離婚調停における執行文付与の役割 | 横浜 コーディアル司法書士 所博之

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LECと伊藤塾を通じて司法書士講師業25年のキャリアを活かしたブログ

最近、お天気の良いときに中央アルプス「木曽駒ケ岳」に登頂しました。

標高2,956mで、私としては最高記録となりました。

といっても、2,612mまでは、ロープウェイで到達できますので、300m程登った程度です。

初心者向けのトレッキング程度で、千畳敷カールを堪能しました。

もっと低い大山(標高1,252m)の方が、これ以上歩きますし、はるかにきつかったので、単に標高だけでは比較にならないことを学びました。

 

 

           木曽駒ケ岳にて

 

さて、最近、弁護士(妻が依頼者)から離婚調停が成立したので「財産分与」で夫から妻への所有権を移転する登記をしてほしいという依頼がありました。

 

当初は、妻が住宅ローン残債務(夫が債務者)の支払と引換えに夫の登記名義を妻へ移転するという内容だったので、住宅ローンを返済する銀行での決済、つまり「抵当権抹消と所有権移転登記」をするイメージをしていました。

 

諸般の事情で妻からは夫とは同席したくないという申し出があったため、先に夫の本人確認を済ませて決済日に処理をするか、決済日に夫に銀行へ来てもらい弁護士が妻を代理して対応するかを検討していました。

 

ところが、離婚調停調書の内容を確認して、銀行での同席での決済は不要という判断に至りました。

というのも、夫の登記申請の意思表示は、民事執行法174条1項但し書きの「反対給付との引き換えに係るとき」に該当するため、執行文の付与が必要だということが判明したからです。

 

よって、今回は、妻が先に夫が払うべき住宅ローンの残債務を支払ったことを裁判所へ証明して、執行文の付与を受けないと、夫から妻への移転登記はできないことになります。

 

当初、裁判所では住宅ローンの支払と登記名義の移転は同時履行を想定し、決済をするイメージをしていたようですが、結果的には裁判所による執行文の付与で処理するというケースとなり、諸般の事情から元夫とは同席したくないという元妻は、元夫と対面することなく手続きが終えられるということで、とても安堵されていました。

 

民事執行法で学んだ執行文付与、意外なところで活用できるなと感心した次第です。

 

 

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