偶然卵が産まれていた(第33回研究会) | 子どもヤマビル研究会

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2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

台風が来る、と天気予報は盛んに注意・警報を発してくれる。

今年は、気象異変にずいぶん悩まされてきた。

もう、研究発表用のパワーポイントは、ほぼ骨子は出来上がり、それぞれが自分のペースで校正しているので、一斉にやってくる必要もなく、安全に配慮して来てくださいという連絡をした。

 

朝になったら、台風は太平洋の真ん中に向って進路を大きく変えていた。

研究員は、三々五々集まってきて、自分の発表作品に磨きをかけた。

明日の午後からリハーサルということなので、それまでに、お互いの作品を見合いながら、修正を加えていた。

研究員の、高校生のお兄さんも来てくれていたので、みんなの発表を初めて聞いて、言いたいことが分かるかどうかをチェックしてもらった。

みんなよくわかると言ってもらい、嬉しそうだった。

 

翌日の朝から、今までヒルの観察瓶の整理をした。

継続観察用の瓶の中のチェックを入念にした。食餌実験の瓶は、特に丁寧にした。

昇天したものも少しあったが、どの瓶も生きている。

中でも、カエルの吸血実験で吸血したと思われるヒルを飼育していたのだが、どうも、上から見てヒルが見当たらない。息をかけても出てこない。それで、瓶をひっくり返しバットの中にふっちやけて、丁寧に調べたら、そこの土の中にヒルが埋もれていた。

息を掛けても反応がないが、ピンセットで触ると動き出した。水をスプレーしてしばらくすると、いつものヒルに戻り息に反応するようになった。

「寝てたんや。起こしてごめんね」

また、元の瓶に戻した。

5日前に、私が、飼育瓶の点検をしていて、もういないと思った瓶の中から、このような姿のヒルを20匹以上見つけた。

どうも、ヒルの越冬の姿なのかもしれない。カエルが越冬するとき、穴を掘って、そこてじっとしている。それとよく似てないかな。

これだと、野山で探しても、ちょっと経験者でないと見つけにくい。

これからの、新しい研究視点が出来た。新発見だ。

 

そのあと、他の瓶をチェックしていた。この前、愛知県東栄町の役場のNさんが来てくださったとき、持ってきてもらった、生まれて間もないヒルを飼育している。

結構、吸血意欲があり指に乗り移ってくる。これは、一度も吸血していないヒルである。吸えなければ、今年の冬は越えられないと思う。

ていねいに観察飼育していこう。

 

そのあと、飼育用の大きな瓶の整理をしていた。中を覗いて杉の葉を動かしたとき、T研究員が卵があるのを見つけた。

残念ながら、これは、偶然生まれているのを発見したもので、どんな状態のヒルが産んだのかは不明。

いつも、実験に使って、余ったヒルを適当に放り込んで、次の実験用にストックしている瓶なので、詳細はこれ以上分からない。

しかし、よく見ると、もう孵化して、その抜け殻である。

今年は、ちゃんと産卵の観察をしているので、この卵塊は、孵化後であることがすぐわかった。とすると、この瓶の中に幼生がいるはずで、ちょと大事に観察していくこととなった。

思わぬ天の恵みに感謝感激である。

 

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