残酷! 地獄実験(第26回研究会) | 子どもヤマビル研究会

子どもヤマビル研究会

2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

ヒルは、最後どこに行くのか、こんな素朴な思いが、新しい実験を生み出します。

 

8月1日の梅雨明けから連続30日弱、我々人間も、コロナと灼熱の地獄に追いやられている感があります。

前回の研究日8月22日に、こんな暑さだと駐車場のヒルは全滅だなと話していました。

一度チェックしてみる価値はありそうだと、22日の夕方、いつもお邪魔しているお寺の駐車場の片隅に、ヒルのいけにえセットを埋めました。まるで、ヒル地獄を作った感じです。

セットの内容は、ペットボトルを半分くらいの長さに切り、そこに通気用の穴を6個あけました。ヒルは、逃げないようにストッキングに5匹入れて口を硬く縛り、土の上に置きます。その上から、土で押し潰されないようにペットボトルでガードするようにふせておきました。その上に土をかぶせて、セット完了。

ヒルは、地面から約15cmの深さの所に埋められています。周囲の気温は、34℃、地温は30℃です。土はよく乾燥していて、カラカラです。まさに、ヒル地獄です。

これで、1週間置いたままにして、どのようになるのか調べることにしました。

 今季、一番残酷な実験です。帰りにお寺で手を合わせて、ヒルの成仏を祈りました。

 

その結果が、1週間後の今日(30日に)分かります。昨夜、シカの調査の帰りに引き上げてきたのですが、深夜でもあり、確認は今日になりました。みんなの予想も、当然成仏していると思っているので熱も入らず、なかなか手を付けようとしません。

まあ、まとめの原稿を書くのが忙しく、そんなの眼中にないというのが、本音の所です。

T研究員が、自分のまとめにも関係があるので、ストッキングの口を開けることになりました。嫌な死体の匂いもしないので、ちょっと安心して作業にかかりました。もう、全部とろけて土に還ったのではないか、と言いながら、慎重に口を空けました。

口が開けた時、T研究員は「生きてる」と叫びました。

みんなが、覗き込みに来ました。

ピンセットの先に、中から出て来たヒルがいます。確かに生きていました。

その後、ストッキングの中をくまなく点検したら、封入した5匹のヒルは、全部生きていました。閻魔さんに、まだ早いと追い返されたのでしよう。

それにしても、この土の中で、連日の灼熱地獄に耐えたことになります。

 

この実験は、山から流れ落ちてきたヒルが、平らな所に出て来て、そこからは水の流れで落ちていくところがないので、その先どうなるのかということを話し合っていた時に、出てきた実験なのです。広場に出てきたヒルは、どんどんたまるはずだが、実際は、それほどいません。ある特定の場所以外、ほとんどいません。ということは、かなりの確率で、この駐車場で死んでないといけないことになります。そこで、今回の実験装置が生み出されたのです。

もし、地表に留まっていたら、1日で干からびて死んでしまいます。でも、運よく土の中に潜り込めたヒルは、灼熱下で1週間生きておれることが、今回の実験でわかりました。

でも、これはもう少し条件をいろいろ変えて調べてみる価値はありそうです。来年ヒル研に入って、だれかこの続きをしませんか。大発見につながる予感がします。小学生を募集します。

興味のある方は、メールで 「hiruken2●outlook.jp」 にお問い合わせください。●を@に代えて送信してください。