「BAD LANDS バッド・ランズ」特殊詐欺グループに身を置く姉弟の疾走感あふれるサスペンス | 『Pickup Cinema』

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(C)2023「BAD LANDS」製作委員会

2023年製作/143分/PG12/日本 監督:原田眞人 出演:安藤サクラ、山田涼介、生瀬勝久、天童よしみ、江口のりこ、宇崎竜童ほか 配給:東映、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 劇場公開日:2023年9月29日

大阪・西成のアパートに住むネリ(安藤サクラ)は、オレオレ詐欺の受け子を手配する「三塁コーチ」役として生計を立てている。

ネリは生活保護で暮らす男たちの世話もし、半グレや元ヤクザたちからも慕われている。

ある日、血のつながらない弟ジョー(山田涼介)が刑務所から出所してきた。ジョーはネリのボス・高城(生瀬勝久)に仕事をもらい、姉弟で働き始める。

次第に明らかになっていくネリとジョーの生い立ち。それはまさに凄絶な半生だった。

ジョーは、ネリを苦しめてきた男たちに復讐をしようとするのだが…。

西成のあいりん地区や難波の雑踏など大阪の街を舞台に、綿密に練られた特殊詐欺の手口、それに加担する者たちの動向、追い詰めようとする警察の姿などをスピード感あふれる演出で描いていく。

生きにくい世界を冷静に判断をしながら、堂々と生きるネリの強さと美しさ。それに対して、平仮名しか読み書きできないジョーの衝動的な愛と狂気。

緊迫感のこもった映像の中で、安藤サクラがとにかくカッコいい。山田涼介、宇崎竜童、江口のりこら脇を固める役者たちも上手くて、ドキドキしながらも安心してストーリを追い、最後まで鑑賞できる、期待を裏切らない秀作。

私たちが生きる世界のすぐ隣に、こんなにも恐ろしく、愛おしく、かつ力強く生きる人々がいるのかを思い知らされる。そして、考えさせられる。悪の頂点に君臨するのは本当は誰なのだろうか、と。