来週お願いしていた渓流釣り名人が、コロナの影響で仕事が予定通りできず、引率は無理という連絡が届きました。
これは、仕方がないことで、またの機会にということにしました。
しかし、渓流釣りの釣り場で、産卵実験用のヒルを捕る予定にしていたので、、今後の研究予定に狂いが出てきました。仕方がないので、今回は、大きなヒルを出来るだけ捕る内容に変更しました。
土曜日は、乾燥注意報が出るほどのカラカラ天気。ヒルを捕るのには、あまりいい条件ではありません。少しでも可能性の高いところを探し、久しぶりに、キララ峰の登山コースに出掛けました。
岳不動から旧キララ登山道に入り、探します。ここは、昔からヒルが多いとことで有名です。昔、この上のところにアメダスの観測地点があり、その周囲は、ヒルが多いので有名でした。その付近に、石灰岩層の露頭が少しあって、地質研究者から、ヒルがにょきにょきいるという話を30年くらい前に聞いたことがあります。今回は、ちょうどその下のところで、昨年度も、今頃そこに採集に行ったことがあります。
注意深く探していくと、登山道わきに何匹も見つかりました。
1時間くらいで、30匹くらい捕りました。でも、産卵可能な大きさのヒルは,あまり捕れませんでした.。
旧登山道と林道に向かうコースとの分岐に戻り、今度は林道に向かうコースにはいりました。ここは、今までから同じ谷なのに右岸側は旧登山道で、左岸側はヒルがあまりいないコースです。今日も、一匹も捕れずに終了となりました。
研究所に戻り、先週セットしたカエルとヒルの飼育実験を観ることになりました。2瓶セットしていたのですが、最初の瓶のふたを開けると、カエルが死んでしまっていました。ヒルも、全滅でした。すごい腐敗臭で、マスク姿の研究員も思わず目を潜め、息を止めて中を調べました。
カエルの死体を6匹取り出し、検死をしました。とろけてしまって骨になっているカエルが一匹と、あとは、昨日死んだと思われるまだ完全に原型を留めているものまでありました。ヒルはと言うと、5匹ほど入れてあったものは全滅していましたが、一匹だけ昨日死んだと思われるものがありました。この飼育ビンの中のどれか一匹が最初に死んで、そのあと感染症で次々死んでいったと思われます。
実験に協力してくれたカエルとヒルは、丁重に葬りました。
もう一つの瓶を見ると、カエルは生きていました。前回のブログで写真に撮ったカエルです。そして、瓶の中をよく見るとヒルは、丸まって生きていました。1cm位の玉になっていました。それを
トレーに出して、スプレーすると、ゆっくり動き始めました。
注意深く腐葉土の中をさがすと玉はあと3つつ見つかり、入れてあったヒルは全部生きていました。カエルは、小さいものが2匹死んでいました。
このヒルは、丸まっていたのは吸血した後のポーズです。水をスプレーすると動き始めましたが、吸血意欲はありません。結構太っているのです。ひょっとして、この4匹のヒルがカエルの血をたくさん吸ったのでしょうか。
それで、このヒルを別途飼育ビンを用意して、これからの経過観察をすることにしました。もしかして、産卵してくれるのではと思うくらいの太りようです。
期待を膨らませる発見です。
夜は、最初の計画になっていた明日登る山の地図の見方の勉強をしました。
傾斜の見方から、ヒルの分布との関係を考える手掛かりにしていきたいと考えています。等高線の見方は、結構難しく立体的にとらえる空間認識が求められます。しばらく、今まで行った山の地図とにらめっこして、イメージしていました。
ご褒美に、差し入れでもらったパイナップルをいただきました。
完熟しているので、包丁はいれずに、つまんで食べるそうで、やってみるととてもおいしく甘かったです。
次の日の朝、山は雨なので、登山はあきらめて、昨日の場所に行って、再度ヒル捕りをしました。これは、偶然の天気の恵みで、乾燥しきった日と雨の日の対比が連続してできました。ラッキーです。
岳不動から少し登り始じめると、もうヒルは出できていました。小さいので、パス。長靴にあがってくるのは、ていねいに取り外し逃がしてやりました。実験対象にはならないので、命の尊厳を重視して・・・・。
この分岐のところから、左にとります。せせらぎを渡った途端、ヒルが増えるのです。
少し坂を上がると、いますいます。手ごろなサイズのものが、にょきにょき出てきます。
あっという間に、4~50匹捕りました。
ただ、不思議なことに、この登山路にしかいないのです。
登山路を離れて、1mくらい中に入ったシダ植物の生えているところで、10分ほどジョニーさんが立ってくれていましたが、一匹も上がってこないのです。ヒルがいるのは、登山路の両側50cm位の草の中なのです。
一度、分岐まで下って、林道に向かう道に入りました。こちらは、せせらぎを挟んで反対側の砕屑岩層の山のふもと側になります。
ヒルの数はうんと少なく、じっと立ち止まっていても、長靴にはめったに上がってきません。
ここの地層のぶつかり合うところで、明確にヒルの多い少ないの観察ができるのです。石灰岩層を上の方に持つところは、ヒルはたくさん棲んでいると言えそうです。
なかなか、天候の偶然が、私たちの観察結果をより強固なものにしてくれました。つまり、晴れ雨とも、石灰岩層にはヒルが多いということ。
それにしても早く、コロナの影響がなくなってほしいね。研究活動すらスムーズに流れない。困ったことだ。