センターが抜けた状況において、(燃えこれ学園内部的な話では)ClassWhite委員長に抜擢され、この時期に初めて後輩(青山明日香)が入学した事で、先輩としての、何より燃えこれ学園メンバーとしての自覚や責任感も本人なりに芽生えたように見受けられる。
他のメンバーやそのファン層には失礼に当たるかも知れないが……燃えこれ学園が誇るエース、或いはセンターに恐らくなれた。
いや……もうある意味ではエースになっていたと思う。
この日のステージを観て、改めてそう感じた。
だからこそ敢えて自分のワガママだけで言ってしまうのであれば、燃えこれ学園「卒業」があまりにも惜しい。
正直……残れる道は無かったのかな……と思う。
だってあんなに楽しそうにステージで笑って、楽しそうにこなす娘がアイドルである事を嫌いなはずは無いんだよ。
最後の最後までその場にいた客層を大いに笑わせて、楽しませてくれるアイドル、今まで見た事無かったよ。
でも……それでも「卒業」という決断を……山田みつきは断腸の想いで決断した……いやせざるを得なかったと思うと、つらい。
だけどみつきが望んでいたとすれば、ステージを楽しんでもらう事だったはず。
その考えに寄り添うのだとすれば、この日のステージの事も、そして山田みつきの事をいつか振り返った時に笑いながら思い出せる。
そのように覚えていてあげるのが、一番なのかな……と今は思う。
恐らく当面は山田みつきがいない、燃えこれ学園のステージに慣れなくて戸惑う事もあるだろう。
だけど山田みつきが愛して止まなかった、燃えこれ学園のステージをこれからも応援して見届けるのが、残された一広報委員として出来る事なのかな……と思う。
その前に彼女には、自分の推しメンである蒼音舞を「しっかり応援しなさい!」と言われそうなので(笑)そこんとこは出来るうちはしっかりやりたいと思う。
ここまで、この日のライブの総括というよりは山田みつきのこれまでを自分なりに振り返った総括になった……。
でも自分の推しメン・蒼音舞が完全復活への第一歩を踏み出せた事は本当に嬉しい日でもあった。
そして何より山田みつきの卒業公演に間に合った事が、お互いにとっても良き思い出として刻まれたと自分は信じたいと思う。
またゲスト出演してくれた3組にも心の底から感謝。
素晴らしいステージで山田みつきの卒業を彩ってくれた事、忘れません。
そして最後に山田みつきへ……
新入生候補生時代から数えて約5年半、楽しい思い出の数々をありがとう!
これからの人生も楽しんで、生きてくれー!
「またな!」
さよならなんて、言わないよ。
そんなところで、今回のレポートは〆。