〈「【10-⑤】フランクル「態度」と鈴木大拙「大慈大悲」と」からの続き〉
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
トイザらスを破滅させた「アマゾンとの10年契約」
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20170920/ForbesJapan_17781.html
・・・・Bordersも2001年にアマゾンにオンライン販売を任せる契約を結び、2008年に契約を終了したが、
その間にウェブのビジネスをアマゾンに奪われた。アナリストは「彼らは未来を譲り渡してしまった」と述べた。
(略)
最新の統計では米国人の90%が今も実店舗で買い物を楽しんでいる。
しかし、小売業者を破滅に追い込むには、残りの10%が実店舗での購入をやめるだけで十分だ。
米国では今年に入り、靴の販売のペイレスシューソースや子供服のジンボリーらが相次いで破産した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
アップル、アマゾン…巨大企業の「税逃れ」手法とその対策とは?
https://newsphere.jp/world-report/20130523-5/
米アップル社が少なくとも過去4年間、どこの国にもほとんど法人税を支払っていない、と米上院が指摘するなど、各国において、巨大多国籍企業による「税逃れ」が問題になっている。
22日のEUサミットでもこの議題が目玉となり、各国は悪質な税対策と「闘う」ことで一致したが、具体的な方策について足並みは揃っていない。
【どういう手口?】
フィナンシャル・タイムズ社は、Q&A形式で問題の要点を解説した。
舞台は、多国籍企業を誘致するため、1950年代後半から低い法人税率を採用しているアイルランドなどの「タックスヘイブン(税避難所)」だ。多国籍企業は、「アイルランド法人だが税務居住者でない」子会社を設立して、各国で上がった利益をそこで計上する。また法人認定のため、子会社には現地の従業員を雇用する。かつては利益移転のためにオランダを経由するなどしていたが、現在の法律ではこれは必要なく、直接アイルランドに利益を移転できる。
さらにインターネット企業などは、知的所有権からの利益が多いため、知的所有権自体を、ケイマン諸島など税がかからない国の別の子会社に移し、アイルランドの子会社には、そこに使用料を支払わせる形にしている。
アップル社にはアイルランドと特約があり、通常12.5%の法人税を2%足らずで済ませているとされているが、アイルランド政府産業開発庁のオリアリー長官は否定している。
(略)
【法改正に及び腰の理由は?】
ニューヨーク・タイムズ紙は、ルクセンブルクなど、他のタックスヘイブンや、銀行機密に基づく「隠し口座」国について伝えた。
ルクセンブルクには、銀行などがやはり子会社を展開し、54万人の人口に対して3500億ドルの預金がある(正規の国民1人あたり65万ドルの預金)。
しかし現地の弁護士は、口座の監査強化などを行えば、預金者が他の国に逃げてしまう懸念があるという。
このためルクセンブルクは、スイスなどのライバルと足並みを揃えてでなければ、改革に踏み切れないだろうと指摘する。
【ではどうする?】
特にEU各国では、不況と緊縮財政を背景に、企業の「税逃れ」への風当たりが強まっている。EUは「年間ゆうに1兆ドル以上の税収を失っている」と考えているようで、どうにか対策を欲している。
(略)
フランスは、応急的に、ユーザークリック数などに応じて課金するという、企業向け「インターネット税」を検討しているが、実際に導入されるのかは定かでないようだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「Digital trade games(デジタル貿易ゲーム)」
(2017年7月22日 パーミンダ・ジェット・シン)
(略)
この[RCEP協定交渉の]状況下では、グローバル・デジタル諸企業と、そのデジタル多国籍企業を後援する諸国家とによって、ある一つの白紙委任状=自由行動権を書くことが、可能なのだ。
(略)
