フォーエバー・フレンズ -289ページ目

4、本当の気持ち(5)

一緒にリフトに乗って頂上についた二人は、一気に急斜面を滑り降りた。

中学の頃スキー部だった茜は、スキー一級の腕前である。

なので平気で陽一の後を着いていった。

しばらく滑ると、二人はスキー板を立てて休憩した。



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「茜ちゃんて凄いな」

「スキー部だったからね。それに運動は得意だし」

「そうか・・・」

「ねえ、恵って陽一君の事本当に信頼してるんだね」

「そうなのか?」

「そうだよ」

「でもさ、最近やたらと怒るしさあ・・・何でそんな無頓着なの!って・・・俺、普通に生きてるだけなのになあ・・・」

そんな陽一の言葉を聞いて、茜は笑い出した。

「なんで笑うんだよ?」

「意外だね、陽一君ってもっと完璧主義だと思ってた」

「本質はボーっとしてるかもなあ・・・」

そんな事を話していると、陽一は突然「茜ちゃん、もう一回真と話してみたらどうだ?」と言った。

茜は黙っていた。

「さっき俺が恵に信頼されてるって言ったけど、茜ちゃんと真も同じじゃないのかな?」

陽一の言葉に茜は何も言わずに下を向いた。



帰りのバスの中、陽一は滑りつかれて寝てしまった。

そんな陽一の姿を見て茜は「まるで子供みたいだね」と言って笑うと、恵は眠る陽一を見つめて「子供だよ」と言った。

「ねえ恵」

「何?」

「もし陽一君が、彼女が3人いるって言ったらどうする?」

「う~ん・・・信じない」

「じゃあ本当にいたとしたらどうする?」

「う~ん。結局戻ってくるんじゃないかな」恵はそう言って微笑んだ。



茜は恵の言葉に驚いた。

夏まで恵は、陽一が有名になって遠くに行ってしまうのではという不安を抱えていた。

そしてその事を茜に相談してきた事もあった。

しかし由香子の引きこもり、文麿の退学、仁科先生の退職、そして清志朗のスカウト。

いろんな問題を二人で乗り越えてきて、恵と陽一は結束を強くして行った。

恵の耳の色違いの星型のピアスがまるでそれを証明しているかのようだった。



恵は陽一君の事を物凄く信頼している。

だけど私は真の事を信頼してなかったんだ。

よく考えてみれば真が私にあんなこと言うわけない。

それに真がそんなにモテるわけないじゃん。

きっと何かがあったんだ・・・。

3人女がいると言う言葉だけで真を引っ叩いたけど、もっと追求しなきゃだめなんだ。

何処の女?いつ出合ったの?どんな子なの?なんて名前?って・・・。

所詮は真・・・。

絶対にアラが出るはず。

私は気付いてあげられなかったんだ。



夜行バスは、日曜日の明け方に横浜駅へ着いた。

そして自宅に帰った茜は、アルバムを開いた。

そのアルバムの中に、真から貰った甲子園大会の記念写真があった。

決勝戦直前に、恵から陽一への贈り物を渡そうとした時、人ごみを掻き分けて茜を探して抱き上げて喜んだ真。

そして夏の厳しい決勝戦の中、茜は炎天下の中必死な気持ちでそんな真を応援していた。

その時の事を思い出すと、涙が込み上げてきた。

「真・・・」



すると玄関のチャイムが鳴った。

茜は部屋を出てアイホンのカメラをみると、門の前に理子が立っていた。

「理子ちゃん」そう言うと咄嗟に玄関を出た。

門の前に立つ理子は「茜ちゃん、久し振り。これ、おにいからのクリスマスプレゼントだと思うよ。いつまで経ってもおにい茜ちゃんに渡さないから、渡しに来たよ」と言って、茜に赤い袋を渡した。

「おにい、最初お前にやるって言って渡してきたんだけど、これ多分茜ちゃんのだよ」

赤い袋の中には指輪が入ってあった。

「理子ちゃん、どうして私へのプレゼントだってわかったの?」

「だって裏にAKANEって書いてるもん。おにい馬鹿でしょ。そんなもん私に渡すんだから」

裏には確かに『AKANE』と小さく彫られていた。

それを見た茜の目からは涙が溢れた。

あのクリスマスイブの晩に真が茜に渡そうとしたのは、この指輪だった。

その真からのクリスマスプレゼントを、茜は一ヶ月遅れで受け取った。



そして全てに決心がついた。




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