2007・英・ベルギー・仏 ★★★☆☆(3.3)
監督:フランソワ・オゾン
出演:ロモーラ・ガライ シャーロット・ランプリング サム・ニール ルーシー・ラッセル マイケル・ファスベンダー
1900年代初頭のイギリス。
16歳のエンジェル・デヴェレル(ガライ)は、妄想で頭が一杯な少女であった…。
確かに、その妄想によって生まれて出された文章は、国語の教師が今流行りの小説家の文体を真似した物だろうと
言うぐらい、上手く書けてはいたのだけれど…。
エンジェル自身は「自分は由緒正しい貴族の娘として生まれてくる筈だった…」そんな事を思い込んでいる様な娘だった。
だが、実際には亡き父親が残した雑貨店を母親が何とか切り盛りして、その店舗の2階を住居にして住んでいる
単なる下層階級の娘に過ぎなかった。
そんなエンジェルの幼い頃からの夢は、近所にある豪邸<パラダイス>に住むと言う事…。
現実はそんなに甘い物では無かったが、そうだったからこそエンジェルの妄想や想像力は人一倍似膨れ上がり、
それなりの文才も相俟って、物語を綴る事に夢中になるのであった。
女流作家になれば、きっと憧れの貴族の生活も手に入ると信じて…。
夢中で書き綴った「レディ・イレニア」が書き終わり、出版社に原稿を送りつけた。
出版社から何も言ってこない間は、食欲も無く学校にも行けないぐらいであったが、採用の手紙が届いた途端に
飛び上がり、早速発行人であるギルブライト(ニール)に会う。
ギルブライトも、年齢を詐称して原稿を送って来た老人を想像していた為に、まさかこんなに若い娘が作者であるとは
かなりの驚きがあった。
と、共に「なるほど」と言う部分も理解出来た。
小説の中にシャンパンの栓を栓抜きで抜くと言う様な、現実離れした描写が出て来るのだが、少女故に無知から
来る物なのだと納得する。
其れならば、その様に表現的におかしな部分を訂正させてくれとギルブライトは提案すると…。
エンジェルは自信満々に「いえ、一字一句、コンマ一つ変える事は致しません」そう、言い放ち事務所を後にする。
ギルブライトの前では、他にも出版の話が来ている等と嘯いてみたものの駅のベンチでメソメソしてしまう所は、
やはり少女なのであろう…。
が、そんな高飛車で高慢な態度を取るエンジェルの魅力に取り付かれてしまう、ギルブライトはエンジェルを追いかけて
駅まで来て「そのままの状態で出版しましょう」と言ってしまう…。
この高慢な態度が吉と出たのか「レディ・イレニア」は爆発的なヒットをもたらし、文学賞さえも手に入れてしまう。
勢い乗るエンジェルは、次々と新作を発表する。 たちまち、彼女は人気作家の仲間入りを果たすのであった。
そして遂にはあの夢にまで見た、少女の頃は門扉の外から眺める事しか出来なったパラダイス(豪邸)を手に入れる。
調度品・家具に至るまでエンジェルの思うままの物を置き、改装し着実に妄想でしかなかった夢を現実にして行く。
ある日の事、ノーリー卿の紹介で姪のノラ(ラッセル)がエンジェルの元を訪れる。
詩を書くノラは、エンジェルの小説の崇拝者でもあった。
そして、エンジェルの個人秘書として仕えたいと申し出るのであった。
実の所、個人秘書の必要性など全く感じていなかったエンジェルではあったのだが、一緒に訪れたノラの弟のエスメ
(ファスベンダー)に一目惚れしてしまった為にノラを雇う事にする。
欲しいと思ったものは、確実に手に入れたいエンジェルはノラの「弟に関わると必ず傷付く」と言う言葉など無視して
エスメのアトリエに日参する様になるのであった…。
恋も富みも栄誉も、全てが永遠に続くと思われたエンジェルの人生だったが…。
其処には、そこはかとなく苦い罠が待ち構えているのであった…。
《***》
私にフランス映画の面白さを始めて教えてくれた監督・フランソワ・オゾンの最新作。
其れまでは、ラヴコメやコメディ作品と同じぐらい、おフランス映画は敬遠していたのだが「スイミングプール」で
やられて以来、フランス映画の面白さや其れまで思っていた敷居がそれ程お高い訳でもなく、反対に
その皮肉メイタ所や、フランス語の甘さも大好きになってしまった…。
今や、国で作品を敬遠する事は殆ど無い。
特にオゾン作品は洩らさずにスクリーンで見ようと決めているので、その気持ちでこの作品も見た。
しかし、今回の作品はフランス語ではなくオゾン作品初の全編英語作品でしかもメロドラマと来たもんだ!