デジタル・インテリジェンス(digital intelligence)が
グローバルな流動速度を落としていないことが、何を意味しているか、
理解してみよう。
ひとつには、
デジタル・インテリジェンスというものが、経済資源の内で
ずば抜けて独創的に最も重要な資源となっている最中にある、という点がある。
デジタル・インテリジェンスを持つ存在が、すべてをコントロールするのである。
アクセンチャー社は最近、
資本や労働と並んで生産に必要な新たな要素の一つとしてAIを挙げた。
ふたつ目には、
デジタル・インテリジェンスが
2,3の権力(a few poles)や中心的存在の周りに、強力に集中する傾向にある〔寡占支配状況にある〕、という点がある。
このことは、インテリジェンスの本質を示しており、そこでは、2+2が22以上になるのである。
(略)
この事から、結果として、どの経済分野でも、各企業分野でデジタル・インテリジェンスを有する、非常に限られた2,3の中心的存在のまわりを取り囲んで群がる格好になる。
(略)
要するに、どの業界でも、グローバル的(権力の)確固化が、起っている最中なのである。
(以下省略)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ハイデガーの「技術への問い」での
《人間の在庫化》で、いろいろと話が広がり、
すこし本題から逸れてしまいましたが、
《プラットフォーム》と《テクノロジー》とのテーマに、話を本題や本旨に戻したいと思います。
が、ここ数回では、
話を逸脱させていたので、
復習を兼ねて、
前の内容を思い出しましょう。
〈巨大IT多国籍企業〉は、
《プラットフォーム覇権》を握ってしまえば、
《勝者総取り》できるので、
たとえ今は採算が合わなかろうが、
血眼になって
《プラットフォーム覇権戦争》を展開するのですが、
その為に、
『企業が「帝国化」する』の著者の松井博いわく
“世界中を着々と支配し始めている「私設帝国」”
と言わしめるほどの“異常な状況”が
もたらされていることを見ました。
それら巨大企業の経営戦略は、
①ビジネスの在り方を変えてしまう
②顧客を「餌付け」する強力な仕組みを持つ
③業界の食物連鎖の頂点に君臨し、巨大な影響力をもつ
という共通点があるのですが、
しかしそれは、
既存のビジネスや他の業者を破壊・排除してしまう為、
消費問題など経済的な問題に留まらず、
《帝国企業に自分の生殺与奪権を掌握される状況》が
出来上がって来つつあり、
「私たちの在り方/の自由や選択肢」が
‟大きく制限されてくる”方向性を
見ていました。
そこで、今回から
《プラットフォーム構築》が齎しつつある
《不気味な不自由》について
述べていきたいと思います。
著作権や知的財産権に詳しい
福井健策 弁護士は
多数の御著書があるのですが、
その中の
『誰が「知」を独占するのか
――デジタルアーカイブ戦争』で
福井健策 弁護士は、
《プラットフォーム覇権戦争》の現状や趨勢と、
そこから類推される今後の方向性を考えて、
《デジタルアーカイヴ化》が進む今日で、
そして少資源の日本にとっては、
《デジタル・アーカイヴ》の構築の有無は、
「知のインフラ」として
社会と経済の行方を‟決定的に左右する”として、
‟世界最先端のデジタル・アーカイヴの構築の必要”を
訴えておられますが、そのための一環として、
プラット・フォーム支配のために、
いま世界で繰り広げられている
《デジタル・アーカイブ覇権戦争》も
紹介されており、そのなかで、
或る種の‟不気味さ”が書かれています。
“この本の主役は「アーカイブ」です。
アーカイブとは、
過去の文書や映像・音楽などの作品を収集し、
保存し、公開する場所のことです
古くからある典型例は図書館や博物館ですが、
医療データからフェイスブックに集まる写真まで、
情報資産の集積は全てがアーカイブです。
そのアーカイブは、今、
デジタル化の爆発的な進行の中で
大きく役割を拡大しつつあります。
数万点から1億点以上という
信じがたい規模の過去・現在のコンテンツが
ネット上のデータベースで公開され、
人々が自在にアクセスし活用出来る社会が
急速に到来しているのです。
それは少資源の日本にとって、
