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昼食を急いで食べて、13時から研究会になりました。
参加者は、とてもユニークな研究者の集まりです。ヒルを研究されているのは東京農工大学院D3のMさんです。京大霊長類研究所の准教授H先生はサルの研究者、千葉大院のU先生はショウジョウバエの研究者、府立大のIさんはクマの研究者です。東農工大のTさんとH先生の奥様です。これを見ただけで、どんなつながりの会なのだろうととても不思議でした。実は、H先生の呼びかけで集まった「ヤクザル調査隊」という集まりです。屋久島に行くと、ヒルがたくさんいるので、それを研究対象にするのも悪くないなあというノリで、ヒルにも興味を持っておられるようです。
私達のブログは、よく読んでくださっているとのこと。
最初は、Mさんの研究発表ということで、学会で発表されたヒルの分布のお話でした。栃木県のヤマビルをDNA分析して、二つの流れがあるることを見つけられたこと。吸血した消化管から血液を取り出して何を食べているのかを調べた結果、シカがやはり多いが、カエルからの吸血があるということを教えてもらいました。これには、私たちはびっくりでした。カエルから吸血しているというのは、私たちの活動の中では全く想定外だったからです。来年試してみようと思いますが、これは、哺乳類ではないので温度を感じてヒルが寄ってるくという説は成り立たなくなるのですね。来年度、誰かがやるでしょう。
次は、私たちの出番です。8/14にCTYで放映された番組を見ていただきました。続いて、I研究員が「ヒルは木から落ちて来ない」という3年前に発表したものを聞いていただきました。H先生の奥様が、今までヒルは木から落ちてくるものだと思っていたとつぶやかれたのが面白かったです。
次に、H研究員が去年度発表した「御在所より藤原の方にヒルが多いわけ」を聞いていただきました。H先生より、どこのヒルを使うかによって、生まれた方に集まることはないかという質問がありました。これは、御在所で捕れるヒルはある程度大きくなったものばかりです。生まれたてのヒルはいないので、動物が運んだという考えの方が正しいと思います、と返事していました。ただ、屋久島は火山なので花崗岩ばかりで、ちょっと合わないところがある、夏にでも来て調べてみてほしいと言われました。ヒル研修学旅行でもするか、と心の中で思いました。
そして、全体をまとめる感じでU研究員が「ここまで分かったヤマビルの生活」を話しました。午前中に現地を見てもらっていたので、説明はよく理解していただけたようでした。
次は、H先生の「ヤクシマヒルのお話」でした。ヤクザル調査隊の活動の様子をご紹介いただいた後、ヤクシマビルを見せていただきました。
私達と飼い方が違って、小さな瓶で1匹ずつ入れてガーゼで蓋をしておられました。この小さな瓶で飼うのは結構難しいと思うのですが、どれくらい生きるのかを調べておられるので、仕方がないことかなと思いました。
中のものを見せてもらったのですが、想像していたものより小さかったので、ちょっとびっくりしまた。ヤクシマビルというのはみんな二ホンヤマビルで、3本線がありますと言われて、初めてそのことを知りました。今まで噂で聞いていたのは、かなり大型のヒルでこのあたりにいるのとは違うと思っていたので、勉強になりました。藤原ビルも御在所ビルもヤクシマビルも同じ種類でした。
先生は面白い情報をくださって、この瓶の中に入れておくとやがてやせ細り死んでいくという情報です。私たちはこのような飼い方はしたことがないので、食べ物しらべをする方法として使わせてもらおうと思います。
最後に、私の方からヒル研の紹介をしながら情報交換をしました。
H先生から出た言葉が、面白かったです。私たちのヒル捕り場で30分で100匹もヒルを捕るということを聞いて、その量は屋久島の比ではないと言われたことです。屋久島はヒルが多いのではないと、繰り返されていました。
熱の入った話し合いで時のたつのを忘れていました。
16時を回ったので、参加者が感想を述べあう時間となりました。
Mさんから、今までブログを読んでいた時は、ライバルのように思っていたヒル研の子だったが、出会ってみてライバルではなく同じ研究者だという目に変わりました、という嬉しい言葉をいただきました。また、H先生や奥様から、協力は惜しまないので先ずは、屋久島に来てほしいがそれより前に犬山の霊長類研究所に来てほしい。そこで、地域の子どもたちとの交流もできるので、是非というお誘いを頂きました。まずは、研究所を見てもらって、どんな支援ができるか見てほしいという暖かいお言葉を頂いて、力が湧いてきました。
4月からヒル研に入る予定のS研究員の入会動機が、卵塊に魅せられたということで、来年は僕も卵で頑張りますと、力強く宣言していました。頼もしいです。
とても有意義な研究会になりました。私は、心から感動を覚えました。もう、15年くらい前から、このような感動的な研究会というか情報交換に接したことはなく、本当にアドレナリンが湧きたっていました。皆さんも、満足していただけたと思うし、こんな三重の北のはずれで、子ども研究員が頑張っているという姿を見ていただけただけでも、良かったと思います。
収穫の多かった一日でした。4月から、また子ども研究員に頑張ってもらいましょう。
東農工大のMさん。ありがとうございました。素敵な出会いを作っていただき感謝申し上げます。ヤクザル調査隊の皆様、今後色々な方面でお世話になるかと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。