「えぇ~~~?」私の待ち望んだオゾン作品じゃ無い!!
ちょっと位ではなく、全くの肩透かしを食らった感じであったのだが…、其処を狙ったのか?監督は…。
でも、こういう作品ならオゾンでなくとも撮れるじゃんか! もうちょっと、どうにかしておくんなましって思うことしかり。
意外な人が、こっそり何処かでほくそ笑む…。 そんな事を期待していたけれど…。 全然!
折角出演している、ランプリングも滅茶苦茶勿体無い存在のまま…。
もうちょっと、この人との丁々発止のやり取りなどがあっても良かったのに!
「予告の出来が良すぎたかしら?」って感じ。
<この画像のシーンはカットされていたと思う。 記憶に無いもん!>
主役のエンジェル役のロモーラ・ガライは、何と何十回と見まくっている「ダンシング・ハバナ」の主役のケイティをやった
彼女とは…。 昨夜知ったばっかし!
たかが、3年ほどでこれほどに化けるとは…。
「ダンシング~」の頃の彼女は体格のがっちりしたとかちょっと太めとかの本当にティーンエイジャーって感じだったのに
「タロットカード殺人事件」にもチョイ役で出演していたけれど、それも後になって知った次第でございます(汗)。
本当にウエストなんか半分ぐらいになっちゃったんじゃ?ちゅーぐらい、搾れていますけど…。
兎に角、このエンジェルと言うオナゴが高慢ちきで、どうしようもない位自信家、まさに白鳥麗子状態。
ところが、白鳥麗子状態なのだが貧乏人からの成り上がり、しかもその強気な性格の鼻っ柱が全く折られずに
来てしまうし彼女が書き出す文章は全てが空想から書き出した物…。
(まぁ、そう言う意味では恐るべき空想力を持っていると言えるのだが…)
なので、ラヴストーリーやメロドラマ的な物を書いている時は、それなりにヒットもしたしファンも付いたのだけれど。
戦争を背景に平和主義について書いた作品などは、全く売れない状態になってしまう…。
そりゃ、そうだろうね。
シャンパンの開け方すら知らないオナゴが政治や戦争を語った所で何ぼのモンじゃ!と化けの皮も剥がれてしまう。
でも、往々にしてこういうオナゴには金の匂いを嗅ぎ取って回りに引っ付いて、吸い尽くすだけ吸うコバンザメみたいな
連中がいたりするのが常なのだが、そこは知識人のギルブライトとノラが、がっちりと守ってくれていたお蔭で、
見ているこちら側の溜飲が下がる様な、酷い目にあうことも無く…。 そこらが、おフランス映画らしくないのよね。
エンジェルが、一時的には成り上がり長者になったとしても、最後には心清らかな真っ当なオナゴであったら…、
其れはそれで、良かっただろうし。 物凄く悲惨な目に遭うのも、其れはそれで…と思うのだが…。
それ程でもなく…。 どって事ないじゃん!ぐらいでラストを迎えるのはDo~なの?
思わず、「えぇ~、コレで終わりかいな!」と心の中で叫んでしまっただわ!
ふむ、未だ監督の狙いも分からず…。 衣装が良いと言うレヴューもあったが、其処の所も…Do~なの?
思わず、ラストに「えぇ~~~~!」と言ってしまう、オゾン作品で御座いました。
最近妙にメチャメチャ見易い作品作りをされている、ウッディ君の様な現象が蔓延しているのか?
いやいや、次回作に期待しているわ! オゾン監督!
《+++》
何かマイPCの調子が、今一つなんすよ! 何処がどうとは言い難いんですけどね。
それで、記事を書くのが翌朝、翌朝にずれ込んで来てしまって…、とうとう昨日はサボってしまった。
まぁ、ヒースの記事があったのでカレンダーに穴が開く事は無かったのですがね。(ちょっとズルしちゃった!)
この間から、寝不足も続いていたし25日は1本見てから試写会にとか思っていたけど、かなりぐっすり眠って
試写会だけにしたら、今夜は眠れず一旦ベッドに入ったけれど、朝の4時過ぎにコレを書いている…。
頭の中が、少々グチャグチャなので、トンチンカンな記事になっちゃってるかも…。 まぁ、いいや。
皆様の所をチョックラ覗いてから、眠るとします。 では、お休みなさりませ!