7月の三連休の中日になりました。昨年の記録を見ていたら酷暑の話ばかりです。高温で乾燥しているのでヒルが出てこない、野外活動は熱中症に注意と、嘆き節が書かれています。
今年は、10℃近く気温が低く、湿度は高く雨も適当に降ってくれて、研究には恵みの雨です。カッパを着ての調査研究も馴れて、研究員も苦にしなくなりました。また、新しい生活方法を考え出して、カッパもそこそこに、濡れて帰ってきてお風呂に入って温まるという快適さを見つけ出しました。
農作物は、各地で日照不足を憂いていますが、ヒル研にとっては、ありがたい気象状況です。研究もかなり進んで、これからまとめが忙しくなります。
朝から、昨日仕掛けたカメラを回収に出かけます。昨夜仕事の都合がついたからと、先輩ボランティアがかけつけてくれて、雨が小やみになるのを待って出かけました。
いつものヒル捕り場からチェックしていきました。しとしとした小雨なので、上の方から流されてくるヒルはなく、けもの道の所で数匹見つけただけです。
そのあと、直ぐ上のヒルスポットAにいましたが、ここもほとんどヒルはいなくて、上から落ちて来ていませんでした。
更に上に登山道を上ると、ここからはヒルは容赦なく私たちを襲ってきます。
今日は、ヒル捕りが目的ではないので、長靴には忌避剤をかけてガードしています。長靴の上の方だけ振りかけてあるので、足首のあたりまではヒルが上ってきます。5分くらい歩くと、5-6匹のヒルが上がってきます。それらを捕って、また歩いていると、やはり何匹かのヒルが長靴を上がってきます。結構この登山道には、ヒルがいます。それにしても、私たちが使っている忌避剤ひる下がりのジョニーは、効果抜群です。これだけいても被害はありません。
狗留孫に向う尾根道に出ると、ヒルの数は急に減ります。
尾根から谷を見るとこんな感じて水の流れた跡が見られます。ここに足を踏み入れると、ヒルが長靴に上がってきます。
このあたりにヒルスポットの最上部がありそうですが、なかなかそれらしきものは見つかりません。急坂が続き危険なので、本日はこれ以上の調査は中止します。OBに協力してもらって、再調査とします。
帰り道、昨日仕掛けたカメラ2台を引き上げました。
研究所に戻り、早速カメラを解析しました。
先ず、ヒルスポットAは、昨日17時から本日7時までの12時間にやって来た動物は、キツネが1匹走って通過しただけでした。
次にヒルがたくさんいる登山道を通った動物は、一匹もいませんでした。
いろいろな角度から何度調査しても、ここでのヒルの拡散は、動物の関与ではなく水の力によるものということが分かります。
一通り、結論が出たので、お世話になった気持ちとたくさんのヒルの命をいただいたので、帰りにお寺にお参りして帰りました。
この林道では、研究員が呼ぶ「世紀の大発見」がいくつかありました。
一番は何といっても、「ヤマビルは木から落ちて来ない」ということを実証したことでしょう。(2017)
二番目は、ヒルの拡散は、水の流れに寄ることが多いということを、見つけたことでしょう。シカが最悪の動物のように言われているのは冤罪です。いろいろな動物が拡散させていることは事実でしようが、シカが最悪の動物ではないということです。
そのほかにも、自然界でヒルが活動し始めるのは、気温ではなく地温が15℃をこえるとのっそり出で来る。18℃を越えないと活発には動かない。湿度も、40%を割ると葉の下から出て来なくなる。70%を越えないと活発には動かない。
こんなことを研究させてもらいました。
仏様の見守りに感謝したいと思います。
これからもいろいろ研究を進めていきますので、よろしくお願いします。