ヒルへの思い | 子どもヤマビル研究会

子どもヤマビル研究会

2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

小5から中2の研究者が、ヒルをどのように思っているのか、ちょっと気になりますよね。


第1回、第2回の研究会の時の会話や、一日のまとめから紹介したいと思います。


私は、ヤマビルを通して自然というものに触れ感動を味わいたいと思っています。こんな工夫をして生きているのだとか、この進化してきたものが、何か私たちの役に立たないかとか、そんなことを思って付き合っています。

エコトレードの社長さんは、血を吸われた経験があまりにもショックだったので、この気味悪い生き物を退治して、人々の不安や不快感を取り除きたいという思いです。それで、ヤマビルの忌避剤「ヒル下がりのジョニー」を開発したのです。

ほとんどの登山者や渓流釣りの人たちは、このうざい生き物、何とかならないかと思っています。


では、わがヒル研の研究者はというと、とてもヒルがかわいらしいようです。ヒルの生態がだんだんわかってくると、気味悪さや恐怖感がなくなり、親しみがわいてくるようです。

腕の上に乗せて歩かせながらじっと観察してみたり、水の中に投げ込んだヒルが必死になって自ら出てくる姿を応援したり、楽しくヒルと戯れています。


前回の採集のときも、1cmに満たないヒルがたくさんいたのですが、これは小さいので置いておいてやろうと、その場にリリースしていました。そして、いっぱい血を吸って早く大きくなれよ、なんて声をかけたりしながら放していました。

社長さんが、ヒル下がりのジョニーをかけろ、と叫んでいても、子どもたちはどこ吹く風。


I 研究員のノートには、何とかヒルを年間飼う方法を見つけて、大量にヒルを育てたい、と書いていました。彼は、昨年度の研究でヒルに卵を4個も生ませた名人なのです。

産卵のおおよそはわかっているのですが、細部にわたって調べるには、まだまだ時間がかかりそうです。

だから、彼にとっては、ヒルを増やす技術は研究テーマでもあるのです。

将来は、この生き物の細胞の強さを活用して、丈夫なロープとか衣服とかを作りたいという夢を持っているのです。そのためには、このヒルを大量に増やす技術は大事なことなのです。


O研究員は、とにかく解剖がしたいのです。おなかの中はどうなっているか、それが知りたいのです。解剖のために、虫ピンで貼り付けにしていくときも、痛いやろな、かわいそうやなと言いながら、ピンをさすのをためらったりしています。


子ども研究員にとって、ヤマビルは友達なんです。でも、最初からこんな感覚ではなかったのです。

今年入ってきたN研究員は、採集の最中に全く気付かないうちに足を吸血され、事務所に戻ってから少々不安げにしていて、かなりヒルに憎しみを持っていました。

でも、あと、数回すると仲良くなっていくのですね。


Y研究員は、とても明るく楽しい子なんですが、去年もヒルは嫌いでした。だから、いつもにくしみをどこかに持ってつき合っていました。でも、採ったヒルを瓶に入れたりしないといけないので、考え付いたのが、鼻くそ作戦でした。指でくるくる丸めてやると、吸盤が中に入るので吸い付かれずに瓶の中に入れられるのです。鼻くそホイホイなんて名前を付けて楽しんでいます。


子どもたちの心の変化って面白いでしょう。

また、こんな話もまとめて報告しますね。次回の研究会が楽しみです。