ヒル研でも数学はいるぞ!!! (第11回の一コマ ) | 子どもヤマビル研究会

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2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

ヒルの吸血ほど、いろいろ制約を受ける実験はないのです。産卵させるためには、血を吸わせることは必須条件です。

ヒル研究の第1人者の故山中先生は、ヒルに自分の血を与えておられたそうです。その弟子の小泉さんも、数えきれないくらい協力したそうです。研究室を訪れた学生も協力者になったようです。

 

ヒルは生きている動物の血しか吸わないので、この条件をクリアーするのが難しいのです。

一度取り出した血でも、固まる前なら吸うことを確認しています。しかし、固まらない血を多量に得ることは凝固防止剤でもなければうまくいきません。医療関係者にもいろいろ尋ねましたが、採血の時にはすでにシリンジの中に凝固防止薬が塗ってあるということ。それをもらうことは法的に無理。私たちの手には入らない。

そんなことを毎回この時期になると話し合っています。

ヒル研で活躍したY研究員が、今度医療系の大学に進学することになり、いろいろ調べて来てくれました。そして、食品添加物でそれが出来ると伝えて来てくれたのです。早速材料を準備して、その凝固防止剤を作ることにしました。その食品添加物がヒルにとって無害かどうかはやってみないと分かりません。まず、材料集めから始めました。ジョニーさんがネットで手に入れてくれました。

 

学校の数学があまり好きではない二人の中学生が、その凝固防止剤を作ることになりました。

先ず、3.1%の溶液を作るのですが、濃度の計算をしないといけません。計算を任せると分からないというので、昔小学校で習ったよ、ということで復習が始まりました。溶質を(溶媒+溶質)で割って100をかけたら濃度が出ることを思い出しました。

 

計算の結果、100mlの水に3.2gを溶かせば、3.1%になることが分かりました。

それで、次は上皿天秤を持ってきて、実際計ります。頭では分かっていても (問題集で勉強した) 実際操作したことがないようで、扱い方の勉強からでした。今学校では電子上皿秤を使っているようで、これでいいのかなと思いました。

やっとのことで3.1g を測り取りました。

次に、100mlの水をビーカーに入れます。しかし、ビーカーに刻んである目盛りは参考であって、測定には使えない。

それで液体を測るのには何を使うのだったと聞くと、これまたエーーーっと、という始末。やっとのことでメスシリンダーを思い出しました。

そして、その使い方を一つ一つ確認しながら、

何とか100mlとることが出来て、ビーカーに移しました。

そこに先程計ったものを入れて攪拌して完了です。

隣でいろいろサポートしながら見ていたボランティア君が、30分位で学校の7時間分の勉強したよ、と声掛けをしていました。

疲れたとゴロンと横になりながらY君は、ヒル研でも数学がいるんや、とため息交じりでした。

そうなんですね。いろいろな場面で数学が使われることが分かると、また勉強の仕方も変わって来るでしょう。

 

やっと試薬が出来上がり、これから猟師さんに小分けして血をこの中にとってきてもらうよう頼んでおこうと、勝手なことを決めています。

これがうまくいくと、来年は産卵実験がとても効率よくできるようなります。ちょっと希望が見えてきました。