ヒルは、どのようにして人を見つけて吸血するのかという問いに対して、いろいろ実験してみました。
既に去年発表したのは、動物の呼吸から出る二酸化炭素の微妙な変化を察知して近づいて来る。そのあと、体温等熱を感知して登ってくる。震動は、関係がないことが分かっています。
でも、靴についたヒルがズボンのすそに取り付き、どんどん登ってきます。わずかなすき間から服の中へと侵入します。侵入したヒルは、その場所が吸血可能かを判断してどんどん場所を変えていきます。
去年とても不思議だったのは、ペットボトルに40℃のお湯を入れて、ヒル捕り場に置いたらヒルが数匹寄ってきて、中にはボトルに登ってくるヒルもいるけれど、吸血できないと分かると落ちていきます。
実験1 手の平とか足の裏は、今まで吸血されたことはありません。もし、そこにヒルを付けたら、どうなるかを見てみることにしました。
その様子を動画に撮ることにしました。手のひらでは、さっと体を伸ばして手の甲を探したり腕の方に向います。
このように吸いやすい場所を求めて、頭を振りながら探していきます。
次に、腹ばいになって足の裏を出して、ヒルを足の裏に乗せてもらいます。そして、ヒルの行動を動画で撮影していきました。
足の裏は滑るらしく、吸血どころか転げ落ちていくものがありました。かかとに取りついたヒルは首を振りながら、しばらくすると足首の方に移動して、くるぶしの所で吸血を始めました。
動画は掲載できませんが、このように足の裏や手のひらは、皮膚が厚く吸血が難しいので、本能的にさけて皮膚の柔らかい所へ移動して吸血し始めました。
実験2 腕にラップを巻いてヒルを乗せたら、どのよう行動をとるかを調べるために、動画を撮りました。
この時は、ラップの上を吸血できる場所を探しながら移動します。中には、吸えると思ったのかラップの上から吸引しているものもありました。もちろん吸えないのですが、研究員によると何か強く吸い付く感じがしたと言っています。
やがて探し回りながら、のヒルは膝を見つけて移動(写真中央上部)していきました。あきらめて下に落ちて行ったものもあります。
これらのことから、ラップだと熱は通すが、水分も体から発する匂いがあるとしたらそれも通さないと思うので、最終、熱で動物と判断しているのです。
だから生きた動物にしか取り付かないというのは正しいと思います。
実験3 靴下やストッキングをはいたら被害はなくなるかという、昨年度の夏山フェスタからの質問に実験で回答します。
研究員がストッキングをはいて、一番足の中で放熱量が多い袋は木にヒルを乗せます。
ヒルは、熱を感じているので吸血可能な場所を探し回ります。でも、ストッキングの目が細かいので、入り込むことができず、あたりをうろうろしています。
ストッキングに1cm位の小さなヒルを乗せてみましたが、やはり入り込めません。
それをルーペで拡大したら、こんな様子です。ストッキングの網目は、ヒルの頭の1/10くらいなので、侵入できないのです。ヒル避けには、ストッキングはおすすめです。
次に、子どもたちの履くスポーツソックスで試してみました。
これもストッキングと同じように潜り込めません。こちらもルーペで拡大すると目は頭よりはるかに小さいです。
しかも、よく見ると繊維が何層にもなっていて、簡単には入れない構造になっていました。ただ、かがと付近で縫い合わせたような部分があるものは、そこは入り込むすき間はあります。でも、靴下は履いた方が被害は少なくなります。
でも、ソックスやストッキングをはいていてもヒルに吸血されたというのは、一番はゴムの部分から中に入り込まれたり、どこかに穴があいていた可能性があります。最近の靴下やストッキングは、とても優れものです。
ゴムの部分に忌避剤<ヒル下がりのジョニー>をかけておけば、靴下の中に入られることはなくなります。
この製品は、体に危険なディートを使用していないので、ゴムの部分にかけても安全です。
雨の日の基礎実験Ⅱでしたが、いくつかの知見を確かめながら、読者のみなさんに自信を持って情報提供できます。