「知のインフラ」として社会と経済のゆくえを
決定的に左右する存在になるでしょう。
豊かな過去の作品をいつでも楽しめ、
ビジネス活用出来ることに留まりません。
情報の蓄積と公開は
政治プロセスを考え、地域と経済を活性化し、
日本文化の国際発信を
飛躍的に豊かにする可能性を秘めています。
他方で、デジタル化はまた、
少数の巨大ネット企業による世界的な情報流通の寡占化や
選別・序列化をも、急激にもたらしつつあります。
その中で、日本のアーカイブ活動の多くは、
「ヒト・モノ・著作権」という深刻な壁を前に苦闘を続けています。
対処を誤れば文化と価値の多様性は失われ、
私たちは
与えられたものを見るだけの「二等席の観客」の地位に
甘んじなければならなくなる危険性もあります。
日本の政府と社会は、
今よりはるかに大きなエネルギーをアーカイブ支援に割いて、
今後10年以内に
世界最先端のデジタルアーカイブを構築すべきです。”
(P.15-16)
“ 《世界は我らの手の中に》
〈新世界の王たち〉
2005年、フランスで
『Googleとの闘い』と題する書籍が出版されました。
書いたのは当時国立図書館館長だった
ジャン=ノエル・ジャンヌネーという人物。
ラジオ・フランスの会長や社会党政権で
コミュニケーション省政務次官などを歴任した人物です。
主張は多様ですが、その中心は
ネットの巨人・グーグルの進める巨大な電子図書館計画への警鐘であり、
更に言えば
「プラットフォームによる文化の一極支配と序列化への危惧」
といったものでした。
・・・やや事態を単純化した傾向があるとはいえ…
彼が危惧した
「プラットフォームによる一極支配」とは何なのか。
世界の状況を眺めてみましょう。
「プラットフォーム」は多彩な意味のある単語ですが、
ここでは、
億単位の膨大なユーザーや情報が集まるネット上の「場」を
ゆるく指す言葉と考えましょう。
その中心は
グーグル、フェイスブック、アップル、アマゾンなど、
米国の、それも西海岸初のIT 企業です。
例えば、グーグルは
全世界のネット検索の9割近いシェアを握り(2013年)、
ユーザーアクセス数では
永らくネット上の全てのサイト中不動の1位を占め続けてきました。
これはアレクサという情報リサーチ会社が
アクセス数の集計を発表していますが、
同じくグーグルの子会社である動画サイト「ユーチューブ」が
不動の3位で、
この親子を合わせると
5位以内の他の企業全部を合わせたページビュー数を越えます。
他方、フェイスブックは今や
利用者13億2000万人・・・という「世界最大の経済圏」で、
最近ではグーグルのアクセス数にも肉薄します。
アップルは、スマートフォンやアプリなど
広く「ネット関連」を集めた売上で独走し、
2012年には株価時価総額で世界一となり、
現在、複数の主要指標で
ブランド価値世界一にランクインされています
(ちなみに他の上位常連はグーグル、IBM、マイクロソフト)。
この時点で、
“ライバル”の巨人マイクロソフトと比べて時価総額は倍の規模です。
そして、アマゾンは
書籍・CDから家電・水に到るまで
あらゆるリアルな物流を握るEコマースの世界最大企業です。
加えて、この上位の顔ぶれが
固定化の度合いを強めています。
通常、ネットの覇者というものは
短期間である程度変動するものです。
(中略)
ところが…ここ数年間、
下位で若干の入れ替えがある程度で
もう大きな変動が見られません。
上位の常連化が進んでいるのです。
(中略)
もちろん、既存の国家の制度やシステムは
今もって巨大で重大ですが、
実は同時に我々の生活の相当な部分は
こうした「非リアル」のプラットフォーム上で営まれていて、
そこでは国の法令の影響を受けつつも
独自のルールでユーザーの行動が規律されています。
(中略)
〈2,800,000,000兆倍バイトのアーカイブ〉
さて、これらプラットフォームは、それ自体が巨大なアーカイブであるといえます。
例えば、私たちは過去の本を探すなら
図書館でも巨大なリアルの書店でもなく、
アマゾンのサイトに行き書名を検索することが増えています。
(中略)
若者が音楽を聴く手段で最多なのは
CDでも音楽配信サイトでもなく、
