歩いても 歩いても  さて、貴方は誰の役に自分を投影するのでしょうか? | 新・伝説のhiropoo映画日記

新・伝説のhiropoo映画日記

映画が好きだ。ドラマも好きだ。
そして、イケてる面はもっと好きだ。

そんな好きなものが詰まった日記、読んでみるかい。


                     

2007・邦画     ★★★☆☆(3.8)

                            

監督:是枝裕和

出演:阿部寛  夏川結衣  原田芳雄  樹木希林  YOU  高橋和也  寺島進  加藤治子

                              

                                    

夏の終わりの季節・高台に建つ横山家。

開業医だった恭平(原田)はすでに引退して妻・とし子(樹木)とこの家で2人暮らし。


その日、久々に子どもたちがそれぞれの家族を連れて帰郷する予定。

年季の入った横山家の台所で、とし子と長女のちなみ(YOU)が野菜の皮むきをしている。

ちなみは男女の子供に恵まれ、実家の敷地に2世帯住宅を作る話を両親にしているが、とし子から良い返事が

貰えていない…。


                    

次男の良多(阿部)も、妻・ゆかり(夏川)と息子と電車で実家に向かっていた。

絵画修復士だが、今は職探し中の良多は、久しぶりの帰郷も気が重い。

良多と再婚して日の浅いゆかりも緊張していた。

亡くなった前夫との子である10歳のあつしはまだ良多のことを「良ちゃん」と呼んでいる。

                        

良多の自宅に向かう途中に、思わずゆかりがあつしに言う。

「ねぇ、今日だけママの事を助けると思って、良ちゃんと呼ぶのをやめてくれない?」

                      

良多とあつしが上手く行っていないとか、そう言うことでは無く、良多自身が呼び名等気にしていない風。



                 

自宅と繋がった医院は、昔のままになっていた。

1日の殆どを恭平は、今も医院で過ごす。  昔のままのプライドだけは何処にも捨て置けないでいる。


だが、天麩羅油のはねる音が聞こえた時だけは別だ。

とし子の得意料理の「トウモロコシのかき揚げ」が、始まった。

皆の大好きな「トウモロコシのかき揚げ」は、揚げる尻から皆が摘まんで、全てを揚げ終わった頃には

かき揚げも残っていない…。


ありふれた家族の風景だが、今日は、15年前に亡くなった横山家の長男の純平命日だった。
純平の好きだったかき揚げを揚げて、その度に同じ昔話をして、笑う両親。



                                
跡継ぎにと期待した長男に先立たれた父の無念、母の痛み。

優秀だった兄といつも比べられてきた良多の、父への反発心。
ちなみは、持ち前の明るさで器用に家族のあいだをとりもつ。

子連れで再婚して日の浅いゆかりは緊張で気疲れする。


                 

そんな、何処にでもある家庭の何でもない1日。

人生は、いつもちょっとだけ間にあわないことに満ちていたりする…。





《***》

2時間お立ち見の後に、ホンノ数分しか余裕が無く、早く出て来たつもりであったが、このミニシアター系の

劇場は、チケットを買った順に(チケットに付いている整理番号順)入場出来て、中は自由席で、

既に私の整理番号は、かなり前に呼ばれていたが、何とか私の思う場所に席も取れてヤレヤレだった。

                     

今度こそ、寝てしまうかしら?とも思ったのだが…。  

樹木希林の怪演に苦笑いさせられっぱなしで、眠るどころでは無かった!叫び



良多の実家は、一体どの辺なのだろうか? 

