- コックと泥棒、その妻と愛人
- 1989・仏・英 ★★★☆☆(3.6)
- 監督:ピーター・グリーナウェイ
- 出演:リシャール・ボーランジェ マイケル・ガンボン ヘレン・ミレン アラン・ハワード ティム・ロス
高級フランス料理店<ル・オランデーズ>。
この店のフランス人コック長・リチャード(ボーランジェ)は、美しい料理を洗礼されたスタイルで提供するしか
興味が無い。
この店一番の顧客は、泥棒のアルバート(ガンボン)。 兎に角粗野で、話し声はデカク、傍若無人な男。
そして、アルバートに常に同行してくるのは妻のジョージーナ(ミレン)。
ジョージーナは美しく、料理の味も分かる人とリチャードも常にジョージーナだけには特別メニューを作るほど。
夫の下品で卑しい行動にうんざりしながらも、アルバートの惨忍な性格を最も知るだけに逃げ出さずに居る。
自分の社会的ステータスを見せ付けたいアルバートは、毎夜の事この店にやって来ては盗んだ金で
贅沢三昧、所構わず乱交を働き傍若無人ぶりを発揮する。
唯一の趣味の煙草も、ことごとく止めろと注意されるジョージーナであったが、無視して吸い続ける。
時には、アルバートの言う事も一理ある部分はあるのだが、それ以外の部分が悪すぎた。
そんなある日、今日も何時もの様にアルバートに連れられて、このレストランにやって来たジョージーナは
ある一人の食事をしている紳士に魅せられてしまう。
その紳士は、同じくこの店の常連客の学者・マイケル(ハワード)。 食事に同行するのは、必ず1冊の本。
孤独に見えるが知的で、穏やかな物腰の彼はアルバートとは比べ物に決してなら無い。
「トイレ…」と言って席を立つ、ジョージーナにさえ大きな声で「手を洗って来いよ」等と言う…。
全く持って、デリカシーの欠片も無い男。
ジョージーナが席を立ちレストランを出ると同時に、マイケルも席を立つ。
何も語らない2人が真っ白な化粧室のコンパートメントに消えるのも数秒しかいらなかった。
それからと言うものは、前菜の合間に…。 デザートが出る前に…。
「何処か外で会おう」と言うマイケルに「この一番近くが、最もバレないのよ」と、逢引を繰り返す。
リチャードも2人事を知り、逢引の場所を提供するのに力を貸す。
今日は、七面鳥がぶら下がる場所でマイケルと愛し合う…。
ジョージーナも出来るだけ早い時間で、抱き合える様に下着を着けなかったり、スグに脱ぎ着が出来るドレスを
考えたり、一種のスリルも楽しんでいた…。
だが、ジョージーナの浮気現場を見かけた下っ端の連れの女性がアルバートに話してしまう…。
鬼の様な心を持つアルバートが妻の浮気を知ってしまった…。
一体、純粋に愛し合う2人の運命は…。
《***》
- 変態村
- 「変態村仲間」(変態村と言うタイトルのこの作品が好きだと言ったレヴューを書いた私たちの事)のu-kkkさんが
- 記事にUPしていた作品。 ちなみに「変態村仲間」は数人しか居ません。
(随時募集中なのか?)
- この作品はレンタルになっていたのは知っていたが、内容まではちゃんと調べもせず
- 「何時もながらのおフランス作品だろう」なんて勝手に想像して、レンタルしていなかった作品。
u-kkkさんの記事によると、「変態村仲間」としては、どうしても見なければならない作品だと読んだ(爆)。
u-kkkさんの記事とは別に、この前ミニシアターで気になる作品の予告を見た。
「レンブラントの夜警」2008年・正月第2弾作品。
何の偶然なのか、同じ監督作品の最新作でした。
他の作品も見たいと思ったけれど、この作品しかレンタルになっていなかった…(泪)。
この監督作品では、一番見易い作品らしいのだが…。
衣装は、ジャン=ポール・ゴルチエ。 そして、音楽がマイケル・ナイマン。
そして、監督のピーター・グリーナウェイは美術学校卒だそうだ。
ストーリーとは別に場面場面で色彩が変わる。
レストラン=赤。(当然、皆の着ているものも赤の衣装が殆ど)
厨房=グリーン。 トイレ・コンパートメント=白。 駐車場=青。
何となく、演劇の時に舞台に向かってスポットライトを当てる時に一緒に傍にある、幾つかの丸の中に
色つきのセロファンが貼られているのを通して見た感じ。
ストーリーも設定も面白かったし、映像美もコレマタ大好きだったけれど、アルバートがどうにも我慢の限度を
越えるほどの嫌な男だったので、少々今日の星は低いです。
本当に血も涙も無い、アルバート。 だから言ってるジャンか、無意味に声の大きい男は兎に角嫌いなの、私は。
美声で歌いながら皿を洗う少年にジョージーナの居所を吐かす為に、相当エグイ虐待を働きます。
後半は、本当に普通の人ならこれ以上は観れないと思う様な方向に向かいます。
ラストは究極ですが…。 コレマタ壮絶です。
殺害されたマイケルの腕枕で(死人の)一夜を明かす、ジョージーナの気持ちも切ないぐらいに分かります。
もう2度と目を開かない、愛しい人の死を今夜だけは認めたくは無かったのですね。
大好きな「ヤン・シュヴァンクマイエル」の作り出す世界と、何処かこの監督作品は重なる部分がある様な
そんな気がしたのは、私だけなのかな?
まぁ、「レンブラントの夜警」を観てから、又この監督作品については語りましょう。
今日の作品については、「変態村仲間」にだけはお勧めですが、一般ピープルが観ると傷付く恐れが
有りますので、どうぞ使用の際にはくれぐれもパッケージデザインの裏を参照されてからにして下さいね。
R指定は、付いていないようですがR-18~15は絶対でしょう。