ユーチューブのような動画サイトだ
ということができそうです。
現在、
ユーチューブに集まる視聴者は月約10億人・・・で、
アップロードされる映像は
1分あたり実に100時間分。・・・
つまり、それは既に世界界最大の映像・音楽のアーカイブともいえるのです。
こうして見ると、
様々な過去の情報が集まり、
検索すれば眼前に呼び出せるインターネットという存在が、
まさに巨大なアーカイブということが出来そうです。
(中略)
〈グーグルブックス〉
さて、こうしたデジタルアーカイブに
とりわけ熱心に取り組んできたのは、グーグルです。
書籍でいえば、
世界的に大きな衝撃を与えたのは
「グーグルブックス」計画です。
元は「グーグルプリント」といい、
2004年に計画が発表されました。
これは、
全世界・古今東西の書籍1億3000万冊をスキャンし、
ネット上で全文検索を可能にしようというプロジェクトです。
つまり、例えば
「プラットフォーム」という単語をネットで検索すると、
その言葉を書名や紹介文に持つ書籍だけでなく、
本書のように
本文中に「プラットフォーム」が登場するだけの書籍まで
ヒットするということです。
該当する箇所は、数行の抜粋として表示されます。
更に、権利者の許可があったり
本の著作権が切れていれば、
全文もネット配信するという、
「全世界図書館化計画」なのです・・・。
このプロジェクト、
論争を招きつつも着々と進んでおり、
現在では、すでに3000万冊以上がデジタル化済みともされます。
皆さん、
そんなにたくさんの本をスキャンするために、
グーグルは
どこから本を入手すると思われますか。
書店や出版社からは入手できません。
なぜなら、この1億3000万冊の本のほとんどは、
もう書店や出版社にはないからです。
作品の市場での寿命は、
通常そんなに長くありません。
既に売られていない、つまり「絶版」です。
これだけの本が残されている場所は、
もはや世界でひとつしかない。
それは図書館です。
グーグルブックスには、
ニューヨーク公共図書館など、
米国内外の巨大図書館たちが協力したのです
(見返りとして図書館側は、
グーグルから書籍のデジタルファイルの提供を受けました)。
(中略)
・・・グーグルはスキャンを着々と進め、
更に権利処理済みの電子書籍については
販売・配信も開始しました。
これが「グーグルプレイ・ブックス」で、
現在400万点以上の電子書籍を配信中とされます。
アマゾンが本国で売る電子書籍が
画面表示上は270万点弱ですから、
規模ではグーグルは
電子書籍としても世界最大といえそうですね。
〈アマゾン最大の武器〉
もっともこれは冊数だけの話で、
グーグルの売る電子書籍は、
今のところ
著作権切れのPD〔パブリックドメイン〕作品の割合が
高いのです。
そのためもあり、電子書籍の世界全体の売上では、
アマゾンが55%という圧倒的シェアを誇っています。
そんなシェアを握り続けるアマゾンの強みとは、
何でしょうか。
ITライターの西田宗千佳さんは、
かつてそれを「導線の短さ」だと説明してくれました。
つまり、我々は何であれ、書籍を読みたいと思うと
ネットで署名を検索することが多いですね。
すると、ずらっと検索結果が出ますが、
現状ではその上位5位以内、
恐らくは1位~3位の間には
アマゾンのページがあるはずです。
(中略)
そして、我々はその本を買いたいと思うなら、
そこから最短2クリックで購入出来るのです。
①1クリックで購入ページに飛び、
②…仮にもうログイン済みならば
「1クリックで購入」のボタンをクリックして、
終了です。
後は紙の本が自宅から職場に届きます。
(中略)
この導線の短さ、顧客誘導力の強さは絶大ですね。
もちろん品揃えや他のサービスの質も理由ですが、
以上がアマゾンの武器です。
(中略)
しかし、です。
この最短2クリックのアマゾンの導線を、更に短くできる存在が、
現在世の中に1社(1種類)だけあるのです。
どこだと思われますか。
それはグーグルなどの検索エンジンです。
先ほどの検索結果がずらっと出た段階を
想像してみてください・・・。
グーグルならば、
その検索結果で並んだ書籍名の隣に
「購入ボタン」を設置することが出来るのです。
つまり、
