カエルvsヒルの結末(第9回) | 子どもヤマビル研究会

子どもヤマビル研究会

2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

今年は、コロナで活動の制約を受ける中、身近で出来るとことから始めようと、最初に選ばれたのが、「ヒルはカエルの血を吸うか」というテーマでした。

毎週、カエルとヒルを飼育ケースに入れて、カエルに吸いつく映像を撮ろうと実験を重ねてきました。

そして、その結論は、あっけなく実証されました。

このようにケースの中にヒルを 10匹ほど入れてカエルも4,5匹入れて観察を続けました。

なかなかカエルに吸いつく映像は撮れませんでした。

1カ月後、、

ヒル地獄にカエルを入れて数分で、羽交い絞めをするようなヒルを見つけました。

私たちはさらに欲が出て来て、もっといろいろ吸いつくヒルの写真を撮ろうと実験を重ねました。そのために、一定間隔でシャッターの切れる監視カメラをセットしたりして、何度もトライしました。

30秒間隔でシャッターの切れる動画には、逃げ回るカエルと追い掛け回すヒルの姿が捉えられました。

たまりかねた大きなトノサマガエルが、二度も飼育箱のふたを中から突き上げて逃走したことがありました。

今回の写真が撮れたので、そろそろこの実験は一度打ち切ろうということになり、今日飼育ケースのふたを開けてトノサマガエルを引っ張り出したら、股間にヒルがとりついていました。

写真を撮ってからよく調べると足の水かきにもヒルが吸いついていました。

何とこのカエルには、合計5匹のヒルか取りついていました。そして、ふっくらして吸血しています。

股間のヒルを離そうとして吸盤側を無理やり離すと

口の側が、しっかりとカエルに吸いついていていました。

これで、今まで何度か水槽の中を覗いて観察していて、どうも吸血しているようだ。その証拠に息を吹きかけても、あまり吸血意欲を示さないのです。そして、皮膚の色も吸血したときのような色になっているのです。やはり、吸血していたのですね。

今日の発見で、カエルの血を沢山吸っていたことになります。

では、なぜ写真に撮れなかったかと言うと、角度の都合でカメラは、いつも次のような映像ばかりとらえていました。

ですから、おなかの側の写真はなかなか撮れなかった

みんな大騒ぎになり、この実験は完結したと大喜びでした。

さらに、別のカエルもヒルにやられていました。


この小さなカエルも、このようにやられていたのですね。だから時々ご昇天あそばすカエルがいたのですね。

3か月近く頑張ってくれた大きいトノサマガエルも、げっそりと痩せていました。追い回されて吸血されて、痩せていくのも当然でした。もっと早く気づいてやれば、よかったなあと反省しています。

早速、食べ物の多そうな近くの田んぼに実験に協力してくれたカエルを逃がしてやりました。みんなで田んぼまで送って行って、感謝の気持ちを伝えました。おかげで素晴らしい研究がてきました。ありがとう。

 

さて、このことから、どんなことが言えるのかを考えてみたいです。

今まで、大型動物の血しか吸血しないと言われていたヤマビルが、カエルの血でも吸っているという事実です。

ヒルは、日常的に大型動物と出合う確率は非常に低く、何か他のもので栄養補給しているはず、と私たちは睨んでいました。そんな時、東京農工大の院生であった森嶋さんが、DNAの解析結果からカエルの血を吸っていることを突き止められました。私たちは、それを受けて野山にたくさんいるカエルを捕まえ、ヒルの栄養提供者の一つになっていることを示しました。

移動距離が短いヒルと比べてカエルは広範囲に移動できます。ヒルがいるところにカエルが跳んで来る