遺産分割調停における排除 | 横浜 コーディアル司法書士 所博之

横浜 コーディアル司法書士 所博之

LECと伊藤塾を通じて司法書士講師業25年のキャリアを活かしたブログ

ここ最近、急に冷え込んできましたが、いかがお過ごしでしょうか。

最近は、休日には鎌倉周辺の大丸山などのゆるい登山を楽しんだり、箱根の明神ヶ岳などにハイキングに出かけたりしています。

 

また、福岡LEC時代の私のクラスだった司法書士が本人確認のために川崎まで来る用事があったということで、弊所に寄ってくれたりと嬉しい再会がありました。

 

さらに、依頼者のため後見の相談に乗っていた際、リーガルサポート成年後見センターの発行するパンフレット冊子を広げたら、同じ福岡LEC時代の私のクラスの司法書士が登場してビックリしたという出来事がありました。

その後、懐かしかったこともあり、その司法書士と連絡をとって、近況を語り合いました。

福岡のあのクラスから、大勢の合格者が活躍していることが実感できて、とても嬉しいです。

 

 

さて、最近、遺産分割調停の当事者から「排除」の依頼を受けました。


虐待などをした相続人を相続から一方的に除外する「相続人廃除」とは異なり、相続人自ら相続分を受け取らないという意思表明で遺産分割協議の手続きから除外してもらうものが「排除」です。

 

その依頼者が最初に弊所に相談に来た際には、「弟から母の葬儀費用の支払を迫られて困っている。自分は払いたくない。家裁から書類が届いているが、持参するので確認し対応してほしい。」ということでした。

 

その書類は、遺産分割調停書類で、依頼者が相続に必要な手続きに応じないため困った札幌在住の弟さんが、遺産分割調停を横浜家裁へ申し立てたものでした。


その書類のなかに財産目録があり、普通口座の残高は確かに50万円程マイナスになっていたのですが、定期預金を確認すると2000万円程が確認できました。

 

そのマイナスとなっている金額の支払いを自分だけに迫られていると思い込み、定期預金残高には全く気が付かなかったようです。


そこで、「これは3人の兄弟で分けるとマイナス分の支払どころか、600万円以上受け取れますよ。」と、話をしたところ、「それでも自分は受け取りたくない。生活に困っていないので、他の相続人に譲渡する。家裁に行かなくてよい方法はないか。」とのことでした。

 

相続放棄(相続の開始を知ったときから、3カ月以内に被相続人の住所地の家庭裁判所へ申述して受理される。)という制度がありますが、今回は1年以上経過しているため、その手続きをすることもできず、相続分は要らないという「相続分の放棄」に該当するもので、遺産分割協議の当事者から離脱する方法です。


それが、家事事件手続法における「排除」と呼ばれるものです。

 

いわゆる相続人全員での「遺産分割協議」には、手続きから排除するという制度はないのですが、家事事件手続法には、相続分を欲しない相続人を家裁が慎重にその意思を判断し、その手続きから除外して「排除」にすれば、遺産分割の調停や審判を円滑に進めることができる制度があります。

 

今回の依頼者は、その「排除」を選び、家裁に出向くことなく対応し、相続分の全部を放棄することで納得されました。


私などは、内心、「勿体ない。」と思っていましたが、依頼者は、相続人に顔を合わせたくもないし、家裁にも行きたくないので、書類を家裁に郵送するだけで済んだことに、とても喜んでくださいました。

 

 

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