震 え | 新宿 鼠通り

新宿 鼠通り

逃れよ…強壮な風の吹くところへ…




あれ…おかしいな…



手が…震えている…








商談中…手が震えた経験は…一度もない…



うまく話が…進んでいる…ほぼ…決まっただろう…



安堵より…



これからの…日々への畏れに…身体が反応しているようだ…



ああ…



どうして…提案なんてしてしまったのだろう…



できるのかよ…できるのかよ…



僕なんかに…創れるのかよ…



ふさわしい…実力があるのかよ…



時間を十分…取れるのかよ…



わかんない…わかんない…



無謀に…獲りにいこうとする本能を…呪いたくなる…



それでも…



震える手を…机の下にしまい…押さえつけ…



にっこり笑って…






「ありがとうございます…よろしくお願いします!」





なんて言ったりして…



ああ…バカ…






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1年前なら…考えもしなかっただろう…



半年前なら…はじめから諦めていただろう…



だから…いいの…



震えるほどの…経験が…



いまは…たいせつだったの…



そして…



これからが…なによりも大事なの…