定例会一般質問  「地域公共交通について」の再質問の概要 | 千葉こうきのブログ

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令和6年第一回定例会一般質問 

「地域公共交通について」の再質問の概要

今日の弘南鉄道弘南線 弘前東高前駅

1、大鰐線の利用状況について

➀大鰐線を利用している高校生の声は

 市の「令和4年度の利用者は1日当たり約900人。通勤利用が約15%、通学利用は約42%と、朝夕に偏って高校生の通学としての利用が多い」との答弁を受け、千葉こうき市議は「万が一、大鰐線が廃止となった場合の高校生の声はどうか」と質問。

 市は、今年度、市内の高校9校に通学する高校生を対象に実施した高校生アンケートを基に答弁。そのアンケートでは、「大鰐線が廃止されたら困ると感じているとした高校生は平均で47%、特に、高校別では、沿線に近い柴田学園高校、聖愛高校、東奥義塾高校のほか、弘前南高校が50%以上を占めている」としました。また、「困ると回答した方」のうち、「困る理由」について、「登下校時の交通手段がなくなる」が66%、「家族が送迎できないときに利用する」が41%となっていると、答弁しまた。

 千葉市議は、この答弁を受けて、「普段利用していな高校生にとっても、『いざという時には大鰐線が利用できる』という選択肢があるということで、日々通学する高校生に安心感を与えている」と、大鰐線が果たしている役割について訴えました。

 

②毎日送迎する保護者の声は

 千葉市議は、毎日送迎する保護者もいることから、その実態と、その保護者の声について質問。

 市は、今年度実施した高校生の保護者へのアンケートに基づき答弁。「送迎している」保護者は66%、このうち「送迎を負担に感じたことがある」保護者が71%と答弁。さらに、その中で「子どもの活動時間に合わせて、仕事や家事等の都合を合わせなければならない」ことを負担に感じている保護者が92%と最も多い結果となっているとしました。

 千葉市議は、この答弁を受けて、「さらに公共交通が通学に利用されるようになれば、保護者の負担軽減や朝のラッシュの軽減につながる。いまある公共交通を維持して、更なる工夫で、公共交通の学利用を増やすことが必要」と訴えました。

 

③バスに転換するとどの様な問題が

 千葉市議は、「バスに転換するとすれば、高校生の通学に、どの様なことが問題となってくるか」と質問。

 市は、「鉄道の強みとして、大量輸送、定時性・速達性に優れている点が挙げられる。バスへの転換によって、現に通学利用している高校生を一度に目的地である学校周辺まで輸送できるかどうか、また道路渋滞により定時性が損なわれる可能性もある」と答弁。

 

2、利用者目線で見ることが必要

➀公共交通衰退時の影響についての市民の声は

 市は、公共交通衰退時の影響について、市民アンケートの結果を紹介。「高齢者の外出が困難になる」とした回答が全体で75%、そのうち、路線バス利用者、大鰐線利用者では80%以上。また、「学生の通学に支障する」とした回答が全体で68%、そのうち、大鰐線利用者では83%

 

②利用者目線で見ることが必要

 この答弁を受けて、千葉市議は、全国市議会議長会の「要望・提言」が、「地域公共交通の検討にあたっては、予断を持たず利用者目線で考える視点を持って議論に臨む必要がある」と提言していることを紹介し、「利用者目線で見ることが必要」と訴えました。

 

3、交通弱者も含め、誰もが参加する社会を

➀ 利用者一人当1回当たりの補助金額は

 千葉市議の質問に答えて、市は利用者一人当1回当たりの補助金額について、令和4年度の実績ベースで答弁。弘南線が112円、大鰐線が260円、全体で147円。路線バスが198円、乗合タクシーが2,310円。また、路線バスのうち、複数市町村をまたぐ、五所川原線は1,863円、豊巻地区経由の黒石線は1,754円としました。

 さらに、市は「このことから、運行距離の長い路線で比較すると、大鰐線は路線バスより多くの人を効率良く輸送していることの目安の一つとなる」と答弁しました。

 

② 運行維持費用を「利用料金と行政補助金等で負担」することに対する声は

 市は、市民アンケートでの結果から、「利用料金と行政補助金で負担すべき」と回答した方が利用者では約6割、利用していない方でも約5割と答弁。

 

③ 高校生の通学手段を守るのは、市長として当然

 千葉市議はこの答弁を受けて、「利用していない方でも約5割。これは、交通弱者は単純な人口比でみれば少数派ですが、その少数派も含めて、誰もが社会参加することができる『共生する社会の実現』を市民が望んでいることの証」と指摘。さらに、弘前市が「SDGs未来都市」に選定され、そのSDGsのターゲットの一つとして、「すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する」ことを上げているとしました。

