「ヤマビルの脱皮の研究」で優秀賞  ヤマビルは脱皮することを確認 | 子どもヤマビル研究会

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2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

昨年の発表会でヤマビルは脱皮しない、と指摘を受けたF研究員。

でも、飼育ビンの中でいくつもひも状のものを見つけている。いったいこれは何なのか。

今年は、それはヒルの脱皮殻だと思って研究を始めた。そして、その抜け殻がヒルの脱皮だと証明することができたと、発表しました。

そして審査の結果、優秀賞をいただくことができました。

F研究員の自信に満ちた発表は、素晴らしいものでした。ダイジェストにして報告します。

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ヒルのような環形動物は、外骨格がないので大きくなる時に邪魔になるものはありません。だから、そのまま大きくなればいいので脱皮する必要はありません、と言われています。岩波書店の生物学辞典にもそのように書かれています。

でも、僕たちの見つけたこの写真のようなものは、いったい何なのか。研究がスタートしました。

実験は、1匹1匹の成長を丹念に記録することから始めます。

毎週、身長(1番ぐ~ンと伸びた時)、体重、脱皮の有無、産卵についての記録をとります。

そのためには、ヒルに印をつけることはできないので、1匹1匹別々の飼育ビンに入れて観察する必要があり、これが大変でした。鶏に吸血させるときも、ヒルは吸いやすい場所を探して移動するので、1度にたくさんの数の吸血はできません。それで、監視できる最大限度、毎週6匹ずつ吸血させて数を増やしていくことにしました。

その結果、吸血して最初の2週間は、どのヒルも急激に身長を伸ばすことを見つけました。その割合も、ほぼ1.7倍くらいになます。これはものすごい伸びです。この伸びに皮膚の代謝が追い付かないので、脱皮して大きくなると思います。このことは、速報版として9月2日の本ブログに掲載しました。詳しくはそこを見てください。

体重はというと、途中で吸血意欲を示すものはなく絶食状態で過ごします。ですから、徐々に体重は減っていきますが、特に大きな変化は見られません。

そして、ヒルの変化と重ねると興味あることが分かってきます。

最初2週間は身長を伸ばすために、それ以降は、産卵のためにエネルギーが使われているということが分かります。産卵するヒルの首のあたりが、2週間たつと色が変わってくることを去年U研究員が見つけて発表しています。

 

では脱皮の抜け殻はというと、

 

吸血後、ほぼ毎週脱ぐものもあれば、間が空くものもあります。でも、どのヒルも必ず脱皮はします。

 

3か月集めた脱皮殻は、約70本になりました。とれた脱皮殻は台紙に貼ってラミネート加工して標本としました。

 

最後に、決定的な瞬間の動画を提示しました。それは、いつもの身体測定をしていた時、偶然脱皮中のヒルに出会いました。それを動画に収めたものでした。<動画は添付してません>

ヒルの脱皮は前半分を先に脱いで、そのあと後ろ半分を脱いでいくのです。

ちょうど背中の部分から破れて前が脱げていきます。そのあと後ろの順です。

僕たちがお風呂に入るとき服を脱ぐのとよく似ています。

 

6年生の最後の発表会で、教科書にも載ってないようなことを見つけて発表できたことはとてもうれしいです。去年見つけた小さなことが、継続して調べることですごい発見になりました。と締めくくっていました。

 

発表が終わって休憩時間に、科学館の先生からプレゼントがありました。それは、9月中旬に草刈作業をしていてヒルにやられた。私の血をたっぷり吸っているのでこれを差し上げますと、ケースに入ったヒルをいただきました。

吸血日を確認するともう2週間たっているので、もしや脱皮しているかもとよく見ると、ありました。写真の矢印の先のところです。ピンと張った白いひも状のものが脱皮殻です。

早速先生に報告して確認してもらいました。卵を産むかどうかはわかりませんが、大事に飼育しようと思います。ありがとうございました。

 

つづいて講評・表彰式となり全体をまとめての講評でした。

 講評は、継続することの大事さ、数値化して客観性を持たせる大切さ、そして、この先どうなるのかという発展性を考えてさらに研究を進めてくださいということでした。そして、

「なぜ」→「そうなんだ」ということを大事に、疑問だけ持ってほったらかしにしないように日常生活でも科学しながら頑張ってください、ということでした。

藤原岳自然科学館特製の素晴らしい表彰状をいただきました。

ヒル研にとっても、次への発展を含めて素晴らしい足跡を残せました。みんなお疲れ様、よく頑張りました。ありがとう。

また、来年に向けで頑張ろう。