フォーエバー・フレンズ -210ページ目

21、8のリストバンド(2)

7月、8月、9月と真の勢いは止まらずに、首位打者争いをし続けた。

そしてシーズン終了時の真の記録は、打率344 28本塁打。

なんと首位打者を手中に収めたのだ。

真は球界初の高校生ルーキーの首位打者となり、あの野球の神様である川上哲治の記録を塗り替える事となったのだ。



そしてシーズン終了後すぐ、真と茜は神戸の生田神社にて挙式をあげる事となった。

遂に若きプロ野球選手の妻の茜が、ファンの前にお披露目される日がやってきたのだ。

そしてその若干19歳の若き花嫁を見ようと、沢山の報道関係者、沢山の阪神ファンがこの秋雨のぱらつく生田神社へと集まった。

すると花嫁衣裳を着た茜が、真とともに現れた。

艶やかな花嫁衣裳を着た茜はとても美しく、沢山の人が見守る中、和傘をさされながら雨の生田神社を真とともにゆっくりと歩いていった。

ちょうど一年前、茜は生まれてくる子供の為に、妊娠した体に鞭打って一生懸命に働いていた。

しかし今、その茜は沢山の人の祝福を受けながら、秋雨ぱらつく生田神社を歩いている。

それはまるで和装のシンデレラのようだった。





次の日の朝、茜を昨日の華やかな挙式の事を思い出しながら、真理と真の朝食を作っていた。

すると自分の携帯電話が『Eメールあり』と表示されている事に気が付いた。

「あれ?いつのまにメールが・・・」

茜は携帯を早速開いた。

すると午前3時に、恵からのメールが届いていた。

「恵からだ」

茜は嬉しそうに、メールを確認した。

しかしそのメールの内容を見た茜の表情は、一瞬にして曇った。



『茜・・・私もう死にたいよ』



「恵・・・どうしたの?」

茜は携帯電話の画面を見ながら、たたずんだ。

その後、恵にメールをしても返信がなく、電話をしても電話に出なかった。



ある日の晩、茜は真と一緒に自宅で夕食を食べていた。

そして茜は真理にごはんを食べさせながら「ねえ真、ちょっとだけ横浜に帰ってもいいかな?」と言った。

「何しに行くんだよ」

「ほら、子育てが忙しくて、通信教育ほったらかしだったじゃん。そろそろ学校の授業を受けたいの」

「そうだったな・・・茜はまだ高校生だったんだな」

通教はあくまでタテマエだった。

本当のところ、今年は子育てに専念して通教の方は休もうと思っていた。

しかし、突然送られてきた恵らしからぬメールの内容に、茜はいてもたってもいられなくなっていた。

そして茜は、8ヶ月ぶりに故郷の神奈川へ帰る事を決意した。



茜が新幹線に乗るのは、あの恵との別れの日以来8ヶ月ぶりの事だった。

その8ヶ月ぶりに乗る新幹線の中で、茜は真理を抱きながら窓の外の富士山を見つめていた。

「恵、一体どうしたの・・・」



品川駅にたどり着くと、茜はまず理子が一人で住む川崎の部屋に泊まった。

そして翌日、横浜の実家に真理を預けると、昔の様に京急電車に乗って港南学院へと向かった。

港南学院高校は、今年の甲子園大会でベスト8まで進んだ。

優勝こそ出来なかったものの、強豪校としての礎を確実なものとした。

そして修二の次のキャプテンは、なんと恵の弟の淳紀だった。

久々に港南学院高校で授業を受け終えた茜は、早速野球部のグラウンドへと向かった。

そして、練習開始前の淳紀を見つけ、グラウンドの側のベンチに座って話した。

「姉ちゃん、徳永さんと別れてから物凄く元気を無くしてしまって・・・それに仕事も全く上手く行ってないみたいだし」

「そうなの・・・」

「最初は、すぐ元気になるかと思っていたんですけど、どんどん暗くなってしまって、最近は酒飲んでますよ」

「恵がお酒?」

「はい・・・アル中にならないか心配で・・・」

「そうなんだ・・・やっぱりそうだったんだ・・・」



夕方恵は、ランドマークの『蕪』で開店準備をしていた。

仕事が全く上手くいってなく、毎日気が重たかった。

顔色もすぐれない。

そして店前にのれんを掛けようとした時に、後ろから肩をポンと叩かれた。

「えっ?」驚いて後ろを振り返ると、そこには茜が立っていた。

「恵、久しぶり」

茜は、笑顔で恵に言った。















紅葉に雨がふりしきる神社 - 写真素材
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