秦野交流会まとめ | 子どもヤマビル研究会

子どもヤマビル研究会

2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

ヒルに対して、ある程度経験があるヒル研の子とそうでない秦野の子が、一緒に活動すると、どのような効果が互いにあったのかを分析してみた。コーディネータの職業病のようです。

 

交流会の最後に、全員が一言感想を発表しました。

みんながヒルと遊んで楽しかったという趣旨の発言をしている。その中で、秦野の小6の子の感想に、「ヒルをこんなに探した体験は初めてだし、こんなに長く触れ合ったのも初めて」という言葉がとても印象的だった。

いつもは、あっヒルだと思って見ているだけで、それ以上のかかわりを持とうとしていない。つまり、身近にいるヒルは子どもたちの意識にのぼっていないということを意味している。

今回、このような交流の場に参加して、じっと見ているだけでも、ヒルのいろいろなことに気づく。

参加者のノートには、きっと多くの気づきを書いていることだろう。

ヒル研の子と一緒にいろいろヒルと遊ぶ中で、ヒルとかかわりを持ちヒルに触れるようになった。今まで、見ていても避けていた子が、手をのばしヒルに触れるようになった。そうすると、今まで知らなかったヒルについての知識がいっぺんに増える。

ヒルを腕に乗せられるようになったとか。息を吹きかけてみたら、こっちに寄って来たとか、いろいろヒルの特徴をつかむヒントを獲得し始めている。ほら、こんなんだよと見せに来てくれる子もいた。嬉しいんです。新しい体験だったり発見だったり…。

 

そして、怖くないね、案外可愛いねというようなプラスの感情が生まれている。

今までは、拒否感や嫌悪感で一杯だった意識が、徐々に変化して新しいステージに向っている。

この意識の変化は。とても大きい。単にヒルを捕まえられるという技術的なことだけでなく、ヒルに対する感情が生まれている。意識に上ったということを意味するからだ。

 

また、中学生から重みのある発言があった。「私たちの学校にはヒルが出ます。今回ヒルの捕り方を学んだので、今度学校でみんなでヒル捕りをしたいです」というものだった。ここまでくれば、ヒルと共生できるレベルに達している。

生徒会かなんかで全校一斉ヒル捕り大会なんかを企画出来たら、大変面白い。
この主体的な発言が出て来るというのは、素晴らしいことである。大事に育ててやりたいと思う。

自分が得た知識や技術をみんなに広めて仲間を増やし、社会に活かしていこうとする素晴らしい発言です。大人は、このような子の後押をしましょう。活躍できる場を用意してやるといいのです。

 

子どもの力は凄いです。わずか半日余りで、ヒルに対する思いが大きく変化しています。そればかりか、ヒルを取り巻く雰囲気までも変えてしまっているのです。

 

交流会の約束は、大人は遠くから子どもたちの様子を見守ることになっていました。でも、実際は、しばらくするとヒル捕りに参加して一緒にはしゃいだり、実験に参加している人まで出て来ました。大人は無意識に子どもたちの活動に引き込まれているのです。子どもたちが持つ不思議な力であり魅力がそうさせるのです。

 

今回は、7月末頃は猛暑が続きヒル様はどこかにお隠れになっていました。普段は手ですくうほどいるらしいでが、私たちが交流会をしたときはわずかしか捕れなかったです。

110匹捕れたと公式には発表していますが、実は実験には使えないほどの小さなものまで入れての話です。ですから、実験に使ったものは一人2匹当たらないくらいだったのです。当日秦野市ではヤマビルは貴重品だったのです。そうなると、自制作用が働き、死なせてはいけないという雰囲気になります。山ほどヒルがいれば、もっと大胆な提案をして遊べたかも知れません。

 

今回の交流会の成果その1は、秦野の子の意識改革に大きく寄与することができたということです。遊びの中で知らず知らずにヒルとなかよくなり、心の交流まで果たしているのですね。腕に乗せて愛おしく眺めている姿は、素晴らしかったです。

効果その2は、ヒルに対して嫌悪感がなくなった子は、新しい行動を起こそうとしている。ヒルを敵視せず、共生する方法を考えるレベルに届いている子も出てきている。

効果その3は、ヒル研の子にとって今回の交流会は一緒に活動して秦野の子の恐怖心を取り除く方法を会得したようだ。知らない子に大丈夫だよという心を伝えるのは、そう簡単ではない。でも、実際示してこちらの考えや気持ちが伝わった喜びをノートにたくさん残している。とても貴重な体験をさせてもらえたといえる。
 

はじめての交流会、企画者は大変なご苦労をしていただいた。感謝申し上げたい。そして、周りで沢山の支援をしてくださった方にも、併せて感謝申し上げたい。その中で、微々たるものかしれないけれど、私たちのとっては大きな成果があったと思っています。

 

本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。