今年2年目になったU研究員。一段と成長して、将来研究者の道に進みみたいと抱負を抱き始めています。
先輩の研究員から解剖の仕方を伝授され、黙々と小さな臓器まで解剖していく練習をしています。
その過程で、ひょんなことに気づいたのは、今年最後の研究会の日。ほとんどのヒルを解剖すると嗉嚢盲嚢<ソノウモウノウ>と呼ばれる器官に血がたまっていることです。大量の血ではないのですが、多分今シーズン中に吸血したものと思われます。
切開した部分に血管の様にふくれている管が見えますが(写真右上)、嗉嚢もしくは嗉嚢盲管です。それが膨れているのは、血液が溜まっている証拠なのです。
最初の目的は、解剖練習だったのですが、もし、このようなヒルがたくさんいるなら、ヒルは1年に一度吸血する、という話は疑問符が付きます。その問題意識に気づいたU研究員は、8月に入ってから新しいテーマに選んで追求することになりました。
とはいうものの、私の予定もありいつでも連れて行ってあげますというわけにはいかず、お盆で家族と過ごす時間もあり、研究日が限られてきました。
もう、ヒルがたくさん出てくる最後の時期に入っているので、一日でも早くということで、8/18-19に決めました。
ちょうど、ヒル研OBの中学2年生が勉強しに来ていたので、手伝ってもらいながら、50匹のヒルを確保することからスタートしました。
6月の様にわんさと出で来るわけではなく、一所懸命息を吹きかけて出で来るのを待ちました。
1時間ほどかけて53匹つかまえました。
研究所に戻って、解剖するのですが、1匹10分くらいかかるので500分、ということは9時間くらいかかるということです。U研究員は、よし徹夜だと掛け声をかけて外科医よろしく、執刀開始しました。
判定を A:たっぷり血を吸っているもの B:少し血をためているもの C:全く血が見られないもの という基準で判定していきました。ちなみに、上の写真は、Bの典型的なものという位置づけです。
夕方から切り始め、途中夕食、休憩、入浴とはさみながら、深夜0時をまわって20匹でした。さすが強者でも、集中力が切れてきたので、この続きは明日ということで休みました。
次の日も早起きして、朝食を済ませて7時半から執刀開始でした。11時半過ぎ、やっと50匹開き終わると、さすがのU研究員も頭が痛くなり昼食後しばらく休みました。
そのあと、データーの集計をしたら、予想通り7 割のヒルが既に吸血していることが分かりました。これは、今までの常識を変える発見になりそうです。
これから、10月の発表に向けてまとめていくことになります。頑張れ、未来の研究者。
それにしても、この執念というか頑張りは、すごいものがありますね。
小学生の研究というと、とかくパット見てパット答えが出るものを期待しがちです。
大して変わったこともないヒルと長時間付き合いをする中で、おやっという気づきが生まれてきます。この気づきをきっかけに、新しい研究テーマが生まれます。でも、すべてがすべてうまくいくものではないのです。いかに長くヤマビルとかかわり、いかにヤマビルと友達になるかによって生まれてくるものです。
空いた時間にちょこちょこっとヒルをみて、何か研究をというようなものではないのです。
自由研究は、夏休みという長期の自由に時間設定できるときに、ずっとヒルと付き合っていてテーマをみつけ探求が始まるのです。誰かに課題をもらい、解答を作るようなものは自由研究にはなりません。先日テレビで自由研究の番組を放送していましたが、おやっと思ったことにはまり込んでいる姿が紹介されていました。
なぜ、じゃんけんは三すくみでないといけないか、四すくみではだめなのか。なんていう数理の問題を見つけた子は、夏休み中考えていたようです。その後中学生になっても、これを発展させて奇数の場合ならじゃんけんとしては成り立つ。でも、実用的ではないという考えに至ったそうです。すごいですね。自由な子どもの発想は、・・・・・。大人がそれを遮るようなことは絶対やめましょう。
頑張れ未来の科学者!!!