アマゾンの箇所で書いた①のステップは不要で、
いきなり②の購入ボタンを押せばグーグルの売る書籍が自宅に届く、
あるいは
電子版をダウンロード出来ることになります。
これこそが最短ルートですね。
その意味で、筆者は、
電子書籍としてアマゾンの独走状態に
ストップをかける存在があるとすれば
やはりグーグルが最有力候補のように思うのです。
《帝国に挑むヨーロッパ》
〈ジャンヌネーの憂鬱〉
話をヨーロッパに戻しましょう。
こうした米国発の大量のデジタル化と
プラットフォーム寡占とも言うべき事態は、
他の地域にも大きな影響を与えています。
最もそれに過敏に反応したのは、
文化では先進地域をもって任ずるEUであり、
象徴となったのが
冒頭のジャンヌネー著『Googleとの闘い』でした。
しかもなぜ、グーグルやアマゾンではいけないのでしょうか。
彼らのサービスは革新的で魅力的だから人々を引きつけているのであり、
それでいいじゃないかとも思えます。
グローバルなプラットフォームで
世界中の人々に向けて情報発信出来ることのメリットは、
否定しようもありません。
ジャンヌネーの論は、要するに
米国企業に負けるのが気に入らないのであり、
それに単純な文化帝国主義の衣を着せて
語っているだけではないのか。
現実に恐らくそうした要素はあるでしょう。
ただ、確かにこうした危惧は今や、
ヨーロッパの政治家たちに広く共有されています。
本校執筆中にも、ドイツのガブリエル副首相は
「ひと握りの米国インターネット企業による情報帝国主義」
との闘いに言及し、
フランスのモントブール経済相は
「ネットの巨人たちによるヨーロッパのデジタル植民地化」
という刺激的な言葉で警鐘を鳴らしたことが
報じられました。
EUにとって、グーグルなどはあくまで域外の一営利企業です。
企業である以上、その究極の目標は利益の追求であり、
行動は利益追求によって動機づけられています
(また、そうあるのが健全な企業でしょう)。
経営ポリシーが数か月で変わることもないとは言えません。
仮に売上が悪化すれば、
不採算部門から撤退したり、売却することも珍しいことではありません。
記憶に新しいところでは、
2014年にヤフーが
メーリングリストなどの「yahoo!グループ」のサービスから撤退したケースがありました。
メーリングリストを利用していた方は
日本でも相当多かったと思いますが、
不採算などの理由で撤退が決まり、
発表から約5カ月後には
過去のメールのやり取りも全てサーバーから削除されました。
更に最悪の場合、倒産だってあり得ます。
その場合は通常、会社の財産は売り出されます。
「もしグーグルが破産したら、
そこでデジタル化された文化資産は誰のものになるだろうか?」
とジャンヌネーは問いかけました。
そもそも域外にある以上、容易にEUの法律に服させることも出来ません。
そうした一企業が、
およそ膨大な資金力と情報収集力にものをいわせて
古今東西の書籍を、
更には音楽・映像・公文書・科学データなど、
あらゆる過去の文化資源をデジタル化し、提供する。
人々はこうした作品や情報を見たい場合、
(例えばEUの美術館のサイトではなく)
グーグルで検索結果で表示されたものを見、支払いが必要ならば行う。
条件が不満なら他に行くしかないが、
コンテンツ提供をひと握りの企業が寡占していると、
現実にはそこで買うしかない。だから与えられた条件を呑む。”
(福井健策『誰が「知」を独占するのか』P.15-34)
グーグルが
《餌付けのように魅惑的に、私たちの生活に
無くてはならないように関係する》ことで、
《インフラ的存在のようになる》とはいっても、
グーグルは「公的な存在」“では決して無く”、
《寡占的状況になり》、
私たちに《選択肢が残っていなければ》、
私たちには《選ぶ自由は残っておらず、
向こうから与えられた条件を
受けいれる以外は無い状態になって》います。
叙述展開としては
途中で切る形となのですが、
文字数制限上、
このページを続けられないので、
次のページに引き継ぐ形となりますが、
次のページでは、
《この不気味な不自由》について
もうすこし明示的に、
言葉で可視化して行きたいと思います。
〈次のページ【12】に続く〉