今日で、4日間続いた予算決算常任委員会での来年度予算の審査が終了しました。会派日本共産党を代表して令和6年度弘前市一般会計予算に反対する討論を行いましたので、その概要をご紹介します。今日昼の市役所正面玄関前からの岩木山
令和6年度弘前市一般会計反対討論
最初に、来年度予算に、市民の声が力となり、新規事業として「高齢者補聴器購入費助成事業」、「がん患者医療用補正具購入費助成事業」が盛り込まれたことに対し、わが会派は心から歓迎するところです。
反対理由の第一は、地方自治体に悪政を押し付ける国・政府言いなりの予算編成が基調となっているからです。
当市においても、国の「デジタル田園都市国家構想総合戦略」に沿って、令和6年度に「地方版デジタル総合戦略」を策定するとの答弁でした。
デジタル田園都市国家構想は、地方自治体が持つ住民の個人情報を、国や特定の企業が自由に利用・提供しょうとするもので重大な問題があります。デジタル手続きとともに、窓口での相談など対面サービスを拡充し、住民の多面的なニーズに応えることに軸足を置くべきです。
圏域行政、定住自立圏構想などの広域連携は、市町村単位で担っている行政を中心都市と周辺自治体から成る圏域単位で行うことを標準化しょうとするものであり、地方自治体の本来の在り方を後退させるものです。
2款1項1目、自治体システムの「標準化」については、令和7年度末までに移行する作業を進めるとの答弁でした。自治体システムの「標準化」は、自治体の 20業務を国が決めた仕様に統一し、カスタマイズを認めないというもの。住民サービスが後退しかねません。
当市では、すでに共同クラウドシステムを使っており、国は自治体システムの「標準化」を期日まで決めて押し付けることはやめるべきです。
2款3項1目、マイナンバーカード普及をめぐっては、岸国政権が健康保険証廃止とマイナンバーカードの一体化に固執しています。それは、オンライン資格確認システムのネットワークを介して「全国医療情報プラッフォーム」を構築し、データ化した医療情報を民間企業がビジネスに利用して新たな産業基盤につなげて いくことを狙っているためとされています。
国は、自治体業務を混乱させ、負担をかけるマイナンバーカードの押しつけをやめるべきです。
反対理由の第ニは、県内外からの宿泊者にあまねく課税する宿泊税導入を狙う予算が含まれているからです。
7款1項3目の弘前市宿泊税検討委員会が3月に設置され、来年度には宿泊税導入の検討が本格化します。宿泊税が導入されれば、宿泊者にとっては新たな税負担となり、特別徴収義務者となる宿泊事業者に対しては過大な負担を強いることになり、宿泊税導入には反対です。
反対理由の第三は、市民の個人情報保護対策が極めて脆弱であるからです。
2款1項1目、LINE運用支援ツール使用料については、今月5日の総務省による「LINEヤフー」に対する行政指導、さらには、2021年4月の行政指導と、LINE上で市民の個人情報を取り扱うには不安が残ります。
2款1項4目、「健康アプリ」、3款2項1目、「子育て応援アプリ」の利用は、多くの個人情報が民間業者に集積される可能性があるだけに、アプリ利用者に、個人情報の取り扱いについての「同意確認」の重要性を促すことが必要と考えますが、市の取り組みは極めて脆弱です。3款3項1目、次世代医療基盤法に基づく医療情報提供は市民のプラシバシー権を危険にさらすものです。
最後に、物価高騰で暮らしと経営が大きな打撃をうけ、地域経済の疲弊が深刻になっている時だからこそ、地方自治体のいちばんの役割である「住民の福祉の増進」という自治体の本来の仕事をすすめるべきであると、申し上げて反対討論とします。ありがとうございます。