『劇症型溶連菌感染』は流行…という程ではありません!! | 総合診療医:誰もがわかりやすく医療を理解する事ができるブログ

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NHKニュースでも取り上げられている『劇症型溶連菌感染』。『人喰いバクテリア』とも表現されるこの病気は、2024年の5月までで、既に過去最高の患者数が報告されているとの事。このニュースを聞いて、不安になった方も多い事だろう。

 

実は私自身も、亀田総合病院救命救急センターに在籍していた平成初期~中期に症例を経験している。

『劇症型溶連菌感染』について調べてみたが、どうも『壊死性筋膜炎』の中の1つに属する疾患のようだ。以下、『壊死性筋膜炎』について説明する。

この疾患だが、小児の咽頭炎の原因の1つである溶連菌感染と違って、主に傷口から感染する事が多い

この傷口と言うのは、虫刺されのような小さな傷が含まれる事もある。虫刺されで刺された部分を引っ搔いてしまって、ここから感染が起こる事もある。

虫刺され程度では忘れたり気づかない事もあり、「感染経路が不明」と表現される場合もある。

 

大半の人は特に医療機関を受診しなくても治るのに、時々皮膚~皮下に限局した感染を起こす人も時々いる。

局所だけならまだいいのだが、それが皮下よりも更に深く感染が拡がり、血液の中に細菌が入り込み全身に回って敗血症を起こし、命の危険性を伴う場合が稀にある。

上2枚はネットから拝借したもので、別々の人間である。

 

下腿表面の写真、明らかに左下腿に発赤腫脹がある。実際には、ここに熱感疼痛も伴う。

下腿CTの写真、これは下方向から見たもので、向かって右側が感染した左脚で、右側の脚に比べて、明らかに腫脹しているだけでなく、骨の近傍に本来ないはずの膿や空気のような成分が貯留している。

この治療は、ただちに手術により感染部分の皮膚を開いて、膿を取り出す

そして、すぐに皮膚を閉じずに、膿が明らかに無くなるまで創部は開放したままにしておく。もちろん、抗生物質は連日投与して、全身から細菌を消す治療が行なわれる。

膿が無くなったら創部を閉鎖するのだが、創部が広いと閉鎖できない事もあるので、広範囲熱傷の手術のように他の部位から植皮する事もある。

よって、入院期間はかなり長くなる事は容易に想像できると思う。

 

この『壊死性筋膜炎』の原因菌の1つが溶連菌であって、『劇症型溶連菌感染』と表現されている。

では、どういう人が感染しやすいのであろうか?

感染しやすい人を以下に並べる。小児では稀で30歳以上から増え始める。

・高齢者

・肥満者

・血糖コントロール不良の糖尿病がある者

・飲酒が多い者

・抗がん剤やステロイド治療(高容量)が必要な者

・疲労が蓄積している者

・・・などなどである。

 

お気づきであろうか?

実は『劇症型溶連菌感染』を起こしやすい人は、コロナ感染で重症化しやすい人でもある

NHKニュースでは、基礎疾患のない人もいると言っていたが、個人事業主など健診を受けずに、病気が隠れている場合も少なくない。また「肥満」自体も、動脈の壁に炎症をもたらしやすいので「病気」の一種と考えるべきである

では、なぜコロナ禍以降に感染者が増え始めたのだろうか?

ここで『コロナワクチンが~~!!』などと言う者を相手にしてはならない。彼らば少しでもマイナスな事があると、なんでもかんでもワクチンのせいにする思考が停止した化石のような者であり、議論にすらならい。

 

私見だが、感染者が増えた原因は、おそらく「コロナ自粛」により身体を使う時間が減って、体力が落ちたからではないかと思われる。また、同じく「コロナ自粛」により「健診・がん検診の自粛」までしてしまい、体内に新たな持病・進行がんが存在して病気に対する抵抗力が落ちた人が増えたからかもしれない。

そもそも、仮に2024年に『劇症型溶連菌感染』が2000名報告されたとした場合、例年だと12万人に1人以下の発症確率が6万人に1人程度の確率になり、「流行」という程ではない。

 

NHKも含め、メディア各社は頻度が決して多くはない事例を大々的に報道して、アクセスを集めようとする。これはコロナ禍において、『コロナワクチンによる死亡』を大々的に報道して、見る者を不安にさせる手段と同じである。

ちなみにコロナワクチンによる死亡率は、飛行機事故で死亡する確率と同じくらいで、他のワクチンと変わらない確率である事は、世界中のビッグデータで既に証明されている(反ワク派はこのようなデータに決して見向きもしないだろうけど)

 

『劇症型溶連菌感染』を報道ほど恐れる必要はない。

皆さまにおいては、自宅に閉じこもっていないで、日々身体を動かす事(できれば運動習慣をつけて欲しい)、健診・がん検診を受けて、異常があれば治療をして、日々様々な病気に対する抵抗力を高めてほしい

 

 

 

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