 さらに、千葉市議は、「ところが、今、大鰐線をめぐって存続の是非が問われ、通学手段として利用している高校生、これから進学する中学生、その保護者の皆さんにおいては、大変不安に思っているのではないか。こうしたみなさんに、安心していただく方法は、なによるも、大鰐線存続に向けて、市長がその姿勢を明確にすることだ」と、市長に答弁を求めました。

 

4、高校生の『移動する権利』を優先に

➀ 弘前市地域公共交通計画での大鰐線の位置づけは

 市は、弘前市地域公共交通計画において、「弘前市内を東西南北の軸で今ある輸送資源を活かした地域公共交通ネットワークを位置づけ」、その中で、「大鰐線は、市内中心部から南側の千年・小栗山方面を経由し、JR駅がある大鰐町へ接続する路線として位置づけている」と答弁しました。

 

② 「令和5年度末の経営改善や修繕等の進捗状況とその後の見込みを評価した上で、令和8年度以降のあり方を事業者と協議する」との方針について、現時点の「評価」は

 市は、例年5月頃、弘南鉄道の決算確定後に評価を行うことになるとし、「昨年の脱線事故や長期運休対応を考慮すると、目標値からは乖離が大きいものと認識している」と答弁。さらに、「いわゆるクロスセクター効果の算出などの手法も取り入れ、評価していきたい」と答弁しました。

 

③「交通崩壊」の危機迫る中、全ての公共交通を生かす時

 この答弁を受けて、千葉市議は、「クロスセクター分析の結果は、一つの判断材料。現に通学で利用している高校生の『移動する権利』が優先されるべきだ。さらに、大鰐線は地域公共交通ネットワークの中に確りと位置付けられている。大鰐線だけを取り出して議論できない。鉄道、路線バス、乗合タクシーなど今ある全てを生かすべき時」とう訴えました。

 

5、ひるむことなく人材確保を

➀ 国の改善指示について、当市の考えは

 市は、検査記録の管理や情報共有が不足していた要因とし、「記録管理も含め現場任せになっていたこと、また現場職員も入れ替わりが続いた中で、経験値が低下し、検査の拠り所となる施設管理基準等の規定の理解が不足していたことにあると捉えている」と答弁。さらに、「弘南鉄道株式会社に限らず、全国の交通事業者において、担い手不足が顕在化している中で、技術をしっかり継承し、どのように効率化を図っていくかが今後の事業継続と働き方の重要なポイントになると考えている」と答弁しました。

 

② 弘南鉄道の保線管理を担っている工務区職員の体制は

 市は、現在8名体制で、経験年数では、10年以上が2名、9年が1名、2年未満が5名となっており、経験不足が否めない状況と答弁。さらに、弘南鉄道が、「改善報告の確実な実行の中で経験不足を補っていけるか注視したい」と答弁しました。

 

③ 人材確保や労働環境改善についての考えは

 千葉市議は、弘南鉄道について、「脱線事故やレール摩耗見落とし、長期運休、今回の国の改善指示と、経営陣の安全管理の姿勢を厳しく問う声が上がって当然」としつつ、「人材確保が困難状況も非常に危惧される」としました。さらに、「人出不足の問題は全国的な問題。経営陣の安全管理の姿勢を厳しく問うと同時に、沿線自治体、利用者と鉄道事業者が一体交通となって立ち向かう必要がある」と訴えました。

 また、交通政策基本法案に対する附帯決議において、「交通に関する施策の推進に当たっては、交通に関する事業において必要とされる人材確保や労働環境改善にも十分に配慮すること」とされていることから、千葉市議は、「人材確保や労働環境改善」ついての当市のお考えについて質問。

 市は、「人員の確保は難しい問題であるが、様々な方面へ働きかけるとともに、外部の人材や専門家を上手く活用するなど効率化を図っていくこともこれまで以上に必要になってくる。弘前市地域公共交通計画案の取組事項として、『公共交通機関の担い手の確保の支援』を挙げていることから、市としても教育機関や民間企業等への働きかけなど、担い手確保につながる施策を交通事業者と連携して実施する」と答弁。

 千葉市議は、「ひるむことなく人材確保を」と訴えました。

 

6、大鰐線利用者をいかに増やすか

➀ 利用者数が少ない理由は

 市は、市民アンケート調査路結果から、利用しない理由として、「約7割が自家用車を使うためと、多くの市民が自家用車による移動を選択していることや沿線への人口分布の違いなどが要因」と考えていると答弁しました。

 

② 少しでも歩く時間を増やして公共交通の利用を

 また、市が「大鰐線の鉄道駅から半径500mに居住している人口は約2万人」(令和2年の国勢調査から)と答弁したことから、千葉市議は、「大鰐線を利用していただく客観的な可能性は大きい」として、「公共交通は車に比べたら不便だが、動けるうちから、少しでも歩く時間を増やして公共交通を利用する経験を積んでおけば、車を運転できなくなった時、直ぐに自分の足と公共交通を使って自力で外出ができる」と、公共交通利用の意識創出の必要性を訴え、最後に、その取り組みを質問しました。