2泊3日の研究会はじまる | 子どもヤマビル研究会

子どもヤマビル研究会

2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

海の日が絡んで3連休となり、各地でいろいろな野外活動が行われています。私たちヒル研も、稼ぎ時とばかりに目一杯の計画を立てました。

昨日、猟師さんからいたたいた鶏の血が品質が落ちないうちにヒルに吸わせたいので、朝一のプログラムは吸血からでした。

まず、もらった血を小分けにする作業からです。

リーダー役のY研究員が手袋をはめて、慎重に吸血ケースに分けていきます。

そこへ、以前から飼育している元気なヒルを1ケースに2匹ずつ入れました。

鶏の血を吸ったヒルが産卵したので、少し自信ができて、今回一人に2匹ずつ吸わせて、ペアーで飼育ビンに入れることにしました。

 

吸血時間が2時間程度かかるので、その間にチスイビルの解剖図を基に塗り絵をしました。理由は、細い消化管ではなく別のところに血が入っていくのではないかということで、解剖図を眺めていると、嗉嚢と呼ばれるふくろがあることが分かります。

消化管と平行にそれを取り巻くように房のようなものがあります。きっとそれだろうと見当をつけて、明日の解剖の時意識してほしいので、色鉛筆で色を付けました。

これは、この前解剖したときに見たことがある、と I 研究員。ちょっと期待が持てる発言でした。

 

2時間余り吸って、満腹になったヒルはケースの上の方に上がっているので、ペアーにして飼育ビンに入れました。

 

昼食を済ませて、お昼から宮妻峡に出かけました。熱中症注意報が出ているので気を付けながら、いつものヒル採集場所に行きました。

小ぶりのものが少しいるだけで、あまりいません。

 

それで、いつもシカが水を飲みに来る場所に行きました。

スイカを持ってきているので川の中で冷やしながら、半分水遊び半分ヒル捕りをしました。

予想通り、久し振りに見る大きなヒルかいっぱいいました。少し地面に息をかけると、にょきにょき出てきます。知らないお客さんがこの中に足を踏み入れたら、確実にやられます。それはそれは立派なものです。今夜と明日の実験に必要なので大きいものを選んで、70匹程度捕りました。

おまけがついて、ヒル研のメンバーの足にもちゃんと2匹も吸い付いていました。せっかくなので十分吸わせて、産卵用にしました。

 

夕飯を食べてから、ヒルが人を感ずるセンサーの一つである呼気を判別する能力を調べることにしました。

まず、今日捕ってきた元気のいいヒルを全部水槽の中に入れました。水槽には落ち葉が敷き詰められていて、ヒルの隠れ家になります。

初めは、みんなの呼気に反応して、我先にと葉の上に上ったり、水槽の壁を登ってきました。とにかく、水槽にヒルを入れるのが一仕事です。

しばらく、ヒルを落ち着かせるのに透明のふたをして、少し水槽から離れて見守りました。

5分ほどで落ち着き、ほとんどのヒルは水槽の底の方に下りていきました。もう、5分待って、一、ニの三で息を一斉に吹き込む手はずになっています。

ポッサムの合図で、カメラマンも一斉に動画撮影を開始します。

蓋を外して、一、二の三。みんながありったけの息を吹きかけると、水槽の底からどわっとヒルが出てきます。一斉に我先にと息の来る方に頭を向けてヒルダンスをします。見事です。

また、ヒルをクールダウンさせて、10分後に再度繰り返します。こんなことを5回繰り返して、ヒルは動物の呼気に強く反応して、人に近づいてくることが分かります。

東大大学院の小泉さんの修士論文によれば、ヒルが呼気に反応するのは、発生源から1.5m程度までという報告をしておられます。

 

ヒルが人を感じて近づいてくるメカニズムはこのようになっています。

まず、動物が近くに来ると、動物の呼気に反応して位置をキャッチします。そして、急いで動物に取り付いてきます。

 

でも、課題が残っているように思います。それは、体温を感じで上ってくくるが、ここが皮膚だと分かるのは、何だろう? という疑問です。そうなると、ヒルの口の構造をもっと調べないといけないのかもしれませんね。

 

あっという間に9時半になり、例によってお風呂の組み合わせ抽選がありました。なんと、今回夜寝るのも抽選でジョニーさんの横で寝る子を一人決めたのですが、なんと偶然ですが同じY研究員でした。次いでですが、次の日の寝るのもこのY研究員がジョニーさんと一緒になりました。偶然ですが当たりすぎ。社長とすべて一緒になるくじを引いたのは、何かの将来を予感させるものがありそうです。ラッキーボーイですね。