老人が2人で住むには、かなりの坂や階段の多しで普段の生活にも、ちょっと大変だなぁと感じる所だった。


まぁ、高台の閑静な所だと言えば、良いのだが…。



医師だった父親は、散歩のついでにコンビニで買い物するなんて事もバツが悪いと言う「先生様根性」が

全く抜けずに、今でも尚現役の時と同じ気持ちのまま生きている。


原田の老人めいた演技は、どうも好きじゃない。  

まだまだ若くて、ワイルド感溢れるオヤヂでいて欲しいんだけど。                                                                            



そつの無い姉のちなみは、長男がいなくなった今、虎視眈々と実家を狙っている。

ついでに母親を丸め込んで、「台所も分けて何て言っているけれども」食事の用意も…なんて、ちゃっかり

考えている。

                     

YOUは、ごく自然な演技をしている。  旦那役の高橋など、自然過ぎてテロップが出るまで誰か分からなかった。


何処と無く、演技についてはイマイチな感じの阿部ちゃんを反対に、父親とは反りの合わない出来の悪い次男役に

計った様にピッタリって感じであった。

口から出まかせばかり言う、調子は良いけれど実の所仕事も今は無い。

両親は自慢の長男の事ばかり褒める為に、認められたくてつい見栄を張ってしまうのだろう。


そんな、もう一つビシッとした所が見出せない良多と再婚した咲子。

流石に連れ子を連れての再婚するだけ有って、姑とも舅とも話題を見つけては、話をしてにこやかに

気を使っている。

でも、姑の罪の無い言葉の端々に、ちょっと傷ついたりしちゃうのである。

私は、完全に咲子だったなぁ~。  メチャメチャ気持ちが分かるよね。(一応、私も信じられないが嫁なので)

                          

良いところを見せようと、1泊する事にしたものの、帰宅したら元の生活に戻るのにきっと何日か掛かるよね。



兎にも角にも、ばあちゃんの樹木の演技が女優を卓越していたね!

だってさぁ~、湯船に使ったまま、横の水道で入れ歯をヒョイと外して洗っちゃう女優なんか、今の今まで

見たこと無いし! (あのシーンだけで、拝んでしまう程の演技者なんだと感心した!叫び

                                 

年々、死んでしまった純平のお株は上がる事はあっても、下がる事は無い。

その事が分かっているだけに、良多も実家には行きにくい。



ごく普通の家庭の何と言う事もない1日なんだけれども、唐突に子供に先立たれたと言う事件から

この一家も、1歩も前には進んでいない。

本当に、台詞の一つ一つが「言うよね!言うよね」なんだけれどもね。


きっとさぁ、親と同居していない「盆と正月」しか帰省しないお父さんや、両親に迷惑を少なからず掛けている

親不孝息子は、この作品が凄く好きだろうと思う。

「思わず、実家に帰った気がする」と思うかも…。



でも、もうスグお盆で作品とマンマ同じ事をしなくちゃならない、嫁としては「ワザワザ金を払ってまで見たくない」と

思っちゃうかも…。



孫達が、「ばあちゃん、ばあちゃん」と言い、「ばあちゃん家」と言う呼び方に、「俺の稼いだ金で建てた家だ!」と

可愛い嫉妬心を見せる爺ちゃんのシーンも良かったけれどね。


人の振り見て、我が振り直せ!ちゅー事なんでしょうかね?

このホームドラマをこんな風にしか見れない私は、マンマと監督の手中に嵌っているって事だろうね! 





《+++》

昨日の「純喫茶磯辺」に出演していた和田君について、沢山コメントが有りましたのでチョコット書いておきましょう。


和田聰宏(わだ そうこう) TVドラマ月9「東京湾景」で、一挙にメジャーになったのでは?

私も、このドラマでやられましたのでドキドキ


                   

映画の出演作品では…。

私の大好きな「ホテルハイビスカス」


                      <新作 まだ見ていません>


                         

「バトルロイヤルⅡ」 「0093 草刈正雄」 新しい作品にも出演しているようです。

「東京湾景」以外の作品は、あんまりカッチョ良い役では出演しておりませんが…。

「雨の町」は記事にUPしております。  こんな所でしょうかね。


ちなみに「純喫茶磯辺」の役どころも、かなり○○な奴で御座いマスタ!叫び