4、本当の気持ち(6)
月曜日、遂に停学処分が終わり、茜は京急線に乗って通学をしていたが、いつものような三つ編み姿ではなかった。
学校にやってくると茜は、真っ先に退学届けを提出したのだ。
そしてその事を家に帰って報告すると、茜の母は物凄く怒りだした。
「茜!何考えてるの?いい加減にして!」
茜は全てに決心がついて、母の怒りに対しても、冷静な口ぶりで話し続けた。
「ごめんなさい。でも私、真とは絶対に離れられない。私は学校より、好きな人を選ぶ」
「お父さんになんて言ったらいいの!今から学校行ってきなさい!」
そう言って母は泣き出した。
「もう決めたんだ。私はスカジョを辞める。真とずっといたい」
すると茜の母は「茜!出て行って!もうあなたの顔なんて見たくない!」と言って泣き叫んだ。
「わかった・・・出て行く・・・」茜はそう言うと、荷物をまとめて家を出て行った。
そして昼休み、恵に茜からのメールが届いた。
『退学しちゃった。家も追い出された。笑っちゃうね』
「茜・・・」
恵は真を探すと、真は野球部の部室で寝ていた。
「なんだよ山野・・・」真は眠たそうに目を開いた。
「茜、学校辞めたよ。家も追い出されたって・・・」
「何だと!」
恵は、茜からのメールを見せた。
そして心配そうに「何処にいるの?ってメールしても返信が無いの・・・遠山君知らない?」と言った。
「あいつ・・・馬鹿野郎・・・」
その日の晩、茜は川崎の古ぼけたバッティングセンターにいた。
真が野球を再びやると決心した場所だった。
そしてその日の事を思い出していた。
『ねえ、陽一君と野球しなよ。野球好きなんでしょ。私にできる事があれば言って』
そんな言葉を思い出しながら、ぼんやりとバッティング練習をする人達を見つめていた。
すると真がやってきた。
「茜・・・」
茜は真を見ると「来ると思った」と言った。
そして二人は以前のように川崎の街をあるいた。
「なんで学校辞めたんだよ」
「学校より真を選んだから」
「お前言っただろ、俺には女が3人いるってさあ。明日学校行って退学届け撤回しろ」
「じゃあその3人の女の名前全員言ってみて」
「や・・山田花子・・えーと・・・友近・・・じゃなくて・・・」
真は訳の分からない名前を言って黙り込んだ。
「何処の高校?いつ出会ったの?」茜は黙り込む真に、容赦なく追求してきた。
そしてその茜の厳しい追求に真は「嘘だよ・・・俺は茜が好きだよ」と言って白状した。
「大体真がそんなにモテるわけないじゃん。おかしいと思った」
「おっ・・・俺だっていろいろ考えたんだよ。お前の事をさ」
「大きなお世話。私は真と一緒に居られれば、それでいいの」茜はそう言って真と腕を組んだ。
そして右手薬指のクリスマスプレゼントの指輪を「えへへ」と言って真に見せた。
「茜!いつのまに!」
「ありがとう。真、大好き」と言って茜は真に背伸びをしてキスをした。
久々に茜とキスをした真は、少し嬉しい気分になった。
「茜、家追い出されたんだろ。これからどうするんだよ」
「とりあえず真の家に居候させてよ」
「仕方ねえな・・・お母さんが許してくれたらちゃんと帰れよ」
「私に似て強情だから、多分許してくれないと思うよ」
こうして真、茜、理子の楽しい3人暮らしが始まった。
そして茜は、翌日『コロンブス』のアルバイトにも復帰した。
また恵との楽しい日々が